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疑惑の知事公用車 エスティマ  注目過去記事再録

2006年05月20日 | 長  野  県  政

私は2000年の田中県政誕生当時からこれを取材し、02年1月からメルマガで情報発信をしています。その頃はブログはありませんでした。ブログは文章だけでなく、映像も簡単に掲載できるので見やすく分かりやすい情報を読者に提供するのに便利です。
ブログができる前にメルマガで配信した注目記事を、見やすいように再編集してブログに掲載しています。


  マスコミが扱わない知事車の問題点
    テレビ向きなのに、高尚気取って避ける

田中知事は知事公用車としてトヨタのミニバンタイプの車3台(長野県内用に2台、東京事務所用に1台)を購入して乗り回している。いうまでもないことだがこれには税金が使われているのだが、ほとんどマイカー感覚で購入されている。
自分の好みの色をカタログじゃ嫌だ、実際にこの目で見て決めたいーからとわざわざ県庁まで販売会社に数台を持ってこさせている。
庶民感覚と離れた特注革張りシートや必要性の薄い高価な衛星携帯電話など、至れり尽くせりの豪華装備のこの車は、実態を県民に知られることなくきょうも走っている。

玄関前知事車後ろ県庁玄関前で待機する知事車。手前がアルファード、その前に止まっているのがエスティマ。最初、エスティマが知事車として購入されたが「クッションが柔らかすぎて酔う」という理由で数ヵ月後にアルファードが購入されている。

 

知事公用車についてはテレビで扱うのが一番わかりやすいのだが、どういうわけかテレビが取り上げたことはない。取り上げやすいように、議員会派や県職労に視察するよう提案したのだが、「うんうん」と頷くところまではいいのだが、行動に移されない。議員などが視察すればそれはニュースになる。市民派を偽装する田中知事の実態を暴く、突っ込みどころなのだがそれがわからない。
田中知事の暴走を許す背景には、こうしたチェック体制のヤル気のなさがある。彼らはこういうことをくだらない事としてチェックするのに不熱心だ。もっと高級な批判をしたいというわけだ。しかし、田中知事の問題点の大半はこうしたくだらない事に原点がある。これを見過ごしては根本が下賎な田中知事を批判するのに大きな制約となる。
高級な批判をしたいというのは自らに自信がないからだ。高所から見下げる批判は確かにスタンドプレー向きだが、その手法で田中康夫を批判できることは限られる。
自信があるなら、視線を下げてすくい上げるような視線で批判すべきだ。でなければ真実は明らかにならない。選り好みの批判の隙を突いて田中知事の暴走が助長された面もある。

*下の記事は、メルマガ「田中県政追撃コラム」で2003年9月13日に配信したものです。

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● ☆彡 初公開 ☆彡 ”疑惑”のエスティマ(知事公用車)【 詳報 】 
    革張りシート、衛星電話、超豪華装備、オプション満載
    知事はマイカー気分で色に拘り、各色揃えて県庁で選定
    公私混同、程遠い庶民感覚ー県職労幹部

約2カ月ほど前、下記の記事のような騒ぎがあった。
読売新聞記事 03年7月15日
公用車購入で異例の車種指定 県イベント協賛企業グループの2種
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/nagano/kikaku/023/238.htm
県が購入した2台の知事公用車が、車種を指定して入札したものであり、異例である。この車種を扱う業者は県の田中知事の肝いりのキャンペーンに参加し、懸賞の景品に乗用車1台を提供している。その上、田中知事の支援団体に50万円を献金していた。だから、怪しいーというものであった。

なるほど、怪しい。だが、素直に考えれば、こうもとれる。
田中知事は車へのコダワリがあり、自分の好みの車種を指定して乗りたかっただけ。車種の指定をしての入札は異例ではあるが、違法ではない、騒ぎ過ぎではないか。

最初私はそう受け止め、この問題にあまり関心を抱かなかった。
ところが、最近になって不正を指し示すいくつかの情報がもたらされた。十分に興味深く、かつ信用に足る情報だった。で、調べてみる気になり、調べた結果をお知らせする。

知事車

 

前方から撮った知事車。手前がエスティマ。

 


▽ 常識的におかしい
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この新聞報道では違法性に着目しているが、これは田中知事の立場から見ればセーフだろう。かなり怪しいが、関係者が「裏取引がありました」とでも証言しなければ無理だ。

そこで、私は読者の常識、五感に訴えることにした。違法ではなくても、こんなの常識的に見ておかしいでしょうーと言うわけだ。

▽ ”仕様書”
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私の手元に二枚の文書がある。問題の車の”仕様書”だ。県が入札の際、応札者に「こんな車が欲しい」と示すためのものだ。
一枚は知事が主に県庁をベースに移動するときに使われるエスティマ(購入価格442万円)のもの、もう一枚は東京に置かれ、そちらでの移動の際に使われるアルファード(同380万円)のものだ。車名もスタイルも違うがこの二台は兄弟車といわれるものでベースは同じだ。7人乗りの4輪駆動車でミニバン、あるいはワンボックス車といわれるもので多人数が移動する際に便利ーという理由で選ばれたということだ。

この”仕様書”には他にはない特徴がある。
車体色という項目がわざわざ設けられ、そこに以下のように書かれている。また、その他という項目にも他の仕様書にないことが書かれていたので、これもあわせてそのまま引き写した。



【 車体色 】
・落札後に決定するので、入札時には標準色により見積もること。
・車体色の決定方法は、落札後2週間以内の県が指定する日に落札者が県の指定する数種類のエスティマ(グレードは問わない。)を長野市内において提示して、県は現物を確認の上で車体色を指定する。
・オプション色を指定した場合、別途協議するものとする。
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【 その他 】
室内スポットライト、パソコン用テーブルは車体色を選ぶ際に乗車し、位置、照度、仕様を決定する。
・車両及びオプションは、新品に限る。
・オプションは、本体に取り付け、一体として納車のこと。
新規登録手続きは、受注者が一切を行うこと。ただし自賠責保険料及び重量税は除く。
衛星通信用アンテナを搭載することとしているため、細部は発注課と打ち合わせること。(費用は発注課が別途負担する。)
・その他細部については、発注課と打ち合わせること。

比較検証のため、県が購入する他の車の仕様書も見たがこんなことは書かれていない。そもそも、こんな項目自体がない。


▽【 車体色 】に着目
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県がーということが再三書かれているが、ここで言う”県”とは田中知事のことである。県には手足もなければ目玉もない。「現物を確認の上で車体色を指定する。」ことは出来ない。田中知事が自分の好きな色にしたいから、業者に言って違う色の車を何台か集めさせ、自分で見て決めたいーということである。なかなかのコダワリ振りである。
しかし、これは県の公用車の話である。田中康夫のマイカーを選ぶわけではない。こんな我がままを言っていいものだろうか。

田中知事はこの我がままを、7月3日に実行している。場所は県庁の本庁舎と西庁舎の間にある通路。ここに、6~7台のエスティマとアルファードを持って来させ、あれがいい、これがいいと「現物を確認の上で車体色を指定」している。
この日は、7月議会の初日、議員も沢山来ているというのにおかまいなしだ。車を集めた場所は議会棟とも目と鼻の先、数十メートルと離れていない。
30分ほどかけて選んだ色は、エスティマがベージュメタリック、アルファードが黒。(注・このアルファードは東京に配置されている。写真に写っている白っぽいアルファードはその後別に購入)

【 その他 】の項目の一行目に「車体色を選ぶ際に乗車し」と書いてあるがこれには「誰が」かは書いていない。言うまでもないがこれは田中知事だろう。


▽ 元高官からの情報
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実は、色については私はある情報を事前に得ていてこの取材に入った。
「色まで指定してあの車にしている訳だから、言われている疑惑は本当だろう」という田中県政の元高官の証言を、確度の高いルートから入手し取材した。その結果、仕様書に書かれている【 車体色 】の項目に着目し、調べていったらその通りの事実が出てきたということなのだ。

▽ 窓について
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経営戦略局の担当者は、「窓が大きく開く」ことをこの車を選んだ大きな理由のひとつに上げている。知事が見送りを受ける際、開けて応じるのに便利だからというのだが、あまりに子どもじみたいい訳だ。
実際調べてみると、この手の車はどのメーカーのものも窓はそれ程大きく開かない。1/3程が残ってしまう。エスティマとアルファードもそう。
なぜか?大きく開くと危険だからーというのが業者の説明だ。乗用車と違って窓全体が大きく、フルオープンすると子供などは車外に落ちてしまう危険性があるかららしい。

県の担当者にこのことを告げると、「えっ!」といった表情だ。「おかしいなぁー、そうですかぁー」と首をひねるばかりで説得力ある反論はなかった。なんとか理由をこじつけるためにこのようなお粗末な嘘を考えだしたーのだろうと私は理解している。

▽ 駆動方式
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この車を選んだ理由としてもうひとつ上げているのが駆動方式だ。車輪が空転しない仕組みで雪道などで安全度が高いーとしているが、このような仕組みはどのメーカーのものにもついている。一長一短がありどれがいいかは、ほとんど好みの問題といっていい。

▽ 革張りシート
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調べていく過程で、窓のことやその他のことでも首を傾げざるを得ないようなことがいくつも出てきた。その最大のものが革張りシートだろう。

”仕様書”を注意深く見ていくと「標準装備:座席シート(本皮)」という記述がある。(本皮)というのは本当は「本革」と書くのだが”仕様書”ではこうなっていた。
気のせいかコッソリ小さく書いてあるように見えた。

これはどういうことですか?と担当者に聞くと「あっそれは標準でそうなっているということじゃぁーないですか」という説明だった。
腑に落ちなかったが、最初の取材だったので、ふーん、そんなものかな?でも後で調べてみようーと思って、調べたら説明とは大分違った。本革仕様車はエスティマでもアルファードでも、最高グレードのGエディションというものにのみ設定されている特別仕様だった。

革張りにすると約40万円ほど高くなる。二台だと80万円だ。いくら知事が乗るとはいえ、革張りにする必要はないのではないか。

ちなみに、現在県所有の車に革張りのものはない。過去にもないーというのが管財課の話だ。ついでに言うと車販売店の話しでは、革張りのエスティマは松本と長野(この知事車)で一台づつ売れただけだという。

知事車内部

知事車の内部。シートは特注革張り。

この本革シートはアイボリー色でジーンズなどで乗ると色がシートに付くことがあるという。市民派を標榜する田中知事だが、ジーンズやその他作業着などの人は乗車お断りと言っているようなもの。革張りシートは直射日光に弱いなどの難点があり、よっぽどのお金持ちでないと乗らないもの、というのが世間の認識だろう。そういう車を平然と選定する田中知事の感覚は市民感覚ではない。思わぬところで本性が出たということだろう。

▽ シート位置交換
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この種の車は3列シートになっていて、折り畳む都合上最後列のシートが一番簡単な作りになっている。私は販売店に行き、たまたま知事車と同じ革張りエスティマがあったので乗ってみたが、最後列の座り心地はいまいちだった。
知事車のエスティマは、シートが2列目のものと交換され、最後列のものが座り心地よくなっている。
多人数で乗るのに具合がいいようにーというのがこの種の車を選定した理由になっているが、多人数が乗っているところを見たことがない。私が見た限りでは、2列目のシートはいつも畳まれていて座れない状態。田中知事は最後列に乗ることが多いらしく、背広や本などの私物も最後列のシートに置かれたままになっていた。
多人数で乗ることより、田中知事がひとりでのびのびした空間でくつろぐことに主眼が置かれているように思える。


▽ テンコ盛りの豪華装備
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”仕様書”には他にオプションの項目があり、以下のようなものが付けられていることが分かる。

エスティマには「レーダークルーズコントロール」という衝突防止装置が付いている。前方にレーザーを照射しながら走行し、先行車との衝突を自動的に防止するものだ。オプション注文で8万円高となる。

道案内をするカーナビシステムもついている。これはシアターシステムという豪華オーディオ装置と組み合わされ、2つのモニター画面、9つのスピーカーが設置されている。
車の前後にテレビカメラがあり、バックするときや低速時に死角となるところを運転席のモニターで確認できる。これは”世界初”の装置のようだ。
これらを併せると、なんだかんだで50万円ほど高くなる。
有料道路での料金支払いを電子決済するETCももちろんついている。このほかにも、パソコン用テーブル。パソコン用のコンセント、電源インバーター、室内スポットライトなどなど、つけられるものは全部つけたーといった感じだ。

これらの装備を付けたことにより、標準車より合計百数十万円高くなっている。


▽ 衛星電話
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エスティマだけだが、衛星電話もついている。屋根の上に皿を伏せたようなドームがあり、その中にアンテナがある。衛星電話のついている車両は他には2台だけで、危機管理室が所有する災害時用のものとなっている。


▽ さまざまな反応
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田中知事が車体色を選定しているところを、たまたま遠くから見ていた議員に話を聞いた。
「十数人が車の周りにいて、その内の何人かが30分ぐらい田中知事と乗ったり降りたりしていた。何をしているのかと思った。そういうこと(車体色の選定)をしていたとは驚きだ。公用車なのだし、そこまでする必要があるのだろうか。
(本革シートについては)30万円ものベルサーチの服を着る人だからそれぐらい当然なのかな。我々とは感覚が違う、本人は当然と思っているのでしょう。権力者の思い上がりを感じる。言ってることとやってることが違い過ぎる」

県職労幹部は、
「知事は我々との賃金交渉のとき、県職員は庶民でないと言った。6~8%の賃金を下げておいて、自分はよくも本革シートの車に乗れるものだ。庶民的でないのは知事のほうではないのか。公用車を本革シートにする必要性を感じない。公私混同ではないか。無駄な費用は使うべきでない」

別の幹部は、
「それは本当のことですか?」と言ったあと、ため息をつき
「これについてはコメントできません」と言った。

新人のある県会議員は、
「呆れて何と言っていいか言葉もない。言っていることとやっていることが違い過ぎる。世間の人に田中知事の実像を知ってもらいたい。信毎がちゃんと報道しなければ駄目だ」

おな、田中知事の車体色選定現場には数人の記者がいたようだが、このことは記事になっていない。したがって、上に書いたようなことはこのメルマガ読者だけしか知らないことになる。


▽ 人柄を象徴する車
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擁護すれば、
値段は高いといっても、エスティマが約442万円、アルファードが約380万だ。
吉村知事が乗っていた黒塗セダンの高級車900万円よりは安い。だからいいではないかーと。確かにそれはそうで、そう言う県議もいた。
しかし、県の財政が苦しいからといって様々な事業を取り止め、職員の給料をカットする知事が、革張りシートの車にふんぞり返っているのにどれだけの県民が納得するだろうか。
どんな車を選ぶかにはその人の人柄がでるものだ。田中知事がいま乗っている車は、見かけは黒塗豪華セダンではないが、一皮めくれば至れり尽くせりの豪華装備。人柄が象徴されているような気がする。

  関連情報

長野県議会議員・竹内久幸のページ
「知事の公用車4年間で3台購入」
http://www.ne.jp/asahi/nagano/21/news/2005/n_05071010.html