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明らかになっていく知事の関与  わかりにくい百条委審議

2005年09月02日 | 長  野  県  政

 《 百 条 委 雑 感 》

二回目の百条委の集中審議が8月31日から9月2日までの三日間行われている。これまでに、8月10日から12日までと19日にも行われている。
田中知事が後援会幹部とともに県行政に不当に介入したーという証言が相次ぎ、次第に事実が明らかになっている。見ていて思うのだが、百条委の審議は非常にわかりにくい。

たいていの悪党は悪事を隠しながら行う。自分から進んで罪状を明らかにする間抜けな悪党はいない。

証言者の大半は県職員だ。彼らの多くは善良だが、けして積極的正義を披瀝することはない。彼らが犯人を名指しすれば問題は一気に解決するのだが、そういうことは起こりえない。おかしな話だが、それは公務員の本分にもとる行為ともなるからだ。どんなに不正義な知事であっても、選挙で選ばれた知事である以上忠誠を尽くすのが公務員としての務めだーというのが彼らの考えだ。田中知事の近くにいる職員ほどその意識は強い。民主主義のコストと考えなければならないことはわかっているが、納得しがたい思いが湧く。この建前論は真実究明の壁になっている。

なるべく面倒を避けるーというのが公務員の性分でもある。余計なことには答えない。聞かれたこと”だけ”答えるーのが賢い公務員だ。真相究明は警察や議員の仕事であって、彼らの責務ではないーというのが彼らの隠れたる言い分か。

議員は個人個人が屹立していて独自の調査、質問を行っている。連携は十分とは言えない。重複した質問も多い。質問の順番も逆にしたほうがいいのではないか?と思うようなこともしばしばある。
なにより退屈だ。見せる工夫がない。見世物ではないーというかもしれないが、世間はそうは思っていない。わかりやすく問題点を明らかにすることも大切だ。


これを伝えるマスコミは、いつも以上に客観報道だ。これが事態を一層わかり難くしている。この実態を伝えるのに客観報道では何がなんだかわからない。読者に不親切、不誠実でもある。
そもそも報じている記者も実態がよくわかっていない。客観報道とはある意味便利で、物事の深層がわかっていなくても、上辺だけ客観的に伝えていれば一応の格好はつく。

事実の断片を報ずる記事から事件全体の構図を読み取るのは容易ではない。ある程度事情がわかっている私でさえも、何度も読み返さなければ意味がわからない記事が多い。

百条委は長くて退屈でもある。審議時間は長時間に渡り、31日は午前0時近く、1日は午後9時ごろにまで及んでいる。夕方ごろになれば取材記者の人数もめっきり少なくなる。
[上の写真参照]
奥の机付白い椅子席が記者席。手前黒い椅子だけの席は傍聴席。記者席が一杯になればこちらも記者が座るが、ご覧のとおりガラガラ。一般傍聴者は少なく、県職員などがいる。


遺留品がたくさんある事件の捜査はかえって難しい。三億円事件がそうだった。百条委も資料がたくさんある。どれが問題の核心に突き当たるのか判別が難しい。
ここを突かれたら痛いーというのは犯人にはわかっているが、だからこそ言いっこない。

知事が関わった不正事件の全貌を明らかにするのは、その知事が在任中はそもそも無理かもしれない。職員に理不尽な人事権を行使するような田中知事であってはなおのことだ。全貌は田中康夫が失脚してから明らかにするしかないのだろう。

オリンピック招致委帳簿焼却問題など、過去の長野県政の問題点を正すのだとして田中知事が設置した「長野県調査委員会」というのがある。
これと似たようなものを田中知事失脚後に設ける必要がある。これは何人かの議員がマジに語っていることだ。「田中県政調査委員会」といったようなものを作って田中知事がいったい何をやったのか後日調査する必要がある。

 【証言の食い違い報道】
1日の審議で、入札中止を巡り証言が食い違うーと報じられたことがあった。よくよく聞くと、これは証言の一部を、締め切り時間に間に合わせるために報じたことから起こったことであることがわかった。

最初このように報じられた。
下水道入札「知事の指示なし」 百条委で元主査証言 (信毎1日付け夕刊)
<2004年2月に県下水道公社の入札を中止するよう、県下水道課に指示した当時の県経営戦略局政策チーム主査(現経営戦略局政策促進チーム企画員)は、「(自分の判断で)入札を中止した方がいいとの考えを伝えた」とした上で、「(中止しろとの)知事の指示はなかった」と証言した。>

夜6時台の地元テレビニュースでは、「入札中止を巡り食い違う証言」とヘッドラインを打ったところもあった。

しかし、これは元主査が午前中にした証言に基づく報道だ。
その後、夕方ごろになって別の議員が別の角度から同じ問題についての質問をしたら、今度は知事の関与が窺える回答が返ってきた。
元主査は「知事に相談はした」というのだ。田中知事は入札を中止しろとは言わなかったが、元主査が田中知事に相談した結果「自分(元主査)は中止しろ」と下水道課に伝えたというのだ。微妙だが、この意味合いがお分かりいただけるだろうか。

この元主査は経営戦略局所属で土木部門の担当だ。知事の意向の代弁者ーと関係職員の間では認識されている。その元主査の言うことだ。いくら「自分の考え」とは言っても、知事に相談した後でそう伝えられたら「知事の意向」と捉えるのが普通ではないだろうか。

元主査はけして嘘はついていないのだが、”公務員的律儀さ”から聞かれたことにだけ答えた結果このようなことになったというわけだ。変に気を利かしてわかりやすく答えると懲罰人事が待っている。これは無言の圧力で立証されることはない。なにしろ泥棒に部屋の鍵を渡してしまったようなものだからやりたい放題だ。


 【百条委の視覚効果=張り紙】
31日からの百条委員会室には委員長、副委員長席の後ろの壁に
『県下水道事業に対する知事後援会幹部の
働きかけ等に関する調査特別委員会(百条委員会)』
と書かれた張り紙がされている。

これは私が何人かの議員に提案して実現されたものだ。本当は委員長席の後ろに掛けてある絵を取っ払って、そこに大きく横書きで張り出すように提案したのだが、このような形になっている。

百条委は、偽証は告発対象になるなど強い権限があるのだが、これまでに総務警察委員会などが何回も行われていて、何度も呼ばれている証言者はこれとの違いが感覚的にわからず、”慣れ”が生じてお座なりな証言も目立っていた。そういった証言者に対して”百条委員会”であることを視覚的に自覚して、真実の証言をして貰うために有効ではないかと提案したものだ。

また、マスコミ対策としても有効だと思う。張り紙すらないようでは、絵面的にはなんの委員会かわからない。ひと目でわかって貰うために必要なことだと思う。会場の入り口にも同様の張り紙がされている。

もしこれが逆に田中知事がこういった委員会を主催する立場だったら、もっと派手なPR作戦を展開していただろう。
議員は事実を積み上げていけば真実は明らかになるーと考えているようだが、田中康夫を相手にするときにはそれだけではもの足りない。宣伝戦略も大事であることをさらに考慮したほうがいい。

マスコミ、主にテレビにわかりやすいように、パネルなどを審議に利用することも提案してある。いずれ必要な機会に登場することになると思う。


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