3時起床で土浦の会社後輩宅を目指す。4時過ぎに土浦出発、ノンストップで旧東名の沼津ICをアウトしたのは6時半ころ。新東名のほうが近かいことが降りてからわかる。道中ずっと隣で独り言をブツブツといいっぱなしの後輩NOBU。緊張でいろいろな事が頭をよぎるのだろう。川津、下田と伊豆の景色が心地よい。断崖絶壁のリアス式海岸をしばらく進むと一気に砂浜が広がった。どこも車を停めたくなる絶景だが急ぐ。本日の会場である弓ヶ浜海水浴場に到着したのは8時半だった。風がやや強いが波はほとんどなく梅雨の合間の最高のコンディションとなった。
会場すぐ後の無料駐車場に車を停め、荷物をまとめ浜辺に向かう。最高なロケーションとは裏腹にローテンションな男がここに1名。ブツブツいいながら気分を無理やり上げている。定刻の9時半から15分遅れの受付開始&ナンバリング。早めに済ませ着替える。肌寒い。パンフレットに目を通すと男女合わせ1kmは35名、2kmは54名、他リレー2チームと参加人数が少ない。水温が22℃に満たないため公式ルールにのっとりウエットスーツ着用可というアナウンスが入る。ラッシュガードもOKだが、もって来ていないのでショーツ1枚。ウエットスーツは無敵にしてくれるが、トライアスロンでもないオープンウォータースイムに来ているんであって着用なんてもったいなくてするはずがない。ビーチクリーンの後にウォームアップ。約10年ぶりのOWSということで心の中でキャッキャしながら入水。普段プールで使用できないパドルを装着しダイブ。水はとても綺麗だが視界は約1mと悪い。最高に気持ち良い。しばらくすると水温の低さも感じない。『海を泳ぐのってこんなに気持ちよかったっけ?!』 NOBUは相変わらず緊張気味だが泳いでいた。セクシーパフォーマーによるサンバダンスで会場は和む。
カーボショッツとVESPAを各1個ずつ投入し水で流し込む。400mが終わると、2つのブイ(目標の浮き)が遠くに移動された。それを見る緊張MaxのNOBU。ずっとブツブツ言っている。第1ブイまでは200m、第1から第2ブイまでは400m、岸まで400m。三角形のコースを半時計周りに1周で1kmというコースだ。我々は2kmのスタートの3分後のスタート。「無事ゴールで会おう!」 NOBUと握手を交わした。スタートのホーンが鳴り響いた。
前には5、6人。すると突然急に尿意に見舞われ、仕方なくそのまま黙って放尿。秘技その壱『黙尿』。周りにいた人ごめんなさい。海よ自然よありがとう。足がつく場所はドルフィンでガシガシ突っ込む。まずいつものアップのつもりで第1ブイを目指す。楽しくて笑える。ブレスは多めで心拍を整える。海水により浮力が増しているのがわかる。ヘッドアップがしやすい。左からの波が予想以上に強く、身体が岸のほうへ何度か大きく流される。左ブレスで海水ゴックン。右ブレスオンリーに切り替える。身体のラインが定まらずグニャグニャ、そして右往左往しているのでブイをよく確認しながら進んだ。波が強いのでNOBUを心配になるが信じてプルに力を込めるだけ。選手と何度か接触するが落ち着いて進む。やっと第1ブイに到着。すぐそばに何人か選手がいた。直前の女子が平泳ぎでゆっくり通過しているところインから差す。無事クリア。第2ブイを確認するがはるか遠い。テンションが上がる。徐々に沖へ進んでいるのがうねりでわかる。口の中が塩辛い。プールと違って身体が真っ直ぐにならない。ブイ事体を探すのではなく、その背景の大きい建物や自然物を目標にするというOWSの初歩的テクニックをここで思い出す。ブレスをする度に頭上の太陽が見える。太陽が雲の隙間から輝いている。OWSのBGMは。心地よい瞬間。
第2ブイを回った時点で前方に2名、左右に1人ずつ選手がいた。『全員ブチヌイタル!』とペースアップオブグニャグニャ。だが離されるばかり。岸へ向かって皆ペースが増しているのだ。右隣にいた女子が右ルートに大きくずれ込む。慎重に且つ大胆に。ブイを見ながらペースアップ。岸が徐々に近くなってきた。プルプルプル!足がつきそうな場所まで進み、腰くらいの深さの絶妙な場所で立ち上がる。ここで本日の秘技その弐『バタフライは全くできないがドルフィンガシガシ』 バッサバッサドルフィン!そして膝までの深さまできたらモモあげダッーーーーーシュ!〆の秘技その参『気分はムエタイ選手』 脚短いからモモ上げ辛い!ハイ!ハイ!ハイ!ハイ!ダッシュダッシュダッシュ!砂浜に入り心拍Maxでゴーール!目の前にいたのは1kmの女子ワンツーだった。
帰りはばったり見つけた近くの『龍権の湯』に浸かる。貸しきり状態で反省会。その後シャレオツ『小磯丸』で飯。無事完泳したものの練習してきたことが1%も出せなかったと、そこまで落ち込むかというくらいに肩を落すNOBU。はたから見れば初舞台で無事完泳したのだから十分な出来だと思うのだが、自分が思い描いた姿とのギャップが大きすぎたらしい。いつでもリベンジしようじゃないか。うまくいかないから面白い。帰路は、オートメーションドライドライビングシステムNOBUにより助手席で完全爆睡。21時過ぎ土浦着、22時過ぎに帰宅。10年ぶりのOWSの幕が閉じた。
我らTTLにゴールはない。今年もう1レースはでてみたい。しかし弓ヶ浜は遠い。けどまた行きたい。