限りなくmoonshine...

GarageBandなどDTMネタとバンドネタと甘いもの中心に。たぶん。

ダビング10と補償金。

2008-06-19 23:59:11 | misc

政治的なものへの批判や、社会への不満をとりとめもなく書くことはできるだけ避けて、
かつ、自己主張や妄想に近い持論展開に終始するブログにはしたくないと思っている。
そもそも、好き勝手言うだけで対策が全く述べられておらず、勿論行動もしない人ほど、
そういった内容のブログを書いている気もする。
自分できちんと調べもせず、ネット上のニュースの見出しを引用して、その部分にのみ
オヤジが居酒屋で言う愚痴レベルの内容を声高に書いている人が多すぎる気もする。

でも、ちょっとこのネタだけは書いておこう。
というのも、たまたま周囲にこのネタを出したとき、あまりにも反応が薄かったから。
「自分には関係ないから」的な反応だったが、果たして本当にそれでよいのか。

■Blu-rayに補償金の「なぜ」 「ダビング10」「iPod課金」はどうなる

まずはその前に「コピーワンス」から。
HDレコーダーやDVDレコーダーは、現在「コピーワンス」である。
名前のとおりで、「コピー1回可能、あとはムーブ(移動)可能」である。
この時点で、「コピー1回できるんだから、いいじゃん」的な答えが返ってくる。
いやいや、放送している番組を録画した時点で、「放送からコピーした」ということに
なるので、その先はコピーできないんだけどね、それすら知らない人が多い。
つまり、HDDに録画したものを、HDD に空き容量を作るために DVD に移すといった場合、
実はすでにコピーされているものなので移動しかできない。勿論、編集もできない。
「DVD に移動させたいんだけど、30分番組を CM カットして4回分を1枚の DVD に
まとめて移したいんだけど」と言われても、それはできない。
番組ごと、HDD から DVD に文字通り「移動」させるしかできない。
「コピー」という言葉が入っているが、実質コピー不能である。
ちなみにこの「コピーワンス」、世界で日本だけしか使われていない。

で、それは不便だということで登場したのが「ダビング10」。
正確には、「コピー9回、ムーブ1回」である。
おお、コピーが9回もか。それだけあれば十分では、というのが一般的な反応だった。
いやちょっと待てよ、と。
まず、この「ダビング 10」を有効にするには、その機能を持った HDD レコーダーを
使用しなければならない。今現在、これに対応した HDD レコーダーは、1つも市場には
出回っていない。最近の HDD レコーダーは、メーカーからのアップデートで対応可能に
なる機種もあるようだが、そうでない場合は「ダビング10」対応機種を買わなければ、
この機能は有効にならない。
また、コピー9回というのは、HDD レコーダーで録画された放送などを、録画を行った
HDD レコーダーに内蔵している DVD やメモリーカードに9回コピーできるだけである。
一応、レコーダーに外部接続できる機器があればそれにもコピー可能だが、その場合は
外部機器もダビング 10 に対応している必要がある。
同一レコーダーで9枚まで DVD にコピーでき、10回目がコピーワンス同様、ムーブだ。
9枚以内で HDD レコーダーが壊れたら、終わり。内蔵の HDD を他の機器へ移して、と
いったパソコン的な考えは不可能。
で、このコピーした9枚の DVD をコピーすることはできない。
他のメモリーカードや外部接続した機器でも同様、コピーされたものを再度コピーする
ことは不可能である。
つまり、今後ブルーレイなどの新しい記録メディアが登場したときに、それにコピーを
することができない。したがって、少なくとも自分が生きている間は、DVD プレーヤー
自体が無くならないようにしてもらうほか無い。
もし、自分の子供や孫にも見てもらおうと録画したなら、その子供や孫が見たいときに
DVD プレーヤーがこの世に存在していなければ、二度と見ることはできない。
DVD プレーヤーが、未来永劫ずっと存在する再生機器だとは考えにくい。
今までだと、VHS などのビデオテープに撮ったものは DVD にすることは可能だったが、
今後はこういったメディアの変換が不可能になるということだ。
コピー9回の根拠は、「家族3人が3枚ずつバックアップを取れば十分だろう」という
ことで決まったらしい。なんてアバウトなんだ。
そんなわけで、本当に「ダビング10がベスト」と言えるのか、もっと考えて欲しい。

で、やっと本題に戻って「ブルーレイディスクに補償金」。
これまた知らない人が多いのに驚いたのだが、市販の MD ディスクや音楽用 CD-R など
「まだ何も録音されていないブランクディスク」には、実は「どうせ著作権のある物を
録音するんだろう?だったら先に著作権料を払ってね」ということで、既に著作権料が
上乗せされた金額で販売されている。
まるで、ユーザーは違法コピーしているんだろうから、先に払わせてしまえ、と言って
いるようなものだ。でなければ、二重取りにもなるようなことに説明がつかない。
ちなみに、レンタル屋では「レンタルする」ために、通常よりも多額の著作権料を、先に
管理団体に支払っているのでレンタルできるのである。
レンタル屋で借りた CD を見ると、著作権管理団体から許可されているということが、
きちんと明記(あるいはシール)されている。
つまり、レンタル屋で借りる代金の中に、著作権料が含まれているということだ。
借りた時点で通常よりも余計に著作権料を支払っているのに、それをブランクディスクに
コピーするときに、さらに著作権料を払っていることになる。
私のような、自分のバンドの曲を MD や CD-R に録音している場合でも、誰に行くとも
ない著作権料を、著作権団体(JASRACなどね)に支払っているのである。
で、今まで「ブルーレイ」というものが存在しなかったので上乗せ対象としてなかった
ので、それも上乗せ対象にしましょう、ということ。

ところが。
これも知らない人が多かったのだが、HDD レコーダーや DVD レコーダーなどの録音が
可能な機器にも、同様に「どうせ著作物をコピーする用途に使うんだろ?だから先に
著作権料を払ってもらうよ」ということで、すでに著作権料(補償金)が上乗せされて
販売されている。
したがって、HDD レコーダーに補償金、それをコピーする DVD ディスクにも補償金と
ここでも二重に補償金を取られている。
これに加えて、著作権者はさらに、iPod からもあらかじめ先に払ってもらおう、という
ことを言っている。
iPod でも、「どうせ著作物をコピーして聴くんだろう?だったら先に払ってもらうよ」
ということだ。
もちろん、この「上乗せ」された金額は、商品の販売価格にそのまま転嫁されるだろう
から、上乗せ分だけ iPod の値段が上がることになるだろう。
まあそもそも、こんな日本にしか存在しない滑稽な仕組みを Apple が納得して、価格に
反映させること(つまり値上げ)を黙認するとも思えないけど。
ちなみに、同様に私の場合、iPod には自分のバンドの曲や、GarageBand Users Club に
投稿されている、クリエイティブコモンズライセンスのものが 99.8%を占めている。
iPod にも補償金が上乗せされたとしたら、その補償金は誰のところに還元されるのか。
著作権団体の懐が暖かくなるだけだ。
また、デジタルビデオカメラで友人の結婚式だとか子供の運動会だとかを録画した後、
HDD レコーダーに転送して DVD にする、といった用途に HDD レコーダーを使用したと
しても、コピーは無限にできるが、なぜか著作権料を取られていることになる。
自分が撮影しているから自分に著作権がある、といっても、著作権管理団体から自分に
著作権料が払われることは無い。
また、市販の CD を購入して iPod にコピーする場合。CD には当然著作権料が含まれて
いる。ちゃんとお金を払って CD を購入していても、iPod で聴こうとしてコピーすると
再度著作権料を取られることになる。自分のもので、個人で楽しむ範囲なのに。
おかしくないか?

でも、MD プレーヤーが普及した時も消費者側から反対意見は上がっていないし、勿論、
音楽用 CD-R に上乗せされたときも反対意見は出ていない。みんな、太っ腹だな。

それでも著作権者たちは、「海賊版が増えすぎて、補償金が減っている」と言っている。
世の中の人全員が海賊版作成を行っていて、みんなそれをコピーしまくっているという
凄い被害妄想だ。
確かに、ファイル共有などで違法コピーされた CD が出回ってるのは事実。
しかし、そういったところから入手する人は、それができなくなったとして、ちゃんと
CD を購入してくれるユーザーなのか。
また、どの程度の人が、そのファイル共有ソフトを使えているのか。
少なくとも、私の知り合いなど 20~30代の 20人くらいは、誰も使っていない。
海賊版を入手している人が、それが無くなれば全員が購入してくれるなどというのは、
到底理解できない妄想ではないだろうか。
「タダで聴ける/見れるのなら見てみようか」レベルであって、無いなら無いで別に
特に困らない人たちではないか。また、それで見たり聴いたりしたところ、内容が大変
良かったので後から CD や DVD を購入したと言う人もかなりいると聞く。
そこで見たり聴いたりしていなければ、購入されなかったかもしれない、ということ。
「買いたい」と思うコンテンツが少ない上に値段が高いから買わないのだと、何故気が
つかないのだろう。いや、気がつかないフリをして、消費者を騙しているのか。
また、実際に作った「著作者」にきちんと還元されているのか怪しい、中間で「管理」
するという名目で搾取しまくっているのではないか、事実、著作者から悲鳴が聞こえる
ので「著作権者」は疑わしい、ということを正しく認識しているのか。
「そんなことはない」と言っているのは見たが、不透明なままなのは変わらない。

「著作者」に、直接著作料が渡せる仕組みができれば、中間搾取の著作権者は不要だ。
レコード会社を通さずに音楽を販売しているアーティストも増えてきているし、今後、
なんとか「実際の著作者」に「ありがとう」と言って著作料を渡せる仕組みがうまく
機能するようになれば、と思う。

随分といろんなところに話が行っているが、あと1点。小寺信良氏のブログから。
最初の「コデラノブログ」から追いかけているけど、記事は的確だし、できれば全部を
書いておきたいところだが、キリが無いのでとりあえず5月以降分で関連するものを。
自分のブックマークの意味もこめて。
6/17の最初の記事なんて、氏の呆れ果てている姿が目に浮かぶ。
そりゃそうだろうな。

■いや、そういう見方じゃないな

■ブルーレイにも補償金

■よろしい、ならば戦争だ?

■今日はダビング10関連が盛りだくさんだ

■知らないなら黙ってればいいのに

■ダビング10と心中するか補償金

そして、今日のニュース。

■「ダビング10」、7月導入=補償金問題切り離しで合意-情通審専門委(yahooニュースより)

■ダビング10解禁、7月5日 著作権団体が譲歩(gooニュースより)

導入するのか。
「北京五輪にハイビジョンテレビとレコーダーの需要があるので、それに間に合わせないと
買い控えが起きて、儲けが減るから」ということらしい。