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命をもてあぞぶ検察官、許せない。

2014-01-06 13:44:20 | 社会・経済

 

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1月5日の朝日新聞のトップ記事

 

この国の刑事司法制度の大きな問題を指摘しています。

 

検察官は、法廷で検察側証人に証言させる前に「証人テスト」と称して、事前打ち合わせをします。

その際に、検察官に都合よく証言するように誘導したり、脅したり、利益で釣ったり・・・・

周到な打ち合わせの結果、検察側証人は完璧な証言をします。

 

同じように弁護人が証人を打ち合わせしようとすると、検察官は「証人威迫だ!」「偽証教唆だ!」と猛烈に抗議して、接触させないようにします。

 

こんな不公平な制度はありません。

 

そして、その「証人テスト」の場で、検察官が証人に証言を歪めさせて、被告人を「死刑」にしようとする。

「リーガルハイ」の「安藤喜和」の話も、民意が死刑を合唱する中で検察官が証拠をねつ造してまで「死刑」を獲得しようとしたけれど、それはドラマの話。

 

本当の裁判で、事実をねじ曲げて、人の命を奪うなんて許されることじゃない!

私が担当した殺人事件の裁判でも、検察官は被告人を死刑にするために無理やり保険金殺人に仕立て上げる証拠を持ち出してきたことがあります。

 

いったい検察官は裁判を、生命を、なんだと思っているんでしょう。

それを見過ごす裁判官も終わってる。

こんなレベルの低い刑事司法に「死刑」を扱う資格はないと思うのです。

 

  【朝日新聞 2014.1.5朝刊】

 

 宮城県石巻市で2010年、3人を殺傷したとして死刑判決を受けた元少年(22)の裁判員裁判で、検事が証言内容を指示した疑いが浮かんだ。事前に証人となる共犯者に、「(元少年の)犯行は計画的」と法廷で話すよう迫ったという。ほかの事件でも検察が証言内容を事前に証人とすり合わせたとみられる事例が相次いでおり、弁護側や裁判所からこの手法を問題視する指摘が出ている。

 証言内容をあらかじめ確認することを法曹関係者は「証人テスト」と呼ぶ。録音・録画の対象となる取り調べではないため、密室で証言が誘導される恐れがあると指摘されてきた。

 宮城の事件の最大の争点は、2人の殺害に計画性があったかどうかだった。裁判で問題となったのは、元少年の共犯とされ、服役中の男性(21)の証言。男性は仙台高裁で昨年4月、「(計画的殺人ではなかったと証言しようとしたが、証人テストで)だめだと検事に言われた」と述べ、一審・仙台地裁で偽証したことを認めた。「証人テストの際、『調書通りに答えればいいんですか』と言うと、『そのほうがいいね』と言われた」と告白した。

 男性は取り調べ段階では元少年が前日から殺害を計画していたと供述。この通り証言すれば、元少年を死刑とする決め手となり得た。男性は証人テスト時に検事から言われた指示に従い、供述調書の通りに法廷で証言。10年11月の一審判決は元少年を求刑通り死刑とした。

 男性は、検事から「結果は重大で遺族も極刑を望んでいる」と説得されて事実と異なる供述をしたといい、この経緯を知った元少年側の弁護団の依頼で、男性は二審の仙台高裁で証人テストでの出来事を証言した。これに対し検察側は「一審は総合的に判断して計画性を認めた」として一審判決を覆す根拠にならないと反論。二審判決は今月31日に言い渡される。

 ゆがんだ証人テストは冤罪(えんざい)を生みかねない。愛知県で08年11月に起きたコンビニ店の売上金窃盗事件。被告の店員の有罪を立証するため、1年後の公判に出廷した店長は、事件発覚の経緯について、捜査段階とは異なる証言をした。その理由を「証人テストで思い出した」と説明。この変遷を名古屋地裁は不自然と判断して「誘導の疑いを否定できない」と無罪に。検察側は控訴を断念した。

 証人テストの場で、検察官が捜査側の見立てを証人に押しつける実態は明らかにされてこなかった。朝日新聞は、相続税法違反事件をめぐって大津地検検事(当時)と証人との間で交わされた生々しいやりとりの録音記録を入手した。(岡本玄、西村圭史)証言の誘導や司法取引まがいの交渉、そして証人への圧力――。朝日新聞が入手した約3時間の録音データには、刑事裁判をゆがめかねない大津地検検事(当時)の証人テストでの発言が記録されていた。同じような問題点はほかの裁判でも指摘されており、適正な証人テストを求める声が高まっている。

 アユ養殖業の男性(46)は2007年6月、父親が遺(のこ)した約35億円のうち約2億円しか申告せず、相続税約15億円を脱税したとして母親や姉とともに逮捕された。無実を訴えた母と姉は起訴され、容疑を認めた男性は起訴猶予に。争いのポイントは、養殖業の事業主が父母のどちらなのかだった。母が事業主だと、そもそも「遺産」にはあたらない。

 10日後に証人尋問を控えた男性は、琵琶湖に近い大津地検3階の一室で男性検事(41)と向き合った。その際、ICレコーダーでやりとりを録音した。

 検事「お父さんが亡くなる直前、次の(アユ養殖業の)代表者を決めたのは誰ですか」
 男性「母です」
 検事「うん? 母ですか」
 検事は畳みかける。
 検事「もともとお父さんは、お姉さんを次期社長として育てようとしてた」「ところがその後お前(男性)が代表者であれと決めたんですよね」
 男性「まぁそう言ってましたね。お父さんは」
 検事「だから決めたのはお父さんなんでしょ」

 わずか2分強の証人テストのやり取りで、事業主として後継者を指名したのは、母ではなく父に。地検の描いたストーリー通りの証言を男性は求められた。

 男性は証言当日にもテストに呼ばれた。
 検事「お父さんが事業主ということになると、お母さんの役割は?」
 男性「役割ですか……。まぁ、お父さんの片腕」
 検事「ふーん、片腕……」「まぁ、端的に言うと、もう従業員だと」「そういうことにしてよろしいでしょうか」

 母の役割は「従業員」にまで格下げされた。このまま証言すれば、家族の有罪が裏付けられることになる。検事は、男性に言い聞かせていた。
 「お姉さんには『クモの糸』(起訴猶予)をつかむチャンスもあったわけよ」「ただそれをつかまへんかったんよ」

 逮捕直後に男性が取り調べの様子を記録した被疑者ノートには、こんな検事の言葉が記されていた。「この前までは君が引き返せる黄金の橋があったが、今ではただのつり橋程度しか残っていない。どうするのかは君の決断だけだぞ」

 男性は結局、証人テスト通りではなく「事業主は母」と証言し、無理やり父とする調書が作られたと訴えた。しかし判決は調書と異なる証言について、「信用できない」と退け、事業主は父と調書通り認定して母と姉を有罪とした。判決は確定し、男性は今も悔いる。「起訴猶予をちらつかされ、当初は容疑を認めた。でも家族を有罪にするため利用されただけだった」

 この検事が現在所属する京都地検は取材に、「対応できない」と回答した。

 ■共犯者裁判めぐり「取引」 調書通り証言なら求刑減、示唆

 証人テストに潜む危険性は「誘導」だけではない。「司法取引」まがいのやり取りがあったと裁判所が認定したケースもある。

 06年に起きた大阪府東大阪市の東大阪大生らへの集団暴行・殺人事件。小林竜司死刑囚(29)は大阪拘置所で、共犯者とされた知人男性(29)の弁護士に「新事実」を明かした。

 まだ自分の判決を受けていなかった小林死刑囚は、07年にあった知人男性の公判に出廷して証言することになった。その際検事から「協力すれば(自分の)求刑を無期懲役に下げる」「調書をよく確認して証言するように」と言われていた、という告白だった。

 小林死刑囚は調書を熟読して覚え、実際の証人尋問の際には法廷に調書を隠して持ちこんだ。検事からは「持っている書類が調書だということはしゃべるな。うまくやれ、と言われた」という。

 だが結局、小林死刑囚には同年5月に求刑通り死刑が言い渡された。検事とのやりとりを弁護士に伝えたのは、その判決直後だった。

 「求刑を盾に利益誘導され、検察官の筋書き通りの調書を丸暗記して証言していた」。弁護士は、違法な証人テストを受けた小林死刑囚の証言は信用できないとして、無罪を主張したが、大阪地裁は同年10月、男性を有罪とした。

 ただ判決は、検事が「(小林死刑囚に)判決が無期でもいいと思っている」と発言したと認定。「協力すれば有利になると示唆するようなもので望ましくない」と批判した。男性は二審の懲役18年が確定した。

 ■冤罪生む恐れ、記録残せ

 《解説》大阪地検特捜部による証拠改ざん事件が2010年に発覚したのを機に、捜査・公判をめぐる「検察改革」が進められているが、「証人テスト」は法制審議会で議論の対象にすらならずに見落とされてきた。刑事手続きの透明化を徹底するうえで、このような「ブラックボックス」を放置すべきではない。

 09年5月に裁判員裁判が導入され、「調書主義」から「口頭主義」への転換が図られた。法廷で語られることに基づいて審理する、との考え方だ。証言が重要視されるのに伴って、証人テストに力が注がれるようになる。だが、そこで捜査機関が見立てに沿った誘導や強要を行えば、冤罪(えんざい)を生んでしまうことは歴史が証明している。

 否認する容疑者の取り調べ中、「ぶっ殺すぞ」などの暴言が発覚して05年に検事を辞めた市川寛弁護士(48)は現役時代、同僚が証人に調書通りの「Q&A集」を渡すのを見たことがあるという。「『調書さえとれれば』という考えがあるから私のようなゆがんだ者が出る」と指摘する。

 刑事司法の信頼回復のためにも、証人テストのあり方を問い直す必要がある。検察官と証人とのやりとりについて、検証可能な形で記録が残されるよう、制度を改善すべきだ。(阿部峻介)

 

 

 

 

 

 

 


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