平成26年7月26日(土)から28日(月)
易老岳2,354m、光岳2,591.1m、加加森山2,418.9m、イザルガ岳2,540m、仁田岳2,523.8m
いよいよ夏山だ。22日に梅雨が明け、予定していた南アルプスへ行く準備は万端で週末を待つ。今回の計画は本当は昨年登る予定だったものだ。登山口に繋がる林道が一部崩落し、その復旧工事で時間帯通行止めになり日程が立たなくなって断念した。そんな訳で昨年は北アルプスに方面転換し、お陰で数年来の念願だった黒部源流部の山を巡れたのだからそのこと自体文句は無い。とはいえ、一年お預けだった南ア深南部、今度こそは…。幸い今回は通行規制も無く登山口までのアプローチには問題無かった。目的地は加加森山と信濃俣、光岳小屋でテント泊して深南部の2山をピストンするというものだった。
金曜の午後から休みを取り、食料を調達後高速で登山口の易老渡に向かう。上信道、長野道とも走行車両が多く、速度規制もあってかなり時間が掛かった。松川ICを降りたら6時を過ぎてしまった。周辺には食事をするような店も無く、高森町の大きなスーパーで弁当を買って夕飯にした。夕暮れの山間を旧上村に向かい、三遠南信自動車道の矢筈トンネルを潜って久々の遠山郷入り。天空の里『下栗集落』を過ぎて、未舗装の林道を延々と走り、すっかり真っ暗になった易老渡登山口に着いたら9時を回っていた。高速利用でも5時間以上掛かる遠いところだ。易老渡登山口の駐車場はかなりの車が停まっていたが、それでも所々に空きがあった。登山口寄りのいい場所に停めることができた。駐車場は30台も停めれば一杯、梅雨明け最初の週末でもあり駐車場に停められるか心配だったが、運良く停められた。しかし、車の主はもうほとんどは山に入っているのか、空の車が多い感じだ。今晩はこんな山間地でも蒸し暑く、直ぐにシュラフの上に横になって眠った。
26日(土)
アラームで4時に目覚める。今日は光岳小屋まで行くだけなのでそれ程早立ちする必要は無い。ゆっくり支度を始める。朝になってどんどん車がやってくるが、思った程は多くはないようだ。ここは易老渡だけではなく、奥の聖光小屋がある便ヶ島の聖岳登山口に向かって行く車もあるから、駐車場はまだ少しは停められる余裕がある。パンを食べて4時50分に出発する。夕べから引き続き蒸し暑い感じで、この中を重荷を担いで急登するのは先が思いやられる。
かなり川の高い所を渡るので高度感がある上に、網になって下がスカスカの鉄橋を渡り遠山川の対岸に渡る。そこから直ぐに急登が始まった。7年前に軽装で光岳ピストンをした時は易老岳まで3時間半で登ったが、あの時は荷も軽いし、季節も10月で涼しかった。ジグザグを切って雑木の急斜面を登っていく。後続の人の半分くらいは日帰りピストンのようで、先に道を譲りながらゆっくり登っていった。雑木から桧の森になり、2時間近く登ってやっと面平に出る。ここは桧の大木が茂る平坦地で、そこからまた急登が続くが、この先は所々に平坦な段がある。桧からコメツガに変わると原生林らしくなってきた。荷は最初は余り重く感じなかったが、登るにつれて肩に食い込むようになる。しかしそれよりも、陽も差さない森の中がちっとも風も無くてむっとしているのが堪える。既にびっしょり汗をかいている。7月下旬なのに、まだエゾハルゼミの声が森の中に響いている。コメツガからシラビソが優勢になって来る頃、下草は羊歯の緑が美しくさわやかになり、尾根らしい登りになってきた。
後続の人たちにどうぞどうぞと道を譲って、相変わらずのスローペース。テントを担いでという人も居ない訳ではないが、多くは小屋泊まりや日帰りピストンで、南アルプス南部も昔とは随分違う。光岳小屋は、夏の間は食事付きで泊まれるので百名山目当ての人が大半、今回は最後まで学生の団体を見なかった。中高年の4,5人のグループや夫婦連れが多く、若い人も昨年の北アルプスみたいには多くない。百名山なんて騒いでいるのも中心は中高年だろう。若い人はもう少しアルプス的な景観の山に行ってしまう様だ。南アルプス南部の中でも、ここは特に樹林帯が多くて地味な山域だ。
一段登ってはちょっと休み、といった感じで登っているので遅々として易老岳に着かない。朝はそれ程でもなかったが、この頃になるとアブを中心に飛ぶ虫が多く、目に飛び込んでくる小虫にはほとほと閉口。最初から刺す虫には危惧しているので、長袖シャツに手袋と、肌の露出は最小限にして注意していたが、それでも随分虫に刺されていた。
南の木々越しにこんもりした樹林の山が見えている。後で調べたらそれが加加森山の様だった。かなりバテバテの状態で、11時48分にやっと易老岳に着いた。前回は3時間半でここまで来たので、何と倍の時間が掛かっていた。易老岳まで来ると、茶臼方面から縦走してくる人や、早朝出発してもう光岳を往復して帰ってくる人など、急に人が多くなった。樹林の中で眺めの無い易老岳山頂でパンを食べて小休止。この暑いのに、今日は900mlのペットボトル2本しか水を持っていない。ここで2本目に手が付くが、静高平まで登れば冷たい水にありつけるだろうと水は我慢気味。
12時に易老岳を下って南アルプス主稜線を光岳に向かう。易老岳から下り始めるとシラビソの立ち枯れ越しに行く手に光岳を含む大きな山体が姿を現す。左の丸い山がイザルガ岳で、奥に幾らか尖って見えているのが光岳だ。その右に幾つかのコブでやや低い山が加加森山か?下からずっと登ってきて、樹林ばかりの所為かも知れないが花は少なく、ゴゼンタチバナとミヤマカタバミくらいしか目に付かなかった。
晴れてはいるが、雲が湧いて湿度が高く遠くは霞んでいる。易老岳から下って眺めの良い三吉平に出る。三吉平から更に下って最低鞍部に降り、ここから以前に登った時にも最後にきついなと思った上り返しがある。池が干上がった湿地状の鞍部から、岩ゴロの窪地の登りは歩きにくくて結構きつい。今回は荷が重いから尚更だった。後先していた人たちも、途中で休んでいたりしてこの登りはみんなきついんだな。振返ると聖や兎岳が見えてくるのだが、雲に隠れがちで良く見えなかった。東の方の茶臼岳や仁田岳、それに遠く笊ヶ岳や布引山が見えた。
400mばかりの上り返しに疲れて、3時になりようやく湿原末端の静高平に出た。冷たい水が導水パイプから流れていて、ここは本当にオアシスだ。『ここで水が出ている間は光岳小屋では水をお分けできません』という意味の看板が立っている。手持ちの全てのボトルに水を満たし。900mlのペットボトルにスポーツドリンクを作ると、今まで我慢気味の分をカバーするようにごくごく飲んだ。結局900ml全部一気に飲んでしまった。うめー。
見覚えのあるセンジヶ原を木道で進む。向うに赤い屋根の光岳小屋が見えてきた。センジヶ原の湿原にはイワカガミ、イワイチョウ、モミジカラマツ、ハクサンチドリ、ミヤマキンバイ等沢山の花が見られた。でもみんな小さな花ばかりで、良く見ないとピンクのイワカガミくらいしか目に付かなかった。3時40分にようやく光岳小屋に着いた。小屋の前には沢山の人がいる。小屋の上のテント場も下のテント場もテントで一杯だ。小屋でテントを張る手続きをして(幕営料400円)、どうにか下のテント場の片隅に僕のテントを張った。周囲のテントは単独の人と二人連れの人が半々くらいだ。テント場の南側はすぐに崩壊した崖の淵になって、信濃俣河内の源流部を挟んで向うに意外に近く信濃俣のピークが見えていた。あまりに疲れていて、この時はもうあそこまでは無理だなという気分が支配していた。
4時過ぎに早めの夕食を作って食べた。レトルトご飯にカレーに缶詰なので、あっという間に食べた。餅も食べたので腹だけは一杯だ。食べるともうぐったり。テントの外では周囲の人の話し声がしていたが、直ぐにシュラフに潜って寝てしまった。何度も目が覚めるが、夜中になってからテントを吹き飛ばすくらい強い風が吹きだして、朝になっても吹いていた。テントから外を見ると外は濃いガスで真っ白だった。
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登山口に行くまでが実は一番大変です。
登山口まで行けば登ったも同然ですね。今回は昨年の教訓を生かして?荷物は軽量化に努めました。暑さが一番の大敵です。なので、本当は秋に登れば良いんでしょうね。登りだしの標高が低いのでとても暑いです。南アルプスは一山一山が大きいので登り返しは仕方がないですね。北アルプスはその点ではいくらか楽です。