今度、どこ登ろうかな?

山と山登りについての独り言

・家老岳、貝鳴山

2014年12月07日 | 山登りの記録 2014
平成26年11月30日(日)
 家老岳1,413.8m、貝鳴山1,221m

 11月初めの3連休に南会津方面の山を幾つか登ろうと思って出発したが、天気が悪くてどこにも登れないで帰ってきた。翌週また土日の予定で出かけたが、日曜はお天気が崩れて長須ヶ玉山1山で終わってしまった。登ろうと思っていた候補は5山くらいあったが、流れてしまい未消化だ。中でも、家老岳と貝鳴山の2山は随分前から気になっていて、今回こそと思っていた山だった。両山とも会津の入口にあって、この方面に出かける度にその姿を見上げていた。前回は仕切直しで信州に向かったが、家老岳と貝鳴山だけは心残りで、どうしても今年中に登っておきたかった。今回は土日の天気予報が芳しくない。金土と雨で月曜も雨だが、その狭間の日曜は会津方面曇り時々晴れということ。なので、雨さえ降らなければという気持ちで会津に向かった。

 土曜の夜に家を出て、通いなれた会津に向かう。途中、日光も鬼怒川も既に観光シーズンが終わったのかひっそりとしていた。夜の10時過ぎに『道の駅たじま』に着いて、ここの駐車場で車中泊とした。家老岳も貝鳴山もここから直ぐだ。翌朝6時に目覚める。11月の3連休の時は、停める所も無いくらい車中泊の車で一杯だった道の駅の駐車場も、今日は車が少なくて閑散としていた。トイレが改装工事中で仮設トイレが大型車の駐車場あたりに並んでいる。空はどんよりと曇って、雨こそ落ちてこないが、周囲の山の山頂部は雲が低く垂れ込めている様な状況だ。支度も食事もしないで、とりあえず最初に登ろうと思っている家老岳の登山口に向かう。

 道の駅から田島方面に向かい、桧枝岐への分岐を過ぎて直ぐ会津鉄道の七ヶ岳登山口駅の先、鳥居の所から斜めに道が延びている。今回は、福島登高会さんやしぼれさんの記録を参考にさせて頂いたが、この道が家老岳の北側に流れている羽塩沢沿いに奥まで続いている林道(作業道)の入口だ。家老岳から北西に落ちている尾根の末端が羽塩沢の奥にあって、今回はこの尾根を使って登ろうと思っていた。道は踏み切りを渡ると直ぐに未舗装になり、500mも行かないうちにかなりのラフロードになった。オマケに道の両側から生い茂るススキや潅木枝が被って車のボディーを擦り始めた。こんな感じで、記録に紹介されていた二股分岐まではとても乗用車じゃ止めたほうが良い。結果的には、二股分岐の500mくらい手前の余地に車を停めて、ここから歩くことにした(標高約700m地点)。ジャムコッペパンを食べて、支度をし7時11分に空を仰ぎながら出発する。

 500mくらい沢沿いに進んでいくと益々道はぬかって悪くなってきた。記録では「二股に分岐している地点…」とあり、2万5千図でもその通りだが、実際には手前に2ヶ所道が分岐している所があるが、これは全て左の道を進む。地図上の二股分岐地点にはネットで見ていた「二岐 羽塩沢 家老岳→」の茶色いプレートが木に打ち付けられていた。こんな風に書かれていると、まるで夏道でもある様に思ってしまうが、残念ながら家老岳は夏道など無い全くの薮山だ。羽塩沢沿いに奥に進んでいくと、見上げる山の稜線は益々雲が低く垂れ込めてくる。部分的には雲も薄いところがあって、青空が切れ端の様に見えている。枝沢が横切る所は雨の後なので道が冠水していた。そうして20分くらい分岐から歩いたら、左から流入してくる支沢に小さな滝が見られ、右に流れている羽塩沢本流にも小さな滝があって、苔むしたコンクリート堰堤の所で道は終わった。

 記録によれば、林道(作業道)終点の所から始まる尾根末端がルートの様だ。尾根末端を7時44分に登り始める。尾根末端は低木藪で、直ぐ上は岩がちの急な斜面になっている。初め踏跡と見えた切り開きは単なる錯覚で、この先踏跡やテープなどのマーキング類は山頂まで全く見なかった。幾つかの記録には、テープがあったというものもあったが、少なくとも今回は全く見なかったからこのルートを辿る人も少ない様だ。尾根末端はもの凄い急斜面の上に岩が多くて登りづらい。登ってから、ここは尾根の右手に入り込んでいる沢を少し進んでから斜面に取り付く方が容易だと思った。岩がちの急斜面を登りきると一段落して傾斜が緩む。余りさえないお天気ながら、木々を透かして家老岳の北西にある松倉山が見えている。尾根はカエデやリョウブなどの細い雑木が茂るが、藪も無く歩き易い。登るに連れて国道沿いの集落が木々越しに見えてくるが、七ヶ岳辺りは雲が被って中腹以下しか見えない。

 2ヶ所程小さなギャップがあったが、尾根幅が広がる1,000m付近と稜線に繋がる辺りを除いては、基本的には尾根はずっと急な登りが続いていた。尾根の取り付きから、目印に適宜テープを付けながら登ってきたが、この尾根は稜線に繋がる平坦地以外はあまりルートファインディングも必要ない。1,200m付近からひざ下の笹が出てくる。これも登る邪魔にはならない。この辺りまで登ってようやく家老岳らしい山が左手に見えてきた。稜線の西にある1250m程のコブは下から見えているので、これを高さの目安に登ってきた。尾根は1,250mを越えると笹がいよいよ深くなるが、腰丈を越える所は少ない。笹以外には絡むものもない単独藪なので、容易に搔き分けていける。

 9時36分に平坦な笹原に登り着き、ここで稜線と合流する。稜線はあまり太くないブナの森で。家老岳には東に進路を変えるが、この辺りの南側はかつて皆伐されたらしくカヤトの斜面が大きく広がっている。天気が良ければ眺めも良いのだろうが、あいにく低く雲が垂れ込めて、目の前はガスの白い幕で展望は無かった。この先しばらくは平坦で笹が無い所もある。傾斜がきつくなってきた辺りからは笹も深くなってきた。一部胸を越して泳ぐような所もあるが、大体は腰から下で容易に歩ける程度のものだ。南斜面沿いに登って行くと、低木がジャングル状になって、また稜の中央に戻る。行く手に山頂と思われる高みが近づいた。ブナに一部落葉松も混じった平らな樹林に出て傾斜が無くなった。やや高い中央辺りが山頂か?笹を掻き分けてそこまで行くと、倒木が幾つか散乱する中、木のやや高い所に『家老岳1414m 黒羽山の会』と紺色の文字で書かれたプレートが打ち付けられていた。家老岳山頂に10時3分に着いた。周囲をぐるぐる回るが、笹薮は深く三角点が見当たらない。M大の青プレートも文字が消えて離れた木に付いていたのを確認した。家老岳プレートの付いた木の横に倒木が一本横たわっている。藪で腰も下ろせないから、この倒木に荷物を置いて更に探すと、プレートが付いた木の西側2mくらいのヤブの中に苔むした三等三角点の頭を確認した。半分以上土に埋っていた。

 倒木に腰掛けてクリーム大福アンパンとしみせんべいを食べる。相変わらず霧が巻いて、その霧の中から木々がぼうっと浮かび上がっている。朝は青空が所々に見えていたが、山頂付近は雲が被っているのだろう。10時23分に家老岳山頂を後にする。笹をかき分けながら降りていくと、1360mのカヤトの辺りで霧が晴れて南の展望があった。雲が低く被っていて全体にこういう天気になっている様で、貝鳴山の向こうに見える栃木県側の横川放牧場辺りには陽が当たっているのが分かる。ここから尾根に下る分岐のカヤト辺りまでは陽が当たっていたので晴れてくるのかと思ったが、結局また同じ様などんよりとした天気に戻ってしまった。尾根に下るあたりで勘違いしてそのまま降りてしまうところだったが、行きに付けてきたテープを確認して間違わずに済んだ。テープを全部回収して尾根を下り、林道の終点でまた一休み。林道を引き返して12時23分に車に戻った。

 車に乗って貝鳴山の登山口である荻野集落に向かう。荻野の集落は10軒前後の家があるが、全てに人が住んでいる訳でもない様だ。国道側に広い駐車場と集会所があるが、集会所とその敷地の中には入らない様にという趣旨の「なんとか財産区」の注意書きがあってロープが張られていた。集会所前の道路脇スペースに車を停めさせてもらう。この辺りの家は元々茅葺きだったらしく、今は皆その上にトタン板を被せてある。12時50分に民家の裏にあるお稲荷さんの所から貝鳴山に向かう。

 稲荷祠の裏側から栗などの雑木が茂る急斜面を延々と登っていく。踏み跡が幾つもあるが、どれを辿っても上で一緒になる。国道を走る車を真下に見ながらジグザグに登っていくのだが、落ち葉の急斜面は滑り落ちそうだ。午前中に登った家老岳が西に木々越しに見えている。国道を挟んだ反対側の山並みの高さを目安にしながら兎に角登り続ける。相変わらずの薄暗い曇り空で、風もいくらか吹いてきて寒いが、登っている間は暑くて汗をかいてくる。急な登りが終わり、やや傾斜が緩んだ尾根を尚もしばらく登るが、この付近は栗の木が多くイガグリが沢山足元に落ちていた。登りきった所に4つの石に囲まれた二等三角点標石がぽつんとあった。かつてはこの1,196.7mのピークを貝鳴山山頂としていた様だが、現在の地理院2万5千図ではこの稜線の先1,222mの図根点がある最高地点を貝鳴山山頂としている。

 三角点峰から南に栗やナラ、リョウブなどの雑木が茂る稜線を歩いて途中小山を幾つか越えていく。右手真下に道の駅たじまが見下ろせる。貝鳴山という名前は、かつてこの山の山頂から狼煙を上げたり、合図のほら貝を吹いたりしたことが謂れという。会津の入口にあたるこの山は、形からして良い目印になったのだろう。山頂の手前に台状の岩がどんと載っているピークがある。ここが狼煙台と言われて居るそうだ。その先が貝鳴山の山頂だった。2時23分に貝鳴山山頂に着いた。図根点標石がぽつんとあるだけで、他には何も無かった。木々を透かして寒そうに家老岳が見えていた。この時間とも思えない夕暮れのような雰囲気だ。貝鳴山山頂で湯を沸かしてカップラーメンを食べようと思っていたのだが、あまりお腹も空いていないのでカレーパンを食べて2時40分に降りる。黒い雲が集まってきて、ますます薄暗くなってくる。

 荻野の集落まで降りたらすっかり夕方の気配だ。家々からは煙が出ているので、まだこの辺りの家では囲炉裏を使っているのだろうか?集会所の前に3時34分に戻った。小学校低学年くらいの愛想の良い男の子がぼくに挨拶をして、くるくると周囲の道路を自転車に乗って遊んでいる。今の時代に余りにも素朴な山村の夕暮れだ。もう直、会津にも雪と共に冬がやってくる。今日はそんな冬になる直前の、序奏の様などんよりと曇った一日だった。

 支度をして、薄暗くなってきた道路を田島方面に戻り、檜枝岐に向かって会津高原駅の手前にある滝の原温泉の集落を横目で見ながら国道沿いにある『夢の湯』に寄る。いつもこの前を車で通っていたが、ここに寄るのは今日が初めてだ。ここは旅館ということだが、日帰り入浴500円の看板が出ていたので何時か寄ってみようと思っていた。夢の湯という名前は、ここのオーナーが田んぼから温泉が湧き出した夢を見て掘削したところ本当に温泉が出たという、嘘の様な理由に依るものだ。宿の前の道路沿いに10台位車が停まっていたので混んでいるのかと思ったが、内湯だけの小さなお風呂には3人しか先客は居なかった。先に入っていた老人と、小さな子供連れのお父さんは、ぼくが入ると直ぐに出て行ってしまったので、また独り占めになった。源泉掛け流しということで、色々と能書きや、はたまた温泉の謂れ等がお風呂の壁に書いてある。熱くもぬるくもなくて丁度良い湯加減だ。無色透明、ほのかに硫黄の様な匂いがした。直ぐ近くの滝の原温泉はどんな温泉なのだろう?ゆっくりと、のぼせるくらい充分湯に浸かり冷えた身体を温めた。

 お風呂から出る時になって若者5人グループと、別に2人入ってきて小さなお風呂は一瞬にしてごった返した。ホンの時間差、一緒じゃなくて良かった。入浴後はすっかり夜になった会津を後に家路に着いた。

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2 コメント

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家老岳は正統的な場所から登ったんですね (ノラ)
2014-12-07 14:01:46
あさぎまだらさん こんにちは。いやほんとに寒くなりましたね。今回の寒波でもう家老岳も雪に覆われているでしょうか?もし雪が積もっていたとしたら,雪の無いラストチャンスに登られたことになりますね。私はてっきり萩野から2山ともピストンかなって思ってましたが。萩野では犬にほえられませんでしたか?家老岳と貝鳴山は周回も可能なんですが,間が相当な薮らしいです。いつかは周回と思っているのですがなかなかチャンスが無くって。
夢の湯は面白いネーミングだと思ってましたが,そういういわれがあるとは。まだ一度も入ったことは有りません。何度その前を通ったかは分かりません。
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藪に濃淡がありますね (あさぎまだら)
2014-12-07 14:57:42
ノラさんこんにちは。
冬型が強くなって風も冷たいです。赤城の駒ケ岳と黒檜は白くなっています。袈裟丸は雪雲に埋まって見えません。会津も雪に埋まりましたかね。
荻野の集落は静かでした。煙が昇る家のおばあちゃんと話をしましたが、人が居ない家も多いらしいです。
家老岳寄りの家の犬は吠えてましたね。行きにはおとなしかったですが、下って来るときに吠えていました。
両山繋いで登ることも可能でしょうが、このあたりの藪は結構濃淡がありますね。薄い所は無いに等しいところもあって濃い所は胸を超す笹薮です。ですが、基本的には笹の単独ですから困難じゃないでしょうね。
夢の湯はスキーの時期くらいしか泊まる人も居ない様でした。道端で目立つので日帰り入浴客は多いみたいです。狭い内湯だけですけど、雰囲気は良いし泉質も良いようでした。
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