今度、どこ登ろうかな?

山と山登りについての独り言

・四阿屋山、虚空蔵山、十観山

2014年12月04日 | 山登りの記録 2014

・四阿屋山、虚空蔵山、十観山 平成26年11月24日(月)
 四阿屋山1,386.9m、虚空蔵山1,135m、十観山1,284.5m

 金松寺山と天狗岩に登った翌日、以前から気になっていた長野の低山巡りをする。
 まず最初は、四阿屋山だ。同じ『あずまやさん』という呼び名の山は他に幾つもあるが、ここと同じ字を書くのは秩父の四阿屋山だ。東京に近いハイキングエリアの山なので一般的にはこの方が有名だろう。前夜松本で食事をした後、四阿屋山登山口に向かう。この四阿屋山は四方から登山道が延びており、周囲は小さな村々だけに、どこもが地元の山という意識がありあちこちから登られている様だ(現在は3村が合併した筑北村と麻績村に跨っている)。実際、長野道や国道403号からは大きく根を張った見事な山容を見せている。今回は、この山の中腹を巻いている四阿屋山林道からさくっと登ろうと、最短登山道である刈谷沢登山口(旧坂北村)から登ることにした。夜の9時頃、登山口の前にある駐車場に着いた。駐車場の柵の向こうには少ない明かりの夜景が広がっているが、朝になってここが素晴らしい展望台ということが分かった。疲れていたこともあり、9時過ぎに直ぐシュラフに潜って寝てしまった。

 翌朝アラームで6時30分に目覚める。天気予報では前日が晴れで、今日が曇り時々晴れというものだったが、実際には昨日は雲が多くて今日は文句のない快晴だ。車を降りると、目の前には北アルプスの日の出前の荘厳な展望があった。山に登る前から既に素晴らしい展望台に居た。白銀の北アルプスの山並が、蝶ヶ岳・槍穂高から針ノ木・蓮華岳まで見えている(この上の四阿屋山展望台からは白馬連峰までずらり)。朝からこんなモルゲンロートの展望を見たら、忙しく山に登る気分にもならない。ここの登山口には、「四阿屋山頂への最短コース」と書いてあって、山頂まで50分とあった。パンを食べて、ゆっくり支度をして7時に最短登山道(ふるさと120山では東山コースとある)に入る。ここも登り口周辺は松山で、松ぼっくりが沢山落ちている。松茸山では無いのだろうか?この辺りには例の『入山禁止』の看板や、張り巡らされたロープは無かった。赤松の斜面をジグザグに登って行くと、中村登山口(麻績村)の道と合流し、ここから尾根までは結構登る。

 尾根からは木々越しに四阿屋山らしいピークが見えている。南は幾重にも低い山並みが続いているが、四阿屋山よりも少し高い山が隣に見えた。これは四阿屋山より確かに少し高いが、山容からして余り目立たない大沢山という山らしい。風が結構強く吹いている。昨日よりもスッキリと晴れて快晴だが、この日の午前中は風が吹いていることもあって気温は低くないが寒く感じた。北側に弧を描くように回りこんで低木薮を切り開いた様な道になる。もう直ぐそこが山頂と思って登りついたピークは四阿屋山展望台で、そこからは更に素晴らしい展望が広がっていた。北側だけの眺めだが、聖山が大きく手前にあって、その奥にずらりと白銀に輝く北アルプスのほぼ全山が並んでいた。聖山と周辺の山は島の様になって雲海の上に浮かんでいる。駐車場からは蓮華岳から北は見えなかったが、ここからだと南は蝶ヶ岳・穂高(重なっている)から白馬三山まで良く見えた。展望台ピークは周囲が伐採されていてこうした展望を確保している。眺めを楽しんで写真に収め、まだ先にある山頂に向かう。そこからは赤松と落葉松が混じった細い稜線を少しで四阿屋山山頂だった。8時8分に着いた。展望台と違って山頂は鎮守の森みたいに木々に囲まれて眺めは無い。古い社殿(四阿屋山神社)が北側の一段低い所に建っていた。社殿の北側の一部だけが避難小屋になっていて中に入れるが、他は鍵が掛けられている。北に階段が下り鳥居があった。この下からも旧坂井村側の草湯温泉登山道と麻績村の室井登山道が上がっている。四阿屋山の東側はブナ林になっており、ここだけ自然が残っている感じだ。この山は赤松を中心に栗・ナラ等の雑木と落葉松植林が植生の大半で、ほぼ二次林や人工林の山だが、こちら側の一部だけに自然林が残っているのが面白い。ブナ原生林は村の天然記念物に指定されているということで、看板が立っていた。あるいは四阿屋山神社があることで、この辺りだけは木を残してきたのかもしれない。

 四阿屋山山頂には三等三角点と山頂標識があり、南に細長く平坦地が延びている。南や西は木々越しに同じ様な山並みが続いているが、東は木を透かして下に村の集落が見え、遠くに山高帽型のつんと突き立った形の良い山が見えたが、これは冠着山だ。眺めの無い四阿屋山から展望台に引き返して、ここで小休止とする。それにしても素晴らしい展望台だった。8時38分に来た道を戻り8時59分に駐車場に着いて車で次の山に向かう。

 車に乗って次の山である虚空蔵山に向かう。この時、夕べ筑北村から上って来たとおり林道を戻れば良かったのだが…。この四阿屋山林道を先に進めば簡単に下に降りられると、地図を確かめもせずナビも付けないままで走ったが、山の高い所を延々と走り続けて下に降りていく気配が無い。ますます山奥に向かって行く様で、そのうちには未舗装路になってしまった。未舗装路といっても荒れてはいないので、しばらくそのまま走ると舗装された道路に出て、何となく左折し狭いトンネルを潜ったら『青木村』の表示看板があった。虚空蔵山へ向かう道ではなく、飛び越して反対側の村に出てしまった様だ。今度はナビを付けて虚空蔵山の登山口を目指す。林道から飛び出した舗装された道路はR143で、一旦長野自動車道が通る旧本城村まで迂回してから、旧四賀村の虚空蔵山登山口に向かう様にナビゲーションされた。なので、四阿屋山林道を反対に走ったばかりに、結果としてはかなり余分に走ってしまったということだった。

 虚空蔵山にも幾つもの登山口があるが、今回は虚空蔵林道の中ほどにある岩屋社登山道を登ることにしていた。しかし、林道入口までやってくると「林道崩落により通行止」とあり、車止めで塞いである。林道入口は四賀有機堆肥センター(堆肥を作っている所)という施設の所から始まるのだが、地図と『信州ふるさと120山』の本で確認すると林道入口から直ぐ上に東登山道という別の登山口もあるらしいので、急遽そこから登ることにした。有機堆肥センターというだけあって、周囲は堆肥の鼻を突く臭いが充満していた。車止めを動かして車を入れ、舗装された林道の大きなカーブを上ると、そこに『虚空蔵山自然探勝道経由 虚空蔵山登山口』と表示された標柱が立っていた。林道脇に車を止めて10時12分に登山口を出発する。始めは幅の広い道を登って行くと直ぐに左手にあずまやがあり、登山道は右の尾根を登る細道になった。しばらくジグザグに登ると先程の有機堆肥センターの建物が真下に見え、そのまま尾根を登り続けて松の木が多い痩せた稜線に出た。もう既に旧四賀村の集落が箱庭の様に下に展開している。朝からの風も止んで小春日和の暖かい陽射しが注いでいるので暑い位だ。もう山頂までわずかと思われたが、虚空蔵山の山頂は東西に細長く、南面は岩場のある崖になってしばらくは小さなコブを幾つも越えていく。細長い山頂稜線の一番西端が山頂で、そこは5m四方くらいの平坦な芝地になっていた。

 虚空蔵山山頂に10時56分に着いた。山頂の中央にはきれいな花崗岩の標柱が立って、「虚空蔵山城跡」と刻まれている。この山頂には戦国時代に上杉系の会田氏という豪族の山城があったのだという。今でも会田という地名は麓に残り、虚空蔵山は別名会田富士とも呼ばれている。会田の庄から見上げると富士山型に見えるらしい。標高の割りには麓の集落からぐんとせり上がって、見る方向からだと随分形も違うが、どこから眺めても非常に目を引く山だ。期待した展望だったが、南側以外は木々が茂って余り良くない。四阿屋山展望台で見事だった北アルプスの眺めも、北側は木々越しにホンの少し見える程度だった。山頂の一角に腰掛けて、リンゴと松本のスーパーで買った野沢菜が入ったおやきパンを食べたが、これは大変美味しかった。11時15分に山頂を下り、11時40分に車に戻った。

 午後になると、陽の短いこの時期だけに夕方も早い。この日の最後の山である青木村の十観山に向かう。青木村に向かう道からも、虚空蔵山はせり上がって良い形で見えていた。道端に車を停めて虚空蔵山の写真を撮った。そこには見事な公孫樹(イチョウ)の木があり、天然記念物になっている様だった。間違えたこともあって、今日2回目の通過になる青木峠の明通トンネルを抜けて青木村に下っていくと、6年前に登った懐かしい子檀嶺岳(こまゆみだけ)が見えてきた。南にはずんぐりした夫神岳の姿も見えている。あの時は子檀嶺岳をはじめ塩田平を巡る夫神岳、女神岳、大明神岳に登ったのだが、今回登る十観山は目立たなくて登る候補にもしていなかった。しかし、地元青木村では、子檀嶺岳と夫神岳とこの十観山を合わせて青木三山と呼んでいるそうだ。

 青木村には田沢温泉というひなびた湯治湯がある。その奥には沓掛温泉という更にひなびた温泉もあるらしいが、十観山の登山口はその田沢温泉から上っている林道を上りきった所にある横手キャンプ場と信州昆虫資料館の先だ。キャンプ場の前に十観山の大きな案内看板があった。ここから左に昆虫資料館に向かって車道を少し進んだ所に駐車余地があったので車を停めて、12時44分に出発する。いきなり頭の上をパラグライダーが通過していった。周囲は雑木の気持ちの良い林で先のカーブを曲がる所に関係者以外立ち入り禁止の札があって先に道が延びている。この先にパラグライダーの滑空場(パラグライダーパーク)がある様だ。何度か車道をターンして登っていく。東に夫神岳と青木村の集落を俯瞰する眺めがある。しばらく歩くと、そこに十観山登山口(十観山遊歩道の看板)があった。登山口を12時58分に通過してジグザグの道を登って行く。この辺りも落葉松林になっている。登り始めたら何人もの人の声が上から聞こえてくるので、今日は今までの2山では全く人に会わなかったが、ここで団体さんと一緒か…とちょっとガッカリする。10人くらいの高齢の団体さんを直ぐ上で追い越した。ジグザグが終わると饅頭形の山を真っ直ぐ登る様になった。造ったばかりと言う感じのバイオトイレがあり、最後の急登を登りきると平らで広い山頂に出た。全体は落葉松林に覆われているが、東側だけ伐採してあって眺めが広がっている。十観山という名前からして眺めの良い山という意味なのだろう、でも実際には伐採してある東面しか展望は無い。木々を透かして北アルプスの白い山並みが確認できるが、そちら側のすっきりした展望は無かった。

 1時29分に十観山山頂に着いた。奥の林の中に三等三角点があり、これも新しい山頂名の標識が立っていた。東端の片隅に座って残りのパンやラーメンピーナッツを摘んだ。ここからは青木村と塩田平の集落を囲むように子檀嶺岳と夫神岳、独鈷山等が見え、遠くに浅間山やそれに続く浅間連峰、分けても烏帽子岳と湯ノ丸山が近くに見えた。その北の四阿山や草津白根方面はやや霞んでいた。間もなく先程追い越して来た高齢の男女入り混じった団体さんが登って来たが、話しぶり等から下の温泉に同窓会で集まった人たちらしく、紳士的なみなさんだった。

 十観山の展望を楽しんで、1時52分に山頂を降りる。元来た道を引き返して2時19分に車に戻った。お気軽山を3山巡っただけだが、陽の短い時期でもありこの山で本日は終了とした。林道を降りて田沢温泉の一番奥にある有乳湯(うちゆ)という共同浴場に寄って行く。共同浴場といっても外観は古風な造りながら、中はタイル張りの日帰り温泉風だ。露天風呂は無いが浴場はそこそこ広い。かなり人気のある施設らしくて混んでいたが、丁度ぼくが入っていったら、それまで入っていた人が順次出て行ったので、運よく空いた温泉を楽しめた。ややぬるめの温泉に長く浸かった。ぼくが湯から上がって着替えをしていると、何故かまた少しずつ混んできた。この有乳湯という不思議な名前は、この温泉に浸かると乳の出が良くなるという謂れがあるからだそうだ。いわゆる子宝の湯というものらしい。田沢温泉は旅館が数軒の小さな温泉だが、石畳の両脇に古い建物が並んで歴史を感じさせ風情がある。島崎藤村の『千曲川のスケッチ』に登場した旅館が今でも木造3階建てのそのままの姿で営業している。ここ自体が古い家並みの観光地の様でもある。汗を流して良く温まり、温泉街を後にした。

 青木村の道の駅でお土産を買って帰るが、そこから子檀嶺岳、十観山、夫神岳と丁度良い間隔で青木三山が夕日を浴びて見送ってくれた


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2 コメント

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虚空蔵山がなかなか見つかりませんでした (ノラ)
2014-12-05 20:21:19
あさぎまだらさん こんばんは。四阿屋山と十観山は割と簡単に見つかったんですが,虚空蔵山だけが上田にある虚空蔵山に目が行ってしまって。なかなか見つかりませんでした。それにしてもこの辺りいくつも山がありますね。あさぎまだらさんの記録よまなったらまづ気にもしない山です。いやはや。
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虚空蔵山 (あさぎまだら)
2014-12-06 14:47:12
ノラさんこんにちは。
冬型が強くなって寒いですね。赤城山にも雪が降っている様です。
虚空蔵山っていう山は幾つもあるようですね。四阿屋山も秩父の方が有名な様ですし。これらは長野の真ん中にある山々です。筑摩山地に含まれます。筑摩山地は南は霧ヶ峰から北は聖山の北辺りの低山までの範囲ですね。長野県の真ん中にどーんとある山の塊です。聖山の北にも虚空蔵山という同名の山がありますね。
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