今度、どこ登ろうかな?

山と山登りについての独り言

・松岩山

2014年11月21日 | 山登りの記録 2014
平成26年11月11日(火)
 松岩山1,512.1m

 毎年恒例の人間ドックは、いつもの様に六合温泉医療センターで受診する。ここのドックに通う様になってしばらく経つ。昨年は5月だったので、いつもの11月とは勝手が違ったが、GW直後に何度も登っている野反湖周辺の山を登った。ドックのついでに温泉に入り、山にも登れて美味しいものを腹一杯食べられる。その上宿泊してドックを受診するのは、何故かいつもぼくだけなので、ぼく一人のためにみなさんがサービスしてくれている様な「お殿様気分」も味わえて、こんな楽しいドックも他には無いのだった。だが、松岩山から始まった『ドックのついでハイク』も、残念ながらもう登っていない山が六合周辺に無くなってしまっていた。そんなこともあって今年は違う施設も考えたのだが、結局また通い慣れた?ここにしてしまったのだった。

 事前の天気予報では11日は雨模様ということ…一昨年もそうだったが、天気が悪いと何もすることが無い山の中で半日宿泊部屋に缶詰なのかと思った。しかし、天気次第では、今回再訪となる松岩山にもう一度登ろうと決めていた。松岩山に登ったのは、六合での最初のドックの時で、あれからもう6年も経っていた。

 11日の初日は午前中でドックの全てのメニューは終わって、温泉に浸かってからお腹がパンパンになる程種類も量も多い昼食を食べた。苦しいお腹のまま山支度をして、腹ごなしの松岩山ハイクに出かける。医療センターの外に出ると、空はどんより曇ってはいるが、取りあえず雨が降ってきそうな雰囲気は無い。今年は例年よりも寒くない感じだ。毎年来るので顔なじみになっているドック棟で賄い係をしているおばさんに聞いたところでは、先日もの凄く寒い日があったけれど、今日は割合暖かいと言っていた。

 医療センターの所から始まる林道で一山越えると、世立集落の最上部で『よってがねぇ館』というふるさと活性化センターの所に出る。六合村が中之条町と合併してからは、こういった村時代に建てられた施設が余り活用されなくなってしまったのか、建物の中にヒトケは無く最近使われている気配が無い、ここは現在閉鎖されて居る様だった (hpでは水木休館とあるが、この日は火曜日)。そこから暮坂峠方面に少し進んだ所に分岐する林道入口があり、前に来た時には無かった『松岩山登山口』と書かれた案内標識があった。以前と同じく入口はチェーンで閉鎖されていないので、そのまま車で入り、終点の広々した圃場脇の駐車スペースに車を停めた。前に来た時はこの圃場に色々な野菜が作られていたのだが、今は何も無かった。

 ここからは眺めが良く、西に草津白根山と草津温泉街が見えるのだが、どんよりと曇って低く降りた雲は白根の上を隠していた。草津温泉街は正面に見えている。車から降りて支度をして1時3分に出発する。未舗装の作業道をしばらく進んでから登山道になるのだが、上っていく坂の手前に松岩山登山道と書かれ『薮山マニアに人気の山…云々』という松岩山の説明まで書かれた立派な看板が立てられていた。6年前に登った時には手作りの素朴な木製標識はあったが、こんな立派なプレート類は無かった。この様に山頂までの間の何箇所かに地点名が刻まれた立派な木製標柱があったし、山頂には立派な山名標識が2本も立っていたのだ。これは中之条町と合併後に町が建てたものだ。薮山マニアはあまり立派な標識は歓迎しない様にも思うのだが…というか、今回登った感じでは、松岩山は既に薮山では無くて普通のハイキング山という感じになっていた。松岩山が薮山だったのは既に昔の話だ。

 作業道を歩いていくと、南に松岩山らしい山が手前の稜線の向こうに見えてきた。しかし、帰りに良く確認したところ松岩山と見えたのは前衛峰で、松岩山本峰は下からは見えないのだった。今年は紅葉が早くて、この辺りは既に落葉して山は冬の装いになっている。作業道が峠状になって尾根を越える。ここで登山道に入るのだが、ここにも立派な標柱があって『マタギ平』という地名が書かれていた。6年前にあった小さな松岩山と書かれた木のプレートも健在だった。ひざ下の笹に覆われた尾根を緩やかに登って、どちらかというと巻き気味に進んでいく。最近刈り払いはしていない様なので、ここから天狗岩(松岩)の登りになる所までは笹が道を隠して薮山の雰囲気を「演出」していた。

 『天狗の踊り場』という平坦地を過ぎ、松岩への登りになる。ここにも立派な標柱が立つ。ジグザグから東側に回りこんで天狗岩分岐に出る。周辺はナラが主体の感じの良い樹林が広がる。登り始めはどんよりと曇っていたが、何時の間にか雲が消えて空全体が青空に変わってきていた。低木がやや煩わしい痩せ尾根を登って、2時15分に天狗岩に出た。両側が狭まった小さなピークで、突端が岩峰になっている。6年前は今日の登りだしと同じ様な天気で、どんよりと低い雲に覆われ全体として霞んでいて大した眺めも無かった。しかし、今日はグッドタイミングで晴れてきて、浅間山から草津白根、八間山や白砂山などの県境の山々がパノラマで広がり最高の展望台になった。

 かつて松岩(山)と呼ばれていたのはこの岩峰を指していた、ということを以前聞いた。しかし、現在は三角点のあるこの先の1,512m峰が松岩山と呼ばれている。そのピークの手前に今も残っている(文字が消えて一部読めなくなっていた)昭和40年の営林署の標識には『岩松山』と書かれている。何とも言えないが、天狗岩と呼ばれるこのピークが、元々の『松岩』で現在の松岩山は岩松山という名前だったのでは?という疑問も残る。どっちにしても、遠くから目に付くのはこの岩峰で、これを通称『松岩』と呼んでいたのではないかという事は容易に想像できる。

 前回は復路で立ち寄り、大した眺めも無く直ぐに立ち去った天狗岩(松岩)だったが、今回は眺めが良いのでしばらく山座同定等も楽しんで長居をした。展望を楽しんでから分岐に戻り、細い尾根をしばらく辿ると、東に派生した尾根との繋ぎ目に『十二山分岐』という標識が立っている。十二山というのは山の神だ。前回そんなものは無かった。ここから派生している分岐尾根の外れに小さなピークが見えるが、あれが十二山だろうか?(後で聞いた所によると、松岩山ではなくこの十二山が信仰対象になっていたらしい)。十二山分岐から前山を一山越えて、次に現れた三角ピークが松岩山だ。前に登った時の記憶があいまいで、こんなに手前に幾つもピークがあったかなと思いながら前衛峰を登り松岩山本峰との鞍部に降りると、これは前回見て記憶のある営林署の歩道新設を表示したプレートが健在だった。昭和40年のもので、岩松山と書かれていた例のプレートだ。残念ながら6年前はちゃんと読めた文字もブリキ板のペンキが剥がれて一部判読不明になり岩松山の文字も消えていた。

 潅木の中、最後はもの凄く急な登りでヒザ丈の笹の広がる松岩山山頂に3時に着いた。見覚えのある南側に並んだ落葉松も既に葉を落としていた。すっかり晴れた空の下、思いの外今日は暖かだ。6年前は棒杭にGさんプレートが一つぶら下がり、いかにも薮山らしい風情を漂わせていた松岩山の山頂だったが、そこには山頂名の刻まれた木製標柱が2つ立っていた。2本も山頂標識は要らないと思うが…その標識の足元に外れて落ちたのであろう、Gさんのプレートとすかいさんのプレートが並べて立てかけられていた。二等三角点も以前は笹薮の中に埋もれていたのが、人が4,5人は座れそうな裸地ができてそこにぽつんとあった。群馬100名山から漏れた松岩山にも最近は人が多く訪れるようになった様で、中之条と合併してから町がハイキングコースとして紹介しているのだろうか?登山口にあったプレートに書かれていた様な『薮山マニアに人気の…』はもう返上した方が良さそうな雰囲気で、『かつて薮山マニアに人気があった松岩山…』程度が良いだろう。今は立派な案内標識や山頂名標識がある普通のハイキング山になってしまった。

 松岩山一山登っても余りお腹は減らない。写真を撮って、しばらく笹の山頂でぼーっとしていたら、直ぐ後ろの笹薮からメス鹿が顔を出してしばらくこちらを見ていたが、ピューッと高い声を出して斜面を下っていった。静かになった後、腰掛けていた倒木から立ち上がり、3時21分に引き返す。前回は最後までどんよりとして、霞んだ展望で大した眺めも無かったが、幸い青空が広がって展望もあり、普通のハイキング山?になった事もあって松岩山のイメージも随分変わった。すっかり葉が落ち、夕暮れの雰囲気が濃くなってきた登山道を引き返しながら、それでも感じの良いナラの林や、岩峰の展望、静かな笹原の山頂など、この山の魅力は大きいなと感じた。

 4時24分に登山口に戻り、遠くに見えている草津白根山や、山の上に一塊になって見える草津温泉の建物群を眺めながら帰り支度をし、医療センターに引き返した。その晩も温泉に入ってから腹一杯の夕飯を食べ、何のためのドックなんだか分からなくなるのだった。また来年もここに来て、ついでにどこかに登れればと考えている。

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4 コメント

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羨ましいドッグですね (ノラ)
2014-11-21 21:39:43
あさぎまだらさん こんばんは。毎回このドッグは羨ましいと思ってますが,今回は特にその感が強いです。かつて薮山マニアに人気のあった松岩山って登ってみたくなりますね。三角点の周りもなるほどって笹の枝が残ってますね。それに松岩は展望が良くていい雰囲気です。こういう山って私も好きです。すかいさんとGさんの名板が似合います。ポケットに入れました。
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でも静かな山に変わりないですね (あさぎまだら)
2014-11-22 02:27:19
ノラさんこんばんは。
松岩山は道もはっきりして標識類もちゃんとしているので藪山返上という感じですが、それでも静かな山という印象は変わりません。展望も良くて、奥深い滋味深い山ですね。ぼくもこういう山は好きです。
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並べ替えです。 (しぼれ)
2014-11-24 12:42:50
あさぎまだらさん こんにちは
去年11月に登り出し標高1000m以上の山を整備中に知りましたが、いい展望ですね。
中之条町観光協会のHPに片道2時間・中級車向けとして載っていますが、展望の画像はありません。鬼が笑いますが来年の最右翼です。
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良い山です (あさぎまだら)
2014-11-26 02:09:44
しぼれさんこんばんは。
遅いレスで申し訳ありません。
6年前に登った時よりずっと一般的な山になっていました。
でも山の雰囲気は変わりません。人が沢山やってくるような所ではありませんから、静かな山が楽しめると思います。
群馬の渋い山の中でも『一押し』?ですね。
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