今度、どこ登ろうかな?

山と山登りについての独り言

・唐松山、上権現堂山

2015年06月06日 | 山登りの記録 2015

平成27年5月17日(日)
 猫岩992m、唐松山1,079.3m、上権現堂997.7山m

 5月の連休に木曽方面の山に登って2週間経った。この時期まだまだ残雪も多い新潟の山だが、ヤマケイの『分県登山ガイド 新潟県の山』を見ていたら唐松山という山があって、権現堂山の奥に目立たない、とある。人も多くないらしいが、ちゃんと道があるからガイドブックに出ているのだろう。権現堂山という山は、1000mに満たない低山ながら、小出あたりから良く見えて標高の割に立派な山容をしている目立つ山だ。守門山や浅草岳に登った時にも目に付いた。この山にもいつか登ろうと思っていたが、その奥に隠れて『目立たない』『人が少ない』とかいう記述があると、ぼく的には気になる山でぜひこちらを先に登ってみようと思った。ガイドに依れば5月中旬には残雪も無いように書いてある(しかし、実際はまだどっさりありました)。そんな訳で、1000mそこそこの山ながら、標高差は800mくらいあって登り2時間半は掛かるようだ。

 土曜の夕方に家を出て新潟に向かう。このところ夏の様な毎日で雨が少なくて暑いくらいだ。しかし、三国トンネルを越えると、新潟側には夕立があったらしく気温が一気に下がった。夜の国道を小出まで行って、ナビに従ってシルバーライン方面に左折し、直ぐに田んぼの中の寂しい道に曲がってそのまま中子沢という集落に向かう。ここに中子沢(ちゅうしざわ)温泉という一軒家の温泉が最近まで営業していたようだが、すでに数年前に廃業している。やっていれば、山の帰りに立ち寄るのに良い場所だったのに残念だ。唐松山へはこの中子沢温泉の廃屋のすぐ先で左折して林道を奥へ進む。夜なので、田んぼの中を進んで行くような感じだな、と思って進んで行くと、直ぐに通行止めのバリカーが立っている。でも、脇を普通に進めるのでそのまま進むと、何と道の両脇が雪の壁になっている。まるで志賀草津道路や乗鞍スカイライン、立山アルペンルートみたいに雪壁が高くなっている間を切り開いた林道になっていたのだ…ホントカヨ。この分じゃ山の方も雪が消えている筈は無いと思うのだった。それよりなにより、登山口までこのまま林道を進めるのだろうか?残雪が融けているのか、冷気のガスが霧の様に周囲に立ち込めていた。
未舗装だが、大きな水溜りもあるものの、何とか先に進めてガイドブックにある駐車場らしい所まで入れた。脇にある大きな杉の木に、『唐松山の登山道は、雪による損傷を防ぐため指導票を撤去してありますので注意してください』と言うような看板が付いていた。
 
 新潟に入ってから雲が覆ってきたり、雨がぽつぽつあったりしたが、基本的には晴れで、車を駐車スペースに停めたら雲の間から大きな月が出て晴れてきた。何と無く暑い感じで、シュラフに半身を入れて寝ることにした。周囲は雪解けの水溜りだらけのようで、カエルの声が大きかった。朝方少し寒くなってシュラフに潜り込んだ。

 5時にアラームで目覚める。車の外に出ると、雲提になっている東のほうから朝陽が差していて、雲が少しづつ晴れていくところにこれから登ろうと思っている唐松山の稜線が直ぐそこに見えていた。沢筋には残雪も見えるが、概ね尾根等には雪はないようだった(見えていたのが南側だったから…)。パンを食べて支度を済ませ、5時42分に車を出発する。田に水を供給するためと思われる溜池が幾つも道の脇にある。みなこれは雪解け水を貯めて灌漑用に使われるのだろう。溜池脇の道を歩いていくと、100m程のところに右に尾根に上っていく道があり、唐松山登山口と書かれた標識が道に横になって寝かせてある。豪雪で損傷しないように、こうして積雪期は寝かせておくようで、駐車場のところに書いてあった説明書きはこのことを言っている様だ。赤土の様な土手からそのまま尾根を上る道になってどんどん登って行く。行く手に残雪斑を見せる山が上権現堂山だと思われる。尾根は低木主体で高い木が無く、最初から眺めが良い。後ろを振り返ると手前の低い山の稜線の上に残雪に輝く越後駒の姿が現れ、そのうち八海山や荒沢岳も見えてきた。6時16分に不動滝展望台に着くと、上権現堂山の中腹に白く落ちる滝が見える。ユキツバキやコブシなどこの地方特有の木の花が沢山見られる。このあと、オオバカメノキやショウジョウバカマ、イワウチワ等多くの花が見られ、この山は花の多い山だった

 赤土の様でもあり花崗岩砂が混じる崩れやすい尾根の道をずっと登って行く。木々の丈が低いからこの先も稜線に出るまでずっと眺めがあった。稜線が近づいて、ブナの森に入る。この辺りまで登って来たら、樹下に残雪が見られる。7時13分に上権現堂山と唐松山の分岐に着く。てっきり分岐は稜線上だとばかり思っていたが、ここはブナ林斜面の中腹だ。分岐標識を見たものの、唐松山方面への道が無い。というか、残雪がどっさり積もっていて道が分からない。少し先に登っていくが、この道はこのままずっと登っているので上権現堂山への道に間違いない。思ったより道は良く歩かれて、歩く人も多いことが予想される。下って、残雪上を東に進む。この辺りから954.5mピークまでの間は鞍部状になっていて、残雪がどっさりあるが、その先は低木の稜線になり雪は無かった。残雪が切れた所々に夏道が出ていた。赤テープも見つけ、歩きやすい所を選んで954.5mピーク真下まで上る。その先は残雪が無くなって夏道を普通に歩くようになる。また周囲が良く見える様になった。

 越後駒と八海山、荒沢岳は朝から上る尾根から良く見えていたが、稜線に出ると北に守門岳、その東に浅草岳と唐松山の向こうには毛猛山塊、南側には未丈ヶ岳を初めとして会越国境の重畳たる山並みが幾重にも襞になって広がっている。残雪は斑になって越後三山辺りを除くと随分雪が少なくなっている。それにしても、ここから南東側(南西側は魚沼盆地が見える)は山ばかりで、延々と遠く霞んだ方向にも山しか見えなかった。四等三角点のある954.5mピークは崩壊した斜面が赤く下から見えたところだ。8時25分に崩れた縁を落ちないように気をつけて通過する。幾つか小さなコブを越えると、行く手に猫岩らしい高まりが見えてくる。こちら側から見ると、木がびっしり生えて岩峰と言う感じはしない。猫岩に近づくと、右手に巻き道がある。直登して岩混じりの痩せた稜線を進んで猫岩山頂に8時51分に着いた。

 山頂には標識の残骸があるくらいで何も無い。ここからの景色はすばらしい。しかし、ガイドブックではここからこのまま稜線に降りられる様な記述だったが、先まで進むと5m程度だが断崖になっていてとても降りられない。結局戻って南側の巻き道を巻くことになる。滑りやすい急斜面を根曲がりの根元等に気をつけながらトラヴァースするが、ここは結構危ないところだ。巻き終えて振り返ると、こちら側から見た猫岩は柱状の岩が寄り集まった感じの小岩峰だった。一部剥離したのか、全体には黒っぽい岩の一部が赤くなっている。この岩は中越地震の際に剥がれ落ちたらしい。猫岩を過ぎると、先にコブが一つあり、その先が唐松山の山頂だ。隣の山塊である毛猛山の一群が大分大きく見えてきた。気持ちの良い稜線歩きをして、山頂手前のコブ付近で北側の林道に下る道を分ける。直ぐ下は残雪が厚く固まっている上に入り口も踏み跡程度だから、この時期にここを下って林道まで降りるのはかなり厳しそうだ。足元にはイワウチワの群落を見るが、この辺りのものは葉が大分黒ずんでいる。オオバキスミレやイワカガミ、アカモノ等の花も見る。最後の上りで9時39分に唐松山の狭い山頂に着いた。ゆっくり?来たせいか、残雪でルートを探して蛇行したせいか、ガイドブックのコースタイムを随分オーバーしていた。

 唐松山山頂は笹に覆われ、ホンの一部が裸地になっているだけで非常に狭い。二等三角点標石は角が大きく欠けて土台が露出していた。唐松山頂を示す表示板があったようだが、壊れた残骸があるだけで、山頂を示す標識は現在無かった。ここも素晴らしい展望台だ。最も残雪の鞍部から稜線に上り上げた後は、ほとんど展望の中を歩いてきたから、ここで大展望という感動も無かった。越後三山(かろうじてここからは駒の向こうに中ノ岳の頭が出ていた)に荒沢岳が大きかったが、やや霞んでいるものの、ここまでやってくると守門岳や浅草岳、毛猛山塊が大分近づいた。未丈が岳の向こうには会津まで続く山並みが、それこそずっと青く霞んだ向こうまで広がっていた。この方面は山ばかりだ

 山頂の一段下でオレンジを食べて、ピザパンを食べていたら、単独の若者がやってきた。直ぐ後から人が来ている感じは無かったので、いきなりで少しビックリした。やはり休日なのだから人が登って来ても少しも不思議は無いが、静かな山ということなので…と少し期待していたが、この日は引き返す時に単独の人が5人くらい、その他何と40人の大団体とすれ違った(こんな山頂が狭い山になんで40人の団体でやって来るのだろうか…登山口には新潟ナンバーのマイクロバスが2台も停まっていた)しばらく休んで景色も楽しんだし、腰を上げ引き返すことにする。10時15分に唐松山山頂を下る。

 引き返していく間に、前に書いたとおり単独のハイカーをはじめ40人の団体まで、なんだちっとも静かな山なんかじゃないじゃない、という感じで人とすれ違う。11時42分に上権現堂山分岐まで戻ってくると、もうこの辺は静かだ。行きにうろうろした鞍部の残雪のところも何しろあれだけの人が歩いたので、もうしっかりと踏み跡コースができていた。初めに予定していた通りここから上権現堂山に登ることにする。陽ざしが強く暑いくらいだ。急な鉄砲登りで、直ぐにまた視界が開け行ってきた唐松山はもうずいぶん遠くに見えていた。急なだけに、わずかな時間で上権現堂山に登り上げると、上権現堂山の山頂部は2つのなだらかなピークがあるのだが、分厚い残雪の原が広がっていた。そこに2,3人の人が居て、そのうちの1人のおじさんがどこから来たのか聞くので、唐松山を往復してきたと言うと、びっくりしていた(そんなに大したコースじゃないと思うけど…)。

 残雪の原が広がる円頂の向うに三角点があるもう一つの円頂がある。12時24分にそこまで行くと沢山の人が休んで居た。下権現堂山からここまで来て往復する人が多いのだろう。人気の山ということだ。上権現堂山山頂には二等三角点標石が雪が融けて露出した地面にある。山頂を示す標識は無く、おそらく雪のために根元から折られた標柱が横たわり『権現堂の鬼の穴 民話の里今泉区』とか『弥三郎婆隠れ跡』と書かれている。良くわからないが、この山には伝説?民話が多く残っているのだろう。それにしても、この山頂の北側には未だ分厚い残雪が大きな雪提になって残っている。4、5mの厚みがあるだろうか、驚いたものだ。いかに降る雪が多いかを物語っている。あんまり人が多いので、写真を撮って直ぐに山頂は退散し、手前の円頂の隅で湯を沸かしてカップうどんを食べた。ここにはもう誰も居なくて静かだった。低い山なのに、5月の中旬にまだこんなに残雪があるというのは本当にびっくりだ。

 12時56分に上権現堂山を下る。分岐から尾根に出て、見晴らしのいい尾根をどんどん降りていく。下っていくときには誰にも会わなかった。不動の滝で一休み。上権現堂山の中腹を落ちる滝が正面に良く見えて良い所だ。滑りやすい尾根を下って登山口まで降りた。道のあちこちにはユキツバキやタムシバ、ヤマツツジ、フジ等花が沢山あって目を楽しませる。14時17分に車に戻った。

 駐車地点から旧中子沢温泉旅館に出るまでの沢沿いの林道沿いは大きなカタクリの花の群落になっていた。以前会津の城郭朝日に登る入り口の集落付近で、用水路沿いにやはりこんな大きなカタクリの花の群落を見た。ぼくの家の辺りのカタクリは花も小さくて可憐な感じだが、雪国のものは種類が違うのだろうか?笑ってしまうほど大きくて立派なカタクリだ。帰りは浦佐まで戻って、浦佐温泉の『てじまや』旅館に寄って入浴した。幸い誰も人が居なくて、気持ちのいい温泉を独り占めできて気分も上々だ。湯は透明で特に臭いもしないが、こじんまりした露天風呂もあって良かった。入浴後は東に見える八海山や駒ケ岳を仰ぎながら、帰路に着いた。花も多く、残雪も楽しめて素晴らしい山だった。



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2 コメント

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人気の山なんですね (ノラ)
2015-06-08 21:46:55
あさぎまだらさん こんばんは。2つの山は人気の山なんですね。あさぎまだらさんの記録読んでいたら,私も行きたくなりました。6月中に行けたらいいな。夏はあついでしょうね。来年かな?椿はユキツバキって言うのですか。最近会津の薮山で薮の中で何度かお目にかかってました。雪国のカタクリやウドとか蕨とかみんな大きいですね。
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遅くなりました (あさぎまだら)
2015-06-14 01:21:34
ノラさんこんばんは。
レスが遅くなって申し訳ありません。
唐松山はあまり知られていませんが、いま時なら良い山ですね。景色も良いしコンパクトに変化があって楽しめます。
夏は暑いでしょう。低いですから。虫も多いでしょうしね…。
日本海側の自生椿はユキツバキというのだそうです。ヤブツバキの亜種ですね。原種らしくいわゆる赤い椿ですが花も結構大きいですね。ぽつぽつ咲いていて花が一杯という感じではないです。
雪国のカタクリの大きさにはびっくりしますね。うちの辺りのカタクリは繊細な感じですが、日本海側のはあまりに立派で見ごたえがありますがあまり風情が無い印象も受けますね。
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