Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

活躍するモグラたち

2008-06-14 20:39:01 | 自然から学ぶ
 先ごろ仕事で出向いた現場でこんな話があった。かつては水田や畑地帯であった場所に住宅が建ち並び始めた。そうはいってもマチの郊外だから、まだまだ宅地の周辺には畑が残るのだが、そんな畑が造成されて、数区画の宅地がこれからできようとしている。そんな団地を造成した不動産屋さんが、隣の宅地の人から苦情を言われているのである。もともと畑だった土地を、造成して固めてしまったため、そこの畑にいたモグラが、隣接地に移ってきて穴ぼこだらけだというのである。今まではこんなことはなかったので、明らかに造成されたことによるものだといい、モグラ取りを買って用意しろというのである。

 モグラによる影響は悩まされている人には大きな問題である。わが家でもモグラの穴があちこちにある。放っておくと樹木の下が空洞になってしまい、枯れてしまうなどということもある。頻繁にモグラの穴を潰していないと、モグラにやられ放題となってしまう。モグラがやってくるということは、モグラの餌が多いということになる。餌といえばミミズで、ミミズが住み易いということは、ほかのどんな生物にも住み易い空間となる。近ごろは除草剤を撒く人が多い。とくに不耕作地のような畑は、見事に枯れ果てている姿をよくみる。そうした空間に好き好んでミミズは住まない。したがって手入れされていてもいなくても、住み易い空間にミミズはやってくる。そんなミミズを狙ってモグラがやってくるわけだ。

 獣の害はよく耳にするが、実はモグラとの戦いは昔からのことである。かつてなら耕作をする人の実数が多かったから、穴ぼこになってもそこそこ手入れがされた。それは畑や田んぼばかりでなく、周辺の共有地もそうである。このごろ農業用水の端を歩いていて目につくのは、モグラの穴である。昔なら田んぼといえば稲を作ったから、一面湖だった。ところが最近、というかもう昔から転作が行われてきて、半分近くは水が溜められることはない。したがってたんすい機能が生きているのか、それとも水漏れをしているのかも気が着かない。ということでモグラにとっては除草剤さえ撒かれなければ住み易いものである。

 そんなモグラのせいもあるのかないのか定かではないが、水路の端の土が下がってしまっているという姿をよくみる。大昔のように土水路なら頻繁に管理しないとすぐに水がよそへ漏れてしまったのだろうが、今やコンクリートになった水路が欠けたり、目地が開いてしまって水漏れしない限り、水路肩の土が相当落ちてしまっても水は流れる。確かに手はかからなくなったが、そんなところにも農業の衰退への道筋があったように思う。

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