Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

空欄の抹消線

2017-06-23 23:16:25 | ひとから学ぶ

 仕事の上で表に数字を書き込んでいく作業は多い。昨年納品したものが「様式が違う」と指摘されて修正をしている。人のやった仕事だから煩わしいもの。「こっちの様式で」と言われた表は、別の出先で作成した雛形。そこへ修正を指摘された業務のデータを打ち替えていくのだが、ふと気がついたのは雛形は「該当なし」の表を左上から右下に斜線を引いて抹消している。ところがもうひとつ、以前同じ箇所の同じような様式を作成したものを見本に見ていたら、抹消線は左下から右上に引いている。気がつくまでは雛形に沿って左上から右下への抹消線に何ら違和感はなかったのだが、「そういえば」と自分の今までやった業務を紐解くと、やはり左下から右上に抹消線を引いている。「どっちが本当なんだ」、そう思って先輩の法的文書に関わっている方に聞いてみると、「自分は左上から右下に引いている」という。誰もが自分のやり方が正しいと思ってやっていたようで、「本当のところ」はよくわからない。

 今でこそ自筆で斜線を引くのではなく、たとえばエクセル上でオートシェープを利用して斜線を引く。ようはマウスを使って引くからどちらも「引きやすさ」という点では差はないかもしれない。しかし、かつてはわたしたちの仕事では表に鉛筆で引いていた。ようは自筆ということになり、定規をあてて引いたから定規の当てやすさ、あるいは自筆での線の引きやすさというものがあった。右利きであれば、わたしのイメージては定規を左下から右上に当てるのがふつうだった。人によっては違うかもしれないが。加えて線を引く場合、斜線は左下から右上、いわゆるスラッシュのように引くことが多い。もちろん経験値として先輩たちの作成したものにも左下から右上に斜線を引くものが多かったから、それがあたりまえだと思っていた。

 ネット上にも「書類で空欄を抹消する場合、斜線を引く。複数行あるときは「以下余白」と書くこともある。このときの斜線は「左上から右下」「右上から左下」のどちらがが正しいだろうか。」というものがいくつもある。「正式な書類(公文書等)を作成する時、表に斜線を引く場合、左上から右下に引くのと右上から左下に引くのとどっちが正しいのでしょうか?」という質問に対しては、「ISOの基準では左上から右下へ引くように定められているとのことです。」とある。しかしながら、我が社もISOを取得しているが、本社から送られてくる文書の抹消線は左下から右上に向かって引かれている。また、ネット上に「書類等の余白を締める時に斜線を引きますがその際、「右上から左下」へ当然の様にしていましたし、また、 今までの会社では他の方法・方向で締めた人は叱られ再提出させられてました。ところが転職先では、当然の様に「左上から右下」で締めている人が多数おり、また、誰もそれがおかしいとは思ってないようです。」というものあり、答えとして「余白は、斜線も引かずに空白のままもありますが、斜線を引く場合には「右上から左下」が、常識??だと思います。 今まで、いろんな会社の帳簿を見る機会がありましたが、左上から右下への斜線は見た事がありません。常識かどうかは分かりませんが、一般的には「右上から左下」が圧倒的に多いです。」とある。会社によって常識ができあがっているとも言える。前述したように我が社では左下から右上に引くことが多い、あるいはかつては常識だったが、今は両方混在している。手書きではなくなったころから、そうした常識を指摘することもなくなったからかもしれない。そして技術系の世界では左下から右上というスタイルが一般的なのかもしれない。とはいえ次のような意見を聞くと、現在の文書では左上から右下が抹消線として正しいのかもしれない。

 横書きであれば、左上から右下に斜線を引くのが正解だと思います。
 理由は「文字が進行する方向」に従っているからです。
 横書きの場合、左上から文字を書き始め、右下で終わります。そのため、当該空欄に文字は入らないことを示すため、文字が進行する方向に従って「左上から右下」に向けて斜線を引くのだと思います。極端な話、右上から左下に斜線を引くと、文字を書き始める左上部分に文字を書くことが可能でしょ?
 「右上から左下」に斜線を引く人が多いというのは、以前は縦書きが主流だったからだと思います。縦書きの場合は、文字は右上から左下に進行しますから、そのように斜線を引くのが正解で、その当時の書き方が横書きとなった現在でも引き継がれているだけだと思います。


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