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北相木村下新井の丸石

2024-08-29 23:00:00 | 民俗学

南佐久郡北相木村下新井の道祖神

 

 南佐久郡北相木村は小さな村である。かつて平成合併以前下伊那に人口1000人以下の村が4つあったが、県内にはほかになかった。現在の北相木村は人口700人程度と、県内でも少ない村の仲間入りをしている。村の中央を走る県道沿いを走っても、周囲に見える家屋は少ない。役場からさらに奥に進むと下新井という集落があり、相木川を渡る橋の県道側の袂に、写真の道祖神が祀られている。『北相木村の石造文化財』(平成2年 北相木村教育委員会)には、2基の道祖神が報告されていて、いずれも像碑である。ようは周囲にある自然石の報告はされていない。いっぽう岡村知彦氏による『東信濃の道祖神』によは、合掌型双体像1基のみの報告にとどまっている。

 写真でわかるように、真ん中の双体道祖神は道祖神。その右側の単体像と思われるものも『北相木村の石造文化財』では道祖神としている。そして問題は周囲の丸石三つである。後部向かって左手の碑のみ道祖神以外となると、ほぼ道祖神の祭祀空間とみて良いのだろう。とするとこれら丸石も道祖神ではないか、と見えてくる。ちなみに『北相木村の石造文化財』に掲載されていた写真と、現在の写真を比べると、丸石の位置が異なっている。固定されているように見えるが、動く石もあるようだ。向かって左側手前の丸石には、真ん中に窪みがある。やはりすぐそこが山梨県であるという立地が関係するのだろう。とはいえ、山梨県のような立派な丸石の例はほとんど見ない。

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