長久保10区長安寺参道入口の自然石
長和町長久保から佐久へ向かう国道142号の道沿いに長安寺がある。国道を挟んで集落から参道があり、その参道入口、寺に向かって右手に子育地蔵菩薩が祠の中に安置されている。この子育地蔵菩薩を管理されているのは長久保10区の皆さん。祠の前に垂れている奉納幕に「令和六年春 長久保十区町内会」と墨書きされている。この祠の左手に小さな祠が二つ並んでいる。いずれも自然石のみが祀られていて、これらは神様系のものと思われる。特に複数の自然石が積み重なるように祀られている祠は、長久保のほかの町内会に祀られている自然石道祖神の祀られ方と似ている。しかし、これらは前編でも触れた岡村知彦氏の『東信濃の道祖神』には記載されていないものと思われ、「道祖神ではない」とされたものなのかもしれない。
この自然石についていったい何の神様なのか、周囲で聞き取ろうと試みた。そこで気がついたのは、周囲に家がたくさんあるのに、住んでいる人がいない。ようは空き家だらけなのである。長久保は新町と言われ、町割された集落。家々は軒続きで、通りに面したところはともかくとして、裏通りに入ると「道が狭い」。とくにこの自然石が祀られている10区は、傾斜地に家々が並んでいて、軒先まで車が入れない家も見られる。現代の事情から推定すると、暮らしづらい空間なのかもしれない。故に、若い人たち、ようは次世代の人々がここを敬遠してよそへ行ってしまう。したがってどんどん空き家が増えて、町の中にもかかわらず、いいや町の中だからこそ、人口減少を招いている、そう見えた。ということで、話を伺おうと思っても聞けないのである。寺にも訪ねたがわからず、周辺の住んでいそうな家を訪ねていくのだが、隣の町会へ行ってしまう。ようやく話を聞いた女性は、何の神様かはわからないと言う。特に「道祖神とは言わなかった」という。ただ、隣の9区や11区には道祖神があるものの、10区にはない。今となっては難しいのかもしれないが、道祖神以外に何の神様なのか…。
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