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伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

小諸市菱平後平の道祖神

2024-08-06 23:57:41 | 民俗学

「安山岩地帯の安山岩の十王」より

 

小諸市菱平後平道祖神

 

 小諸市菱平後平の十王について触れたが、当たり前にそこにあるような石で彫られた十王を見た。その十王のある福正院から100メートルほど集落を下ると、運動広場に向かう狭い道が分岐する辻に出る。その狭い道を少し入ったところ、左手(道の南側)の雑種地の傍らに黒っぽい石がいくつか固まって置かれている。実は道祖神の場所もわからず後平を訪れ、それらしいあたりを探ったが発見できなかった。ちょうど道を歩いている方に聞いてみると、「どうそじん」で通用した。すぐに前述したあたりにあると教えていただき、行ってみたわけであるが、この狭い道を奥まで入ってみた際には気がつかなかった。この辺りにある、という情報があったからすぐにそれと気がついたが、場所情報がなく集落名と若干の字名程度ではなかなか見つからない。それが自然石道祖神なのである。双体像であったり文字碑であったりすると、もう少しわかりやすいものだが、自然石だけの道祖神が、特別な空間ではなく、ごくふつうの畑の端のようなところにあっては、なかなか見つけるのは難しい。とくにそれほど大きくなく、小さな石がいくつか集積されているような状況は、この時期は草に埋もれていることも珍しくない。後平の道祖神も若干草が姿を消していた。

 さてその道祖神であるが、まさに火山弾と思われる。岡村知彦氏の調査によると小字名なのか「龍神前」と示されて3基の自然石道祖神が一覧に上げられている。最も大きなものが高さ60センチ、ほかに40センチと35センチのもの。その道祖神を写真で確認してみよう。雑種地のようなところに祀られている道祖神の正面がどこなのかはっきりしない。東から捉えた1枚目の写真では確かに3基に見えるが、背面から捉えた2枚目の写真では、背後にもう2基あるようにも見える。いやさらに小さなものがあるからどこまでが祭祀対象なのかはっきりしない。北側から捉えた3枚目の写真を見ると7基くらい数えられる。さて石質は4枚目の写真のように溶岩ほどゴツゴツして穴がないことから火山弾と思われる。いずれにしてもこれら道祖神がいくつあるかははっきりしない。やはり全体を捉えて祭祀1箇所、という捉え方が良いのではないだろうか。

 なお、かつてはこの前でどんど焼きをしたというが、今は運動公園で行うという。

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