Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

旧東部町祢津西宮の自然石道祖神④

2024-08-15 23:55:33 | 民俗学

旧東部町祢津西宮の自然石道祖神③より

 

祢津西宮公民館北 自然石道祖神群

 

 ①で扱った祢津西宮立町の道祖神の近く、西宮公民館の北に写真の自然石道祖神が祀られている、とはいえ「祀られている」と感ずる人は少ないだろう。なぜかといえば、個人宅の敷地内にあるように見えるし、主尊のような石は存在しない。あえて言えば、そこらにある石とは違って、少し細長い石だから、ちょっと様子が違うと感ずる人もいるかもしれない。いずれにしても、これまでの自然石道祖神に比較すると、「小さい」。したがってどこまで勘定すれば良いか迷うわけである。1枚目は正面から、2枚目は真上から撮影した。この画像から、自然石道祖神がいくつあると勘定するだろうか。小さなものをあえて勘定に入れると、26個くらいあるだろうか。小さいものを外すと、21個か…。

 ここでも岡村知彦氏の『東信濃の道祖神』の一覧を引用してみる。「石棒」が10個、「焼石」が11個、「人形型自然石」が1個、「合掌型単体道祖神像」1個、計23個一覧表に掲載されている。「合掌型単体道祖神像」は左端のものだろう。「石棒」10個というが、そもそもわたしにイメージでいう「石棒」の完全形は一つもないように思う。長細い楕円形のものを「石棒」として数えたとしても10個はなかなか数えられなかった。そして「焼石」であるが、火山弾、あるいは溶岩系のものとすると、これもなかなか難しい。11個は数えられなかった。火山弾のようなものはもしかしたら2個、あるいは数個レベル。右端の下側の四角っぽい石は、五輪塔などの残欠だろう。

 さて、1箇所に単体像1体プラス22個もの自然石道祖神が数えられるケースは、『東信濃の道祖神』の中ここだけではないだろうか。しかし、前述したように、石は小さい。高さ10センチ台から20㌢といったものも少なくない。本当に小さな石の集合である。ここの小さな石を道祖神として数えるとすれば、よそにももっと自然石道祖神が存在するのではないか、そう見えてくる。

続く

コメント


**************************** お読みいただきありがとうございました。 *****