Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

草刈機の話

2005-09-24 12:27:18 | 農村環境
 新聞の投稿欄にこんなことが書かれていた。公民館の自然同好会でセンブリの花を訪ねていったら、自生地周辺の草が刈り取られ、つぼみが一部切られていたという。マツムシソウやオミナエシ、キキョウなども群生していて、それらの花々も散乱していたといい、草刈の時期を考えてほしいというものであった。その土地がどういう土地で、どういう環境なのか、文面だけではわからないが、関係機関への一考とあるから、公共の土地で、管理者が刈り取ったという設定だろうか。
 草刈に関しては、このページでも何度か触れてきたが、そこに自生している草花を認識していなければ、あるいは管理委託されている業者がかかわるとすれば、なかなか難しい問題である。まず、本当に大事にしてほしいというのなら、新聞に投稿するのではなく、実際の管理者へ提言してみることが第一ではないだろうか。認識せずに刈ったと推定されるから、管理者に負担がかからないような対応なら、簡単にしてくれるだろう。問題は負担がかかる場合である。草刈時期をずらすといっても、たまたまその時期にしか刈る機会をもてなかったということもあるだろうし、草丈を長めに刈ってほしいといっても、長めにすれば再度刈る羽目となる。
 土手の草刈管理については、元飯田市誌編纂委員で、元伊那谷自然友の会の会長さんの北城先生が詳しい。草刈管理についての論考もいくつか書かれている。しかし、現実の草刈はそううまくはいかない。ウンカが発生するとか、カメムシが発生するというような時期には必ず草刈のタイミングがポイントとなる。わたしも気になった草花を残そうと思うが、なかなか一定の時間内にそれをこなすことは難しい。手で刈るのが一番だろうが、それでははかどらない。時間をかけて草を刈れば、燃料を多く消費する。相反するとはまさしくこういうことである。したがって、植相の保全ということも含め、相反するものをどう管理していくかは、管理者の判断によるわけだから、もっと難しくなる。
 先日こんな話もした。最近山間部ではひも型の草刈機が一般的となった。従来草刈機といえば、のこぎり型が普通だったが、事故が絶えない。男性が扱ったとしても、傾斜地の草刈などを行っていると、危ない、と思うことはたびたびある。そこへいくと、ひも型のものはのこぎり型にくらべれば事故があっても程度は低い。そんなこともあって、とくに山間地のように老人や女性が管理の主役になっているところでは、ひも型の草刈機が普及した。妻の実家の周辺でのこぎり型の草刈機を使っている人はほとんどいない。わたしが草を刈る場合、妻では少し危険なような傾斜地や、太い茎の草が対象のため、のこぎり型の草刈機持参で出かける。山間地でほ場整備もされていないような場所なので、なにしろ石が多い。そのため、刃先を痛めることがおおく、また、刃を欠いてしまうこともよくある。「草刈機をつかっていれば、飛んだ刃がどこかに散っているわけだ」「そんなこといえばひも型の場合、どんどん消費していくのを前提に少しずつひもを出していくわけだから、そこらにひもの散ったものがたくさん飛んでいるわけだ」という会話をした。ひもといってもビニール製だから、どうなるんだろう、という話になった。わたしの実家の土手は、ほ場整備されていて、まず不陸が少ない。そして、そこそこの大きさの石は除去されているので、草刈といっても楽である。それでも段差が大きいと「エライ」とか「土手が大きい」なんていう愚痴を家で聞くが、正直いって妻の実家の土手とは大差がある。細かい話であるが、その現実感というのは、あまり語られていないし、たとえば草刈機の刃先のような小さな問題は、認識されていない。

 付け加えて
 こんなこともあつた。ブルーベーリーを数本山の際に植えてあったが、そのブルーベーリーの姿が、草を刈ったのに数本見えない。どうしたんだという話になって、妻は、草と間違えて刈ってしまったというのである。結構苗が高価だけに、父には黙っているという。妻は、正直言ってわたしよりずっと草花を大事にしている。妻の刈ったあとの土手は、けっこう草が残っている。残そうと思って刈っているのだからあたりまえだが、その妻が、草花に気をとられすぎたのか、一番大事なブルーベーリーを刈ってしまったというのだから、唖然。
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