登記もろもろ覚え書

司法書士の覚え書き

相続人による銀行預金の払戻し

2011-09-01 | Weblog
相続と銀行預金


預金者の死亡→払戻請求権者不明→預金口座の凍結→相続人による払戻請求



一 相続人による預金残高の確認

相続人の一部からの請求が可能(相続財産の保存行為)

・被相続人の除籍謄本等
・請求者の戸籍謄本
・請求者の印鑑証明書 ・・等


二 公正証書遺言の遺言執行者による払戻


・被相続人の除籍謄本
・公正証書遺言の正本または謄本
・遺言執行者の身分証明書 ・・等




三 相続人全員による払戻

相続人全員による遺産分割協議書や同意書を提出してする払戻請求


・被相続人の一生の戸籍(除籍謄本、改正原戸籍謄本等)
・相続人全員の戸籍謄本
・相続人全員の印鑑証明書
・遺産分割協議書または同意書(実印)
・通帳印および届出印 ・・等


四 一部の相続人による払戻請求


(1)葬儀費用の支払いのための払戻

葬儀費用は、一般的には相続財産の中から支払われるものと考えられているので
銀行実務としては便宜的に一部の相続人からの払戻にも応じているようである。


・被相続人の一生の戸籍(除籍謄本、改正原戸籍謄本等)
・相続人全員の戸籍謄本
・請求者の印鑑証明書
・葬儀費用の証拠書類 ・・等


(2)遺産分割等のなされていない相続財産の、一部の相続人による払戻


【判例】請求者の法定相続分については単独で払戻請求できる。

預金債権は可分債権(分割可能)であるから、各共同相続人は相続により
法律上当然に、その相続分に応じて権利を承継している。



【銀行実務】のちのトラブル回避のため、一般的に払戻を認めていない。


例えば、請求者が、請求者の相続分を減額する遺言書や遺産分割協議の存在を
隠しているという場合もありうる。その場合、のちに他の共同相続人から払戻請求を
受ける可能性がある。銀行の調査不足(過失)等を理由にその払戻請求が認められる、
というようなリスクもある。



ちなみに

払戻請求をした相続人が、一定の根拠を示して、相続人の範囲、遺言がないこと、
遺産分割が整っていない事情を説明したときは、金融機関は一部払いに応じるべき
である(東京地判平成8年2月23日)

という判例がある。
そのような事情の説明を受けた銀行は、民法478条により免責される?




※必要書類等は、実際に銀行で確認したものではありません。





(参考)

【相続人による郵便貯金の払戻手続き】

http://www.jp-bank.japanpost.jp/kojin/tetuzuki/sozok/kj_tzk_szk_index.html


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