登記もろもろ覚え書

司法書士の覚え書き

社会福祉法人(理事の変更登記)覚書

2011-05-27 | Weblog
手続法令  組合等登記令
根拠法   社会福祉法

登記事項(組合等登記令別表一)  
「代表権の範囲又は制限に関する定めがあるときは、その定め」
「資産の総額」


役員に関する登記事項は、「代表権を有する者の氏名、及び住所」である(組合等登記令2Ⅱ④)。代表権の全部を制限された理事は、もはや代表権を有する理事ではないから、その氏名、住所及び資格を登記する必要がない(昭和39年4月25日民事甲第1623号民事局回答)

  よって

理事長や代表理事を選任した場合は、その理事長、代表理事のみを「理事」として登記する。

理事として登記するが、その就任年月日は、代表理事として就任承諾した日である。


この場合、理事長(代表理事)の変更登記は「代表権を有する者の変更」となる。


理事や理事長(代表理事)の選任については規定がないので、定款の規定による。
例:評議員会で理事を選任し、理事の互選により代表理事(理事長)を定める。


【登記の事由】代表権を有する者の変更
【登記すべき事項】平成○年○月○日理事○○辞任、平成○年○月○日理事○○就任
【添付書類】定款、評議員会議事録、理事選任議決書、就任承諾書(援用可)印鑑証明書etc.
※印鑑証明書は法人登記規則5、商業登記法規則61条4項

添付書類は、理事長(代表理事)となる人が、理事に選任されていることを証明する評議員会議事録(理事長に委嘱されて理事になる場合は「委嘱書」)、そして理事による互選等を証明する理事会議事録、理事選任議決書、互選書などが必要となる。


理事会において理事長(代表理事)を互選した場合、たとえ定款に議事録署名人に関する規定があったとしても、出席理事全員の記名押印が必要となる。


役員の任期は、2年を越えることができない。(社会福祉法36Ⅱ)

「役員の任期は1年とする。ただし、その任期満了の後でも、後任者が選任されるまでは、なお、その職務を行う。」という定款の規定は有効だが、この場合も2年経過するとその役員は職務を行えない。

※ なお、就任後2年を経過している社会福祉法人の理事についても、代表者事項証明書及び印鑑証明書は交付される。


2年の任期が満了して、代表理事(理事長)が再任する場合の取扱


理事の構成員が代わらない場合は、予選により理事を再任し、即時、その理事の互選により代表理事(理事長)を選任できる。登記は「重任」となる。

ところが

理事の構成員が1人でも代わってしまう場合、予選で理事を選任することはできても、新任理事が就任するまで代表理事(理事長)を互選することができない。よって「重任」の登記をすることができず、「退任」「就任」という登記になる。














法人登記の非課税の根拠

2011-05-20 | Weblog


公益法人の変更登記申請などは非課税である。それは自分としては昔から当たり前のことであって、そういうものだと思ってとりわけ深く考えたこともなかった。

ところが申請用総合ソフトを使って登記を申請しようとすると、登録免許税の「非課税又は軽減措置が適用されるときは、その法律上の根拠を括弧内に入力してください」とある。

登録免許税法の別表二の非課税法人や、別表三の非課税の登記などをいろいろ調べてみたが、当然のことながらまったくわからないわけで、結局のところ問題はそういうことではなかったようだ。



1 登録免許税法第2条は課税の範囲を定め、「登録免許税は、別表一に掲げる登記、登録・・・・(以下登記等という)について課する」としている。

2 登録免許税法別表一は、一般社団法人、一般財団法人を含め、会社、外国会社や一部相互会社の商業登記に対する課税を規定しており(同24号)、また特定目的会社(25号)、投資法人(26号)、有限責任事業組合(27号)投資事業有限責任組合(28号)等についても同様の規定があるが、学校法人、医療法人、事業協同組合等の公益法人に関する法人登記については規定がない。

3 よって、公益法人については、その法人登記につき登録免許税を課する規定がないので、課税することができない(租税法律主義:憲法84条)。言い換えれば、”課税の根拠がないのが非課税の根拠”ということになる。


【結論】法律上の根拠
(登録免許税法第2条、登録免許税法別表一) ということで・・

取締役会非設置会社と役員変更

2011-05-16 | Weblog
取締役の員数が3名に満たない会社は、取締役会を置くことができない(取締役会非設置会社)。

取締役会非設置会社は、取締役が3名以上になっても取締役会設置会社になるわけではない。



1 取締役は株主総会で選任する。

取締役に選任された者は就任承諾書を提出しなければならない。
株主総会に出席して、席上で就任承諾していればその議事録の記載を援用できる。

就任承諾書の押印または援用する議事録の押印は、当該取締役の個人の実印でしなければならない!
実印を押印したことがわかるよう印鑑証明書を添付(商業登記規則61条2項後段)。
ただし、再任の場合は、実印でなくとも良い(同上)。


※一般に、株主総会議事録には、取締役の署名義務がないので、押印についても不問である。取締役の就任に関する株主総会においても同様で、その場合、就任した取締役は就任承諾書を提出しなければならず、かつ新任取締役はそれを実印でしなければならないということである。ところが、代表取締役の就任に係わる株主総会の場合は、議長および取締役に押印義務が課せられる(商業登記規則第61条4項1号)。



2 代表取締役を定める場合、代表取締役は、定款の定め、株主総会又は取締役の互選によって選定される。



2-1 代表取締役を株主総会で選定する。

株主総会議事録を添付する。議長および出席取締役が署名押印(記名押印)しなければならない。監査役に署名義務はない。全員実印押印し印鑑証明書を添付。ただし、前任代表取締役(印鑑登録者)が総会に出席して取締役または代表取締役として議事録に会社実印(届出印)を押印していれば、他の取締役の実印の押印は不要(商業登記規則第61条4項1号)。

就任承諾書に実印の押印は不要。株主総会議事録に就任承諾の記載があれば援用可能。

代表取締役交代の場合、印鑑登録のため、印鑑届書に個人の実印の押印、および印鑑証明書の添付が必要。



2-2 代表取締役を取締役の互選により選定する。

定款に、代表取締役の選定方法につき取締役の互選による旨の規定がなければならない(定款添付)。

取締役の互選書を添付する。署名は出席取締役全員。全員実印押印し印鑑証明書を添付。ただし、前任代表取締役(印鑑登録者)が再任するかもしくは取締役(前代表取締役)として互選書に会社実印を押印していれば、他の取締役の実印の押印は不要(商業登記規則第61条4項2号)。

就任承諾書に実印の押印は不要。互選書に就任承諾の記載があれば援用可能。

代表取締役交代の場合、印鑑登録のため、印鑑届書に個人の実印の押印、および印鑑証明書の添付が必要。

オンライン申請覚書

2011-05-11 | Weblog
オンライン申請覚え書き(不動産登記)

(平成23年以降の申請用総合ソフトによる特例オンライン申請)
※平成23年5月11日時点の資料、経験則による。


1 オンライン減税(租税特別措置法第84条の5)は、つなぎ法案により平成23年6月30日まで延長される。

http://www.moj.go.jp/content/000011324.pdf

2 所有権保存登記につき減税を受けるには、表示登記がオンラインで申請されている必要がある。


3 登記識別情報はオンラインによって提供しなければならない

※ 分筆などにより登記識別情報と登記記録の物件の地番が異なっている場合、「登記識別情報提供様式」には登記記録の地番を入力する(自動入力のまま)


4 所有者、抵当権者等を追加した場合(共有、準共有)、さらに「名義人情報」から「登記識別情報通知希望の有無」の項目を追加するのを忘れないように。


5 住宅金融支援機構の抵当権の移転(権利承継)登記につき、「被承継者」の項目がないので、その他の事項欄に「(被承継者 住宅金融公庫)」と入力したら補正もなく登記完了した。

6 添付情報等は、申請受付の日から2営業日以内に、登記所に持参するか、もしくは書留郵便等により送付(消印?到達?)しなければならない。郵送の場合は、できるだけ当日に発送しよう!

7 平成23年6月27日からオンライン申請においても登記完了証が交付されるらしい。(不動産登記規則第182条改、182条の2新設)

http://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00057.html

8 ☆申請代理人が登記識別情報提供様式を作成する場合、「登記識別情報の暗号化に関する一切の権限」の委任を受けていなければならない。


9 「書面により提出した添付情報の内訳表」等を印刷するのは、処理状況表示画面で受付を確認するまで待つ。受付年月日、受付番号が自動入力される。


10 登記済証を提出する場合の入力方法。
「登記識別情報の提供の有無」:無し
「登記識別情報を提供できない理由」:登記済証を所持

11 申請用総合ソフトの雛形には、基本的に、添付情報に「印鑑証明書」が入っていないので注意。

12 抵当権設定登記などの登記原因証明情報のPDFファイルの作成日に注意!