登記もろもろ覚え書

司法書士の覚え書き

根抵当権の追加担保のオンライン申請

2011-08-30 | Weblog

【登録免許税法第13条2項の適用を受けた場合でも、さらに租税特別措置法第84条の5の適用がある】

不動産一個を追加の場合、登録免許税は

1500円-1500円×10/100=1500円-150円=1350円≒1300円



【オンライン申請における前登記の表示の入力】

1 前登記物件の表示:不動産の表示の欄に入力する

(1)「追加する物件の種別」から「土地」「一般建物」等を選択し「表示物件の追加」をクリック
(2)「申請情報入力」をクリック
(3)選択欄から「前登記の表示」をクリックし、物件情報を入力
(4)備考欄に順位番号を入力

2 共同担保の表示:不動産の表示の欄に入力する

(1)「追加する物件の種別」から「共同担保」を選択し「表示物件の追加」をクリック
(2)「申請情報入力」をクリック
(3)「共同担保目録入力」をクリックし、内容を入力



プレビューの画面はこんな感じ

不動産の表示(1)
一般建物 **** 不動産番号 -
建物の表示(主である建物の表示)
所 在 **
家屋番号 ***
種 類 **
構 造 **
床 面 積 **平方メートル

不動産の表示(2)
土地 **** 不動産番号 -
土地の表示
前登記の表示
所 在 **
地 番 **
地 目 **
地 積 **平方メートル
順位番号1番

不動産の表示(3)
共担(*)****
共同担保
共同担保目録 (*)第****号

電子証明書(現行)が平成24年7月末日をもって失効するらしい

2011-08-29 | Weblog
電子証明書の切り替え 【ICカード方式からファイル方式へ】



一 新しい認証局による電子証明書(新方式)の発行開始:平成24年1月


平成23年11月 全司法書士会員に利用申込書を送付。
平成24年1月10日よりパスワード等を順次発行開始。
手続終了後、電子証明書の利用が可能となる。




二 「司法書士認証局」(現方式)の閉局 :平成24年8月


・現在のICカードは有効期限にかかわらず平成24年7月31日をもって一斉に失効。
・カードの返却は不要





新しい電子証明書(ファイル方式)の発行について

【申込開始】
平成24年11月:送付された利用申込書による

【発行の期間】
申込み~約6ヶ月

【発行手数料】
平成24年3月末日までは5250円
平成24年4月以降からは7245円

【有効期間】
5年未満(電子署名法施行規則第6条第1項4号)

【必要書類】
住民票、印鑑登録証明書等
(登録事項の変更等に注意)

住宅ローンの借換と住宅ローン控除

2011-08-26 | Weblog
一、 住宅ローン借換の一般的な損益分岐点

1 返済期間が10年以上残っている
2 借り換えにより金利が1%以上下がる
3 借入金残高が500万円以上残っている


ただし固定金利から変動金利への借換は注意が必要



二、 住宅ローンの借換と住宅借入金等特別控除

http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1233.htm

住宅借入金等特別控除は、算出された所得税額から一定金額を控除できる
(税額控除)ので節税の効果大。

以下の場合は借換後の借入金についても特別控除が認められる。



1 新しい住宅ローン等が当初の住宅ローン等の返済のためであることが明らかである場合

2 新しい住宅ローン等が住宅借入金等特別控除の対象となる要件に当てはまること

・居住の用に供する
・合計所得が3000万円以下
・床面積が50平方メートル以上
・床面積の2分の1以上が自己の居住の用に供する
・10年以上の償還期間
・一定期間に長期譲渡所得の課税の特例などの適用を受けていない..など

http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1213.htm




住宅ローン等特別控除を受けることができる年数は、居住の用に供した年から計算し、
借換によって変わらない。

償還期間が10年未満の住宅ローン等を10年以上の住宅ローンに借り換えた場合も
特別控除が受けられる(借換メリット大)。

知人や親族からの借入で特別控除を受けられなかった場合でも
銀行から借換をすればその対象となる(借換メリット大)。



【控除の対象となる住宅ローンの年末残高はどのように計算するか】


①借換により住宅ローン残高が借換前の残高と同じか、もしくは減る場合は
借換後の年末残高をそのまま適用。
②借換による新規借入額が借換前の残高より高い場合は、計算により調整。



(借換による借入額が借換直前の住宅ローンの残高より高い場合の計算方法)


年末残高 =借換後の年末残高 ×借換直前のローン残高/新しい住宅ローンの借入額



A 借換直前の住宅ローン残高 金1800万円
B 借換による新しい住宅ローンの借入額 金1850万円
C 借換による新たな住宅ローンの年末残高 金1820万円

年末残高= C× A/B =1820万円×1800万円/1850万円=1770万円



公正証書遺言のすすめ

2011-08-18 | Weblog
Ⅰ 遺言の趣旨目的 (私見)

遺言者自らが自分の残した財産の帰属等をあらかじめ決めておくことにより、
死後の法律関係を支配し、また後に起こりうる相続を巡る争いを防止しようとする。
ただし 遺留分の制限がある


Ⅱ 遺言がない場合の相続

民法の規定に従って、相続の権利のある者が権利義務を承継する

民法は相続分の割合を定めているが(民900)
実際は実情に即して推定相続人全員で遺産分割の協議をして分け方を決定するのが大半。
ここでの遺産分割協議は、不在者、失踪者等を含め全員の参加が必要である。

協議がまとまらなければ、家庭裁判所に調停を申し立てる。

調停が不成立に終わったときは、自動的に審判手続きが開始され
家事審判官が諸々の事情を考慮して審判をする。


Ⅲ 遺言の必要性

以上のように、遺産分割協議が円満に行われないであろうと推測される場合や
推定相続人以外の人に財産を譲ろうとした場合などに、遺言書の作成が特に必要になってくる。



日本公証人連合会(http://www.koshonin.gr.jp/yu.html)によると

①夫婦に子供がいない場合

夫婦に子供がいない(親もいない)場合は、配偶者と兄弟が共同相続人になる。
遺言をしておけば、兄弟には遺留分がないので確実に配偶者に遺産を残せる。



②再婚をしたため先妻の子がいる場合

③長男の嫁に財産を分けてあげたい場合

長男が既に死亡している場合、長男の嫁には相続権はない。
したがっていくら同居していたり生活の面倒をみたという事実があっても
遺言がなければ嫁が遺産を承継することはできない。


④内縁の妻に財産を残してあげたい

婚姻届を提出していないいわゆる内縁の妻は配偶者とは認められないので
遺言がなければ夫の財産を承継することができない。


⑤事業等の財産的基礎を特定の人に承継させたい


⑥遺言者のそれぞれの家族関係の状況に応じて,具体的妥当性のある形で財産承継をさせたい場合
・不動産は妻に相続させ、現金は長男に相続させる・・
・かわいい孫に遺贈したい・・
・世話になっている親孝行の子に多く相続させたい・・

⑦相続人が全くいない場合

相続人がいない場合は原則として遺産は国庫に帰属する



Ⅳ 遺言の方式

一般に利用されている方式として自筆証遺言と公正証書遺言がある。

【自筆証書遺言】

遺言者が,紙に,自ら,遺言の内容の全文を書き,かつ,日付,氏名を書いて,署名の下に押印することにより作成する遺言(民968Ⅰ)


誰にも知られずにいつでも自由に作成できる反面、以下のデメリットがある。

・内容に不備があると遺言を執行できない
・方式に不備があると無効である
・不利益相続人による破棄、改ざんの危険
・遺言書の紛失
・家庭裁判所の検認の必要性



【公正証書遺言】

遺言者が,公証人の面前で,遺言の内容を口授し,それに基づいて,公証人が,遺言者の真意を正確に文章にまとめ,公正証書遺言として作成する(民969)


公正証書遺言は自筆証書遺言のデメリットを補う。

・内容は公証人がチェック
・方式の不備により遺言が無効になることは少ない
・原本は公証人役場に保管されるので、破棄や改ざん、紛失の心配はない
・家庭裁判所による検認の手続は不要


一方で、最低公証人と証人二人の関与は必要になる点で秘匿性が失われ、
またその遺言書の作成に費用がかかるということがデメリットとなる。




Ⅴ 公正証書遺言のすすめ

遺言書の作成が、相続発生後の相続人間の争いを防止する目的でなされるとするならば、その遺言書そのものが原因となる争いが起きないように配慮することも必要である。その意味で、公正証書遺言は自筆証書遺言に対して大きなアドバンテージがあるといえる。

遺言の有効性を巡る争いについては、①遺言書の作成者を争うものと、②遺言者の遺言能力を争うものが多いという。
まず遺言書の作成者は誰か(遺言の自書性)、という問題については、遺言者が他の誰にも関与されずに自由に作成することのできる自筆証書遺言において生じる。遺言の無効を裁判によって主張する側が、遺言書が本人の自書により作成されたものではないと主張すれば、有効を主張する側はそれが本人の自筆によるものであることを立証しなければならない。自筆証書の秘匿性から、基本的には作成者を直接証明する証拠はないのであるから、筆跡鑑定などから間接証拠を積み重ねていかなければならないことになる。
遺言能力を争う訴訟については、自筆証書遺言にも公正証書遺言にもあてはまる。ただし、遺言能力がなかったという事実は、無効を主張する側が立証しなければならないために、訴訟に踏み切るべきか判断を要する。さらにそれが公正証書遺言であれば、公証人や証人は遺言能力を肯定する有力な証拠方法でもあるわけであるから、それをも覆す有力な証拠が必要となる。