小さい時からジャコウアゲハは魅力的なチョウだった。
きれいなオレンジの卵、黒い裏側に並ぶ後翅の紅色、何となく怪しい、魅力的な姿だった。
怪しいとは、いろいろな表現を見聞きしてきたが、ウマノスズクサには毒性(アリストロキア酸)があり、
その葉を食べるジャコウアゲハも体内に毒が蓄積し、捕食者は中毒をおこすと言う。
昨日、曇り空に小さな黒いチョウが舞っていた。
近づくと、ウマノスズクサのツルの先端に、小さめの真っ黒いジャコウアゲハが止まっていた。
かつては毎年この庭で巣立っていたが、しばらくぶりの懐かしい友だった。
表は黒く雄。ジャコウアゲハは、思いのほか俊敏にその場を離れて行ってしまった。
しばらくすると舞い戻り、同じツルに止まった。
カメラを手に近づくと、今度は空高く舞って行ってしまった。
また来いよと見送ったが、しばらくしてその場に戻ると、彼はまた、また、同じ空間に戻っていた。
待てよ、彼はもしかして、ここで生まれたのでは。そして故郷を懐かしむように離れがたかったのではないだろうか。
不思議なひとときだった。
我が家ではあちこちにウマノスズクサガ増えているが、ウマノスズクサ自体が絶滅危惧種とのこと。ジャコウの減る理由だろう。
この夏は、是非、庭に産卵に訪れて欲しいと願っている。
オオシオカラトンボがアジサイの花に止まった。彼女もこの空間が好きなようだ。
毎年訪れる彼女らが愛おしくてならない。