赤井谷地湿原の西側を走る林道脇で、草むらに入って何やら大がかりな草刈をしているグループに出会った。
車を止めると、咲き始めたオオハンゴンソウを刈り取っていた。
10袋位あったろうか、刈り取ったごみ袋をワゴン車の荷台に積みこんでいた。
市の教育委員会の方たちで、赤井谷地への侵入を防ぐためだと説明してくれた。
オオハンゴンソウは (外来生物法)により指定されている特定外来生物である。
明治中期に観賞用に導入され、その後野生化し、現在では全国に分布する。
日光国立公園の戦場ヶ原や十和田八幡平国立公園では、在来植生への影響が出始めていることから、駆除作業が行われているという。
赤井谷地は「赤井谷地沼野植物群落」として天然記念物に指定されている貴重な湿原だ。
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猪苗代湖の北西岸で,比較的低標高に位置する高層湿原。
およそ4~5万年前の火山の噴火により,猪苗代湖の水位が高かった時期に湖沼であった地域が,
その後の水位低下と陸化によりおよそ2万年前から湿原が形成され今日に至っている。
このような湖沼から典型的な陸化遷移によってできた湿原は,日本では現在のところ赤井谷地しか知られていない貴重な湿原である。
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会津若松市教育委員会では、最近(平成4年から)、赤井谷地の学術的価値の再検討と現状把握を目的に、
総合的な学術調査が行われ、報告書が作成された。
その調査結果に基づき、『赤井谷地沼野植物群落保存管理計画』が策定され(平成11年)、
天然記念物の管理団体に会津若松市が指定された(平成13年)。
現在その計画に沿い、湿原からの漏水防止が図られたり、湿原内地下水位の自動計測など、
湿原の乾燥化を防ぐ方策がとられつつあるようだ。
貴重な湿原は今危機状態にあると思う。一度失われた自然は戻らない。