澎湖島のニガウリ日誌

Nigauri Diary in Penghoo Islands 澎湖島のニガウリを育て、その成長過程を記録します。

伊豆見元・静岡県立大学教授は学歴詐称をしているのか?

2011年05月16日 12時38分47秒 | 

 最近、重村智計氏(早大教授・朝鮮政治)の著作を2冊読み返して、気になることがあった。

 「外交敗北~日朝首脳会談と日米同盟の真実」(講談社 2006年7月)においては、次のような記述が見られる。朝鮮問題の評論家について著者は、「その場限りのいいかげんな解説や発言」をする人物としてA教授を挙げている。

「(著者は)A教授がソウルの民間研究所に籍を置きながら、語学学校に通っていたことを知っている。ソウル特派員時代に、お世話をしたこともあった。残念ながら、延世大学の大学院には籍を置けなかった。延世大学の教授達によると、博士課程に在籍することもかなわなかったという。」(同書140ページ)

 これは、おそらく伊豆見元・静岡県立大学教授を指すのだろうと思われたが、まあ両センセイは仲が悪いんだなあとしか思わなかった。ところが、重村著「金正日の正体」(講談社現代新書 2008年8月)では、このことがよりはっきりと書かれている。

「NHKにしばしば出演するS大教授は、経歴詐称を疑われている。”延世大学大学院博士課程修了”の経歴を、長年にわたり新聞や雑誌で使っていた。私の友人の延世大学教授が”調べたら、大学院の学籍簿にまったく名前がない。在籍を、記憶している教員もいない。経歴詐称ではないか”と、聞いてきた。」(同書226ページ)

 これでこの教授とは、伊豆見元氏を指すのだということが明らかになった。朝鮮政治の専門家は数えるほどしかいない、言い換えれば朝鮮政治を専攻してもなかなかポストは得られないから、よほどの動機がない人はその道に進まないのだ。
 静岡県立大学の公式データで伊豆見氏の学歴は次のように表記されている。

学歴
1974年 中央大学法学部政治学科卒業
1977年 上智大学大学院外国語学研究科国際関係論専攻博士課程前期修了
学位
国際学修士(上智大学・1977年


 この「国際学修士」の論文は、朝鮮戦争を取り扱ったもので、以前の上智大学HPには氏名及び論文タイトルが明示されていたので、事実である。上智大学には今も昔も、朝鮮半島の研究者は皆無だが、このとき論文指導をしたのは朝日新聞出身の前田寿という人ではなかったか。静岡県立大学へ届けられた最終学歴は、上智大学大学院修士課程となっているので、少なくとも現時点で職務上の虚偽記載は見られない。
 だが、重村氏が問題とするのは、それ以降の経歴、学歴である。Wikipedeiaを引用すると次のようになる。

   1969年3月 - 東京都立広尾高等学校卒業
   
1973年4月 - 東京外国語大学外国語学部 教務補佐員(-1979年3月)
   
1974年3月 - 中央大学法学部卒業
   
1977年3月 - 上智大学大学院 国際関係論専攻博士課程前期(修士)修了
   
1979年4月 - 財団法人平和・安全保障研究所研究員(-1986年5月)
   
1981年2月 - 韓国延世大学校韓国語学堂修了
   
1982年2月 - 韓国延世大学校政治学大学院研究課程修了
   
1986年6月 - 財団法人平和・安全保障研究所 主任研究員(-1987年3月)
   
1987年4月 - 静岡県立大学国際関係学部 助教授(-1995年3月)
   
1991年9月 - ハーバード大学国際問題センター 客員研究員(-1992年8月)
   
1992年9月 - 英国ニューカッスル大学東アジア研究センター 客員研究員
   
1995年 2月 - 米国平和研究所 客員研究員
        4月 - 静岡県立大学国際関係学部 教授(-現在)

 こう見ると確かに、伊豆見という人はしたたかに学歴アップを図ってきた人物だということが分かる。だがもし、重村氏が指摘する部分、つまり1982年2月 - 韓国延世大学校政治学大学院研究課程修了が虚偽記載であると疑われているのなら伊豆見氏はこれに対して反論すべきだろう。何なら、名誉毀損で訴えるべきではないか?

 TVで伊豆見氏を見る限りでは、単位や学生の勉学姿勢に厳しそうなセンセイのように思われる。傲岸不遜という印象だ。私の経験では、そういう人に限って、何かコンプレックスを持った人が多かった。学歴がないというコンプレックスも含めて。

 朝鮮政治の専門家など、小此木政夫氏を筆頭に数えるほどしかいないのだから、その「業界」内でこういう批判があるのなら、はっきりと黒白をつけるべきだと思うのだが、いかがだろう? 伊豆見センセイ!

 

金正日の正体 (講談社現代新書)
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