今年のゴールデン・ウィークにハワイに行った日本人は、福島原発事故の影響で例年の半分ほどだったそうだ。私自身、米国に旅行したいと思ったことは一度もないので、実はあまり乗り気ではなかった。ツアーの日程にも無関心だったので、同伴者からは「少しは読んでね」と注意されたほどだった。
だが、実際に行ってみると、景色は絵はがきを見るようで、街の治安もよく、食事も結構美味しかった。もっと若いときに来るべきだったと、内心、残念に思ったくらいだった。
(ダイアモンドヘッド山頂から見たホノルル市街)
ダイアモンドヘッドに登って、日ごろの運動不足を痛感した。白人の年配者が結構元気に登っていたので、シャクだった。次の日には、真珠湾に行き、「アリゾナ」記念館を見学した。二百人ほどの観光客が、一緒に「Remember Pearl Harbor」の記録映画を見て、連絡ボートに乗ったが、アジア人はごく少数。おそらく日本人は我々だけだった。
私が気づいたのは、中国人観光客が意気軒昂に見えたこと。何故なら、当該記録映画は「ナチスと同盟し、真珠湾を不意打ちにした大日本帝国(Japanese Empire)を正義の戦いで破った」としていたから。中国は米国と同盟関係にあり、邪悪な日本をやっつけたと読み取ることもできるからだ。韓国人観光客もいたが、ほぼ同じようなことを感じたのではないか。戦後ずっと「悪うございました」と言い続けてきた日本人は、これからはこのままでいられるはずはない。間違いなく中国は、日米関係の離反を狙って、米中友好の歴史を強調するに違いない。
「震災後」には、それに相応しい新たな歴史認識が必要となるだろう。実はハワイ王国の滅亡と明治維新の断行には深い相関関係がある。それを知るだけでも、過去と現在は繋がっていて、誰が一方的に悪かったなどとは言えないはずだ。
(真珠湾にて)
チャイナタウンでは、真新しい孫文像に出会った。ハワイは東京と同じく、孫文ゆかりの地でもある。だが、真昼だというのに、カードなどのギャンブルに熱中する目つきの鋭い華人がたむろしていて、ホノルルの中では異様な感じがする街だった。
(真珠湾の説明プレート)
真珠湾、チャイナタウン、博物館と連れ回された家人は、おつき合いにうんざりだったかも知れない。リゾート地なのにね…。それが私のわがままなところ。