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丸山ワクチンに望みを託した

2017年03月14日 11時03分02秒 | 創作欄
多くの競輪ファンが負け続ける中で、米沢は奇跡的に「負けなかった」のである。
直感ともいうべきものであろうか、嫌な予感がしたら車券を買わずにレースを観ていた。
案の定、彼が車券の軸にした選手が仕掛けられず敗退する。
頭裏に数字が浮かんでいることもあった。
それは霊感のようなものであっただろうか。
競輪は9人選手が走るのであるが、「数字が走るのだ」と米沢は独自の考え方に至る。
勝負勘を補強するような、数字の閃きを確信した。
当然、数字が浮かんでこないこともある。
その時は、レースを冷静に観ていて、車券は買わない。
だが、彼の勝負勘に狂い出てきたのである。
肺がんの初期症状は風邪の症状とよく似ていた。
「安静にしていれば自然に治る」と勘違いされやすい、という特徴もある。
米沢は新潟の弥彦競輪場で風邪が悪化したのだと思い、8レースで競輪場を後にし、新潟市内戻り「熱爛かん」の日本酒を飲む。
だが、体が温まってきたのに、痰や咳が止まらない。
そして一か月以上空咳が続いた。
段々咳がひどくなり、息切れを感じるようになり、競輪場へ行っても勘が冴えなくなる。
それまで奇跡的にプラスを続けていたのに、負け続けたのだ。
常時、手元には100万円以上の軍資金があったのに・・・
痰の量が増え痰の色が濃くなったり、血痰が出るようになってきた。
持続性の胸の痛みを感じ、物が飲みこみにくなる。
食欲が落ち、急に体重が減った。
首や顔が腫れることが増え、疲労感が強くなる。
それを酒で誤魔化すが、限界に来て日本医科大学病院へ行く。
そして丸山ワクチンに望みを託したのだ。

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