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米沢に思わぬ博打の才

2017年03月14日 10時12分13秒 | 創作欄
米沢これまで知的好奇心から、多くの本を読んできた。
若き日の彼は、映画人の端くれとしての立場であったが、身近に接する優れた監督や脚本家たちには、それなりの知的な豊かさや理念の裏付けが感じられた。
陰で相当の努力を重ねてきて、今日の彼らが居るのだと羨望の眼を注いできた。
米沢は足を踏み入れた競輪に翻弄されていく。
たかが競輪、されど競輪である。
血も湧き立つ。
走る格闘技と評される競輪に、米沢も闘争心を燃やし初めていた。
初め行って大宮競輪では、手にしていた退職金が約3倍になったのである。
妻には、「アルバイトの金だ」と言って10万円を渡した。
妻はどのようなアルバイトなのかを問わなかった。
二人の間には子どもが居なかった。
米沢は妻にとって、大きな駄駄っこのようなものであった。
マイペースを貫く夫である。
妻の言いなりになる夫ではなかった。
一人でぷらりと旅行へ行く。
そして旅先から絵ハガキを送ってきた。
ほとんど夫婦で旅行をすることはなかった。
米沢は地方の競輪場へも出掛けて行った。
小田原、伊東温泉、静岡、名古屋、京都、奈良などである。
米沢には、思わぬ博打の才が眠っていたのである。
脚本でも書くように、展開を組み立て描く。
「競輪にドラマがある」その通りであったのだ。

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