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池田大作(著) 私の世界交友録

2025年09月07日 07時25分17秒 | その気になる言葉

私の世界交友録

様々な出会いのつづれ織りが、人生という歴史の絵模様を描くと語る池田大作が、世界の知性と語った「魂の交響曲」。

トインビー、マンデラ、サッチャー、周恩来、ゴルバチョフ等との交友を描く、人間愛あふれるエッセー集。

フランのアラン・ポエール元上院議長は池田会長に対し「平和のために行動する人、人類に対する最大の貢献者である」と評した。

人生、戦うことはできる。むずかしのは戦い続けることである。

初心を忘れないことである。戦続ける人の言葉には、千鈞(せんきん)の重みがある。

「私は、生きて囚われの身となるよりは、たとえ死んでも、一人でも多くの人を救いたかったのです」フランス上院のポエール議長(当時)は、反ナチ・レジスタントの闘志であった。

1940年、ダンケルクの戦い。

ナチスの猛攻が、北フランスの港町を襲った。

「激しい爆撃が続きました。私は懸命に防空壕を掘って、兵士を退避させました。ともかく皆を救いたかった。2000人以上を助たでしょうか」

しかし―と議長は息をつがれた。

「ある一人の兵士を救えなかった。・・・彼は、私の友人でした」

リュクサンブール宮殿(パリ)にある議長公邸である。1981年以来、5回の会見はすべて、この歴史の館にお招きを受けたものである。

宮殿の400年の重みは、自然のうちに、<時を超えて輝く何か>にだけ、人の思考を誘う力があるようであった。

必死の救出作業のなかで、私はあることに気づきました。それは自分には人々を安心させる力があることです。そこから私の政治家への道が始まったといえるでしょう。この話をいするのは初めてです。ここにいる孫娘たちも聞いたことがありません」

議長にとって、政治とは「人を救う」ことであった。

人を安心させ、幸福にすることであった。

その初心を85歳を超える今日まで貫いてこられた。

その間、25年にわたって上院議長を務め、大統領代行も2度(1969年、1974年)文字どおり、フランス政界の重鎮であり、良心であられる。

「人間は何のために地球上に生まれたのか。その意味を考えるべきです。人間は、自分より不幸な人を助けるべきなのです。それが人間としての責任であり、政治の使命なのです」

崇高な闘争の人生の結論として、議長が語ってくださった魂の言葉を、私は後世に残していきたい。

「人生には、生きていくうえでの基本軌道、「道」が必要です。心のままに振舞うだけではいけない。人生の不変の知恵を伝える宗教の必要性もそこにあります。確かな宗教をもつ人は、ドラマに富んだ人生を行く抜くうえで、他の人にはない力を得るのです」

「他人に奉仕し。自分を犠牲にすることは、結局、自分のためになります。ゆえに、エゴイストであってはならない。これが長い人生を振り返っての私の実感なのです」

人生の満足とは。勝利とは。栄光とは。—私は思う。

何があろうと戦い続けた、その信念の歴史こそ「幸福」はある、と。

「人物は会ってみなければ、わからない」
「日本人であり、ロシア人である前に人間である。政治家や芸術家である前に人間である。共産主義者や宗教家である前に人間である。その人間という原点をともに確認し、掘り下げることが、地球時代の今、求められているのではないだろうか」
この池田会長の信念が、本書に掲載された、ひとつひとつのエッセイの底に流れていることを感じました。

本書は、「週間読売」や「聖教新聞」に1994年3月〜1995年7月にわたって掲載された、49本のエッセイをまとめた書籍ですが、池田会長の交友は実に多彩であることに驚かされます。
ライナス・ポーリング、ノーマン・カズンズ、ジョン・ガルブレイス、マーガレット・サッチャー、ミハエル・ゴルバチョフ、周恩来・・・

私が最も心に残ったのは、ネルソン・マンデラ大統領についてのエッセイでした。
日本が南アフリカで「名誉白人」として優遇されながら貿易で黒字をあげていたことや、アパルトヘイトを非難して世界中が経済制裁を加える中で、日本は貿易取引を続けたことなど、日本人はまったく自覚することなく差別や人権侵害に加担し続けたことを、池田会長は鋭く浮き彫りにしていきます。

日本人の大半が他人事として気にも留めなかった、遠い異国の地で行われていたアパルトヘイトの話が、彼にかかると急に身近なことに思えてくるから不思議です。

池田会長の「対話による平和行動」の中身を何もわかっていない方は「ノコノコ外国人を訪問して世間話をして、平和になるわけがない」などと非難していますが、池田会長の対話は実に具体的です。
マンデラ大統領との会見では「人権展」「反アパルトヘイト写真展」「人権講座の開催」「南アフリカの小学校への援助」「創価大学への南アフリカ留学生の受入れ」を提案し、彼はそのすべてを実行しました。
池田会長が提案した内容をよく見ると、どれも「人間としての尊厳」「教育」といった観点から提案されているように思います。

池田会長は、青年たちに「アフリカの人から学びなさい。アジアの人から学びなさい。教えるのではなく、教わるのです」と、いつも語っているそうです。
一国の元首でも、日本の平凡な「おばちゃん」でも、彼にとってはまったく同じ一人の人間なのでしょう。同じ人間だからこそ、誰からでも謙虚に学ぶことができるのかもしれません。

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