“トランプ関税” 影響はリーマンショックに匹敵との指摘も
トランプ政権による関税政策で金融市場に動揺が広がる中、東京株式市場では7日、日経平均株価が過去3番目に大きい下落幅を記録し、東証のプライム市場の時価総額は7日だけで64兆円減少しました。
専門家からは関税による世界経済の影響はリーマンショックや新型コロナショックに匹敵するショックになりかねないといった指摘も出ています。
トランプ政権の関税政策が世界経済に深刻な影響をもたらすという懸念から金融市場は世界同時株安の様相となり、7日の東京株式市場では日経平均株価が過去3番目に大きい下落幅となりました。
東証のプライム市場の時価総額は7日だけで64兆円、先週月曜日の取引開始時点から7日までで155兆円、減少しました。
一方、大阪取引所では、株式と比べると安全な資産とみられている「金」の先物取引も、7日の日中は代表的な価格が大幅に下落し、市場の動揺ぶりがうかがえます。
専門家も関税による影響は国内の消費や賃金動向にも及びかねないと警戒しています。
ニッセイ基礎研究所 矢嶋康次専務理事
「過去のリーマンショックやコロナショックに匹敵するような大きなものだと思う。中小企業にとっては先々の計画が立てられず、この関税は一体いつまで続くのか、どうなったら解消するのかが見えない中で、設備投資や来年に向けての賃上げの行動を起こしたいけれども起こせないという形に陥りそうになっている」
24%の相互関税の発動が9日に迫り、日本経済が厳しい局面を迎える中、金融市場の動揺がいつ収まるのか、見通せない状況となっています。
“トランプショック” 日経平均株価下落 今後は?専門家に聞く
週明けの東京株式市場が“トランプショック”に揺れました。
トランプ政権の関税政策をめぐる懸念から、7日の日経平均株価は先週末より2600円以上下落し、終値としては過去3番目の下落幅となりました。
今後はどうなるのか?日本経済への影響は?
専門家の声をまとめました。
株価 先週末より2644円値下がり 下落幅は過去3番目の大きさ

トランプ政権の関税政策で世界経済が後退局面に入るリスクがあるという懸念から東京株式市場では株安が止まらず、日経平均株価は先週の取引開始時点では3万7000円台でしたが、7日の終値では3万1100円台に急落しています。
ちょうど1週間前の先月31日はトランプ政権による相互関税の具体的な内容は公表されていませんでしたが、日本企業にとって大きな打撃になるという懸念が広がり、日経平均株価は1502円の下落となりました。
続く今月1日、2日は値下がりした銘柄を買い戻す動きが出ましたが、日本時間の3日早朝、トランプ大統領が相互関税などの具体的な内容を明らかにすると、投資家の間では「予想より厳しい内容だ」という受け止めが広がり、3日は989円4日は955円、そして週が明けて7日は2644円と過去3番目に大きな下落幅となりました。
先週月曜日の取引開始時点から7日までで、日経平均株価は3万7120円から3万1136円に急落し、およそ6000円下落したことになります。
東京証券取引所の「プライム市場」に上場する企業の時価総額をみると、先週月曜日の取引開始時点は944兆円でしたが、7日の取引終了時点では789兆円に減少し、わずか1週間で155兆円分の価値が減った形です。
《3人の専門家が分析》
資産運用会社アナリスト「株価がパニック的な動き」

資産運用会社「ピクテ・ジャパン」のシニア・フェローで金融アナリストの大槻奈那さんは、トランプ政権の関税政策を巡る金融市場の混乱について「トランプ関税の発表前は、市場は少し楽観ムードに傾いていたところがあり、関税についてはディールで徐々に税率を下げていくような見方をしていたが、相当高い税率が出て、実際にかかり始めてしまうことへのサプライズによって、株価がパニック的な動きをしている」と述べました。
その上で「今回のショックが大きな金融危機にまで広がるかどうかは、このショックが果たして金融システム全体に影響を与えるようなものなのか、さらに財政の不安にまで発展するものなのかということが決め手になる」と指摘しました。
一方、企業による関税政策への対応については「トランプ政権の関税政策は短期的な政策の可能性もあり、今のところは企業も方針を決めかねているところはあると思うが、仮にこれがアメリカの関税政策の大きな転換であるとすれば、製造業も現地で売りたければ現地で生産し、雇用もまかなう施策に変えていかないといけない」と述べました。
さらに、日本経済への影響については「インフレの高止まりと株価下落によるマイナス影響のダブルパンチで、消費に相当な悪影響が出る可能性がある。ただ、関税政策の内容が公表されてまだ数日なので、少し静観するべきだろう」と述べました。
大和総研シニアエコノミスト「衝撃はかなりのもの」

大和総研の神田慶司シニアエコノミストはトランプ政権の関税政策が世界経済に与えた影響の大きさについて「相互関税の内容が想定を大きく上回るものでありグローバルに生産体制を構築してきた企業にとっては大きな打撃になる。新型コロナの時は感染によって経済活動を止めざるを得ないということで、非常に大きなショックだったが、今回もアメリカという世界一の経済大国が、政策によって経済活動を大きく止めるという意味で、衝撃としてはかなりのものだと思う」と述べました。
そのうえで、関税政策が長期化する場合は日本経済は影響を避けられず、なかでも賃金や雇用面が受ける影響については「今春闘の交渉が続いてる中でこれだけの大きな外部環境の変化があると、中小企業はこれから交渉が本格化していく中で賃金交渉が難航し、賃上げ率が思ったより上がらない、もしくは前の年を下回る可能性も出てくる。また、日本経済にとってアメリカと中国は大きな輸出相手国で、関税によって大幅な景気減速になると日本の輸出が大幅に減り、結果的に雇用情勢が悪化してしまう。人手不足の中でも失業率が結果的に上昇するという局面にもなり得る」と指摘しました。
ニッセイ基礎研究所 専務理事「リーマンやコロナに匹敵」

ニッセイ基礎研究所の矢嶋康次専務理事はトランプ政権の関税政策による世界経済への影響について「過去のリーマンショックやコロナショックに匹敵するような大きなものだと思う。今回の特徴はトランプ政権による人為的なもので、金融市場はこの状況がいつまで続くのか、まったくわからずパニックの状態になっていると思う」と述べました。
その上で日本経済への影響については「今やっと動き始めた賃金と物価の好循環というのが止まってしまう可能性も出てきていて、経済面、物価面を見てもトランプ政権の関税政策は私たちの生活にとっていい面はないと思う」と述べました。
さらに矢嶋専務理事は「中小企業にとっては、先々に対して計画が立てられなくなってしまった。この関税は一体いつまで続くのか、どうなったら解消するのかが見えない中で、例えば設備投資や来年に向けての賃上げの行動を起こしたいけれども起こせないという形に陥りそうになっている」とと指摘しました。
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