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攻撃を行う行為者の内的要素

2018年12月07日 02時17分58秒 | 社会・文化・政治・経済

攻撃を行う行為者の内的要素である攻撃性とは何であろうか。
これまでの研究では,感情としての怒り,態度としての敵意,行動としての
攻撃と捉えられることが多く,攻撃的な思考や関心,感情,攻撃への意欲や願望など,行動や反応が生み出される内的な心理過程を指して用いられ
てきた。
攻撃性の分類も立場により様々であるが,それまで研究されてきた種々の理論を,内的衝動説,情動発散説,社会的機能説の 3 つの立場に大別している。
まず,内的衝動説とは,「攻撃行動を起こす心的エネルギーが個体内にあると仮定される立場」である。
この内発的なエネルギーは,攻撃本能あるいは攻撃衝動と呼ばれてる。
この立場の代表的な理論であるフロイトの攻撃本能説では,攻撃性は死の本能という根源的な衝動から派生したものだと考えられている。
自己破壊衝動である死の本能の外部転化が他者への攻撃衝動となるのであるが,これは自己を守るための必然的な行為であるとされている。
生物学的な視点からも,脳の攻撃中枢は他の生理的本能と同
じようなメカニズムで作動しているものであり,攻撃性は種族の維持と進化に貢献するものであると言われている。
自分が危害に曝されているという認知から生じる回避・防衛的な行為や,負のイメージを拒否し,自己の同一性を守ろうとする印象操作のための行為である場合が多く見られ,制裁・報復,強制,という意味合いを含んでいる場合もある。
ゆえに,不快な情動が攻撃に不可欠であるとはみなしていない。
この立場をとる研究者の多くは社会心理学者であり,代表的な社会的学習理論は,生じた葛藤を解決するために選択された手段が攻撃という危険なものであり,それが何度も繰り返されるうちに,問題解決のための効率的な方法として学習されていくというものである。個人内の認知過程が大きく関係していると言える。
いずれにしても,攻撃性の歪んだ発動は,問題行動として否定的に評価されることが多く,抑制されるべきものであると見なされやすい。
しかしながら,人間は誰しもが攻撃性や残忍さを心の奥に秘めているものであり,日常,意識しないレベルに抑えられ,生のまま表出されることが少ないだけなのである。


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