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被害の総額は数十億円か 男を直撃 あ然...その実態

2021年02月18日 23時14分43秒 | 事件・事故

2/18(木) 21:24配信

フジテレビ系(FNN)


逮捕前、FNNの取材に答える会社役員の河田富伸容疑者(48)。

河田富伸容疑者「わたしに何かあったら、みんなが迷惑することになりかねないですよ」

3年前、富山県内に住む70代の女性から、およそ1,000万円をだまし取った疑いで逮捕された。

誘い文句は、海外の金の鉱山で行われる採掘事業に投資すれば、配当金が得られるというものだった。

調べに対し、「違います」と容疑を否認している河田容疑者。

どうやって信用させ、大金をだましとったのか。

被害を訴える男性が、取材に応じた。

詐欺の被害に遭った男性「2年間、預けておけば、元金保証するし返しますということだったので、好意的に3,000万を用意した」

河田容疑者とは顔見知りだったという男性。

話を持ちかけられたのは、今から6年前のことだという。

河田容疑者「海外の金鉱山に投資すれば、1カ月あたり、2%の配当が出る」

男性によると、出資の直後、河田容疑者の言葉通り、配当金が配られたが、およそ半年後には配当がストップ。

その後、解約にも応じようとしなかったという。

不審に思った男性は、金を掘っているという海外の鉱山を訪れ、調査をした。

すると...。

詐欺の被害に遭った男性「ミャンマーは現地行きました。ミャンマーの鉱山まで。調べてみたら、全部借り物だった。廃鉱山を借りて、現地の作業員も全部日当を払って細工していたことがわかった」

鉱山の事業は実在せず、さらに資金を運用していた実態もないことがわかった。

被害者の男性によると、河田容疑者が同じ様な手口でだましたのは、およそ400人。

被害金額は、数十億円にのぼるという。

逮捕される前の直撃に対して、河田容疑者は、「(事業が)うまいくいけば英雄、悪くなればあれですよね、みんな担ぎ上げて、それでちょっと調子悪くなったらハシゴ降ろすんですよ。だから...どちらかというと、わたしが被害者という感じ」と答えていた。

警察は、余罪を含め、捜査を進めている。

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20、30代も...自宅等で悪化し死亡が急増 新型コロナ 1月だけで132人 国内

2021年02月18日 23時11分31秒 | 医科・歯科・介護

☛ 陽性患者の死亡率は5.2%
☛ 死亡率は男性5.5%、女性4.8%
☛ 死亡者の平均年齢は、79.3歳(男性 77.1歳、女性 82.9歳)
☛ 高齢者ほど死亡割合が高く、90歳代が33.9%、80歳代が30.2%、70歳代が
17.0%。一方で、50歳代以下の死亡割合は0.5%と非常に低い
☛ 死亡症例における院内・施設内感染の占める割合は、51.7%
(医療機関140、福祉施設28)
☛ 発症から死亡までの平均日数は17.1日。
また、院内感染による死亡者は14.6日と
さらに短い
☛ 死亡者の多くが糖尿病や高血圧など何らかの基礎疾患を有している。

 

☛ 陽性患者は60代以下が全体の8割以上を占めている。
☛ 性別は、男性が約6割を占めている。

新型コロナ「10の知識」から抜粋

▽感染者は20歳代が最も多い
▽重症化率は約1.6%、死亡率は約1%
▽糖尿病や高血圧などの人は重症化しやすい
▽日本の人口当たりの感染者数、死者数は世界平均より低水準
▽うつす可能性があるのは発症2日前から発症後7~10日程度
▽感染者のうち他人に感染させているのは2割以下
▽大人数の飲食、マスクなしの会話などで感染リスクが高まる
▽検査は唾液や鼻の粘液を使う
▽治療法の確立により、入院患者の死亡割合が低下
▽ワクチンは世界中で開発中

(厚生労働省の資料を基に作成)


20、30代も...自宅等で悪化し死亡が急増 新型コロナ 1月だけで132人
国内
2021年2月13日 土曜 午前0:36 fnn.jp

新型コロナウイルスに感染し、自宅などで体調が悪化して死亡した人は、1月だけで132人にのぼることがわかった。
高齢者が目立つものの、20代や30代も含まれている。
警察庁によると、2020年3月から2021年1月末までにコロナに感染し、自宅などで容体が急に悪化して亡くなった人は、全国で254人確認されている。
特に1月は132人にのぼり、全体の半数以上を占めたほか、1カ月間で初めて100人を超えた。
年齢別では、90代が16人、80代が37人、70代が36人と高齢者が多いものの、30代が2人、20代も1人と若い世代でも確認されている。
また、亡くなる前に感染が判明していた人は56人、死亡後の検査でわかった人が76人だった。

 


病院クラスター200人規模に 岐阜県で新たに13人が新型コロナ感染

2021年02月18日 22時21分17秒 | 医科・歯科・介護

40代女性患者が新型コロナで死亡、岐阜県内の最年少死者 県内で5人死亡、13人感染確認
2/15(月) 19:54配信

岐阜新聞Web

 岐阜県と岐阜市は15日、県内で10代~80代の男女13人に新型コロナウイルスの感染を確認し、入院していた美濃加茂市の40代、70代、80代と90代の男女5人が死亡したと発表した。40代が亡くなったのは県内で初めてで最年少。クラスター(感染者集団)では、県内過去最多の感染者が確認されている木沢記念病院(美濃加茂市)で新たに8人の感染が判明した。県内の累計感染者数は4488人、死者は96人となった。

 11日に70代男性、13日に40代女性、14日に80代女性、15日に80代と90代の男性がそれぞれ死亡。40代女性は基礎疾患があった。県によると、11日と13日の死者2人は入院先の病院から県への報告が遅れたため、15日の発表になった。

 クラスター関連では、木沢記念病院で医療従事者3人や患者3人ら計8人の感染が分かり、規模は169人に拡大した。各務原市の語学教室では、既に感染が確認されている利用者の男子児童が通う小学校の同じクラスで女子児童2人の感染が判明。規模は11人に増えた。

 新たなクラスターの発生はなく、大垣市の高齢者入所施設のクラスターなど3件が終息した。

 新規感染者の居住地別は岐阜市、本巣市、美濃加茂市、可児市が各2人、瑞穂市、関市、加茂郡富加町、同郡川辺町が各1人、愛知県1人。年代別は10代4人、20代2人、30代3人、40代、60代、70代、80代が各1人。

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病院クラスター200人規模に 岐阜県で新たに13人が新型コロナ感染
2/18(木) 18:13配信

岐阜新聞Web

 岐阜県と岐阜市は18日、県内で新たに20代~90代の男女13人の新型コロナウイルス感染を確認したと発表した。県内で過去最多の感染者を確認している木沢記念病院(美濃加茂市)のクラスター(感染者集団)では8人の感染が分かり、200人規模に拡大。県内の累計感染者数は4539人となった。

 同病院の新たな感染者の内訳は入院患者5人、職員2人、職員の家族1人。患者や職員から感染者が出た病棟は2つ増え、全11病棟中10病棟に拡大した。

 このほか、岐阜清流病院(岐阜市)のクラスターでは、これまで感染者が出ていなかった病棟で働く医療従事者1人の陽性が判明し、合わせて32人となった。

 新たなクラスターの発生はなく、岐阜市の老人介護施設で広がったクラスター1件の終息を確認した。

 新規感染者の居住地別は美濃加茂市6人、各務原市3人、可児市と瑞穂市が各2人。年代別は20代4人、40代1人、50代と60代が各2人、70代1人、80代2人、90代1人。

 

 


東京新たに445人 高齢者約20%占める

2021年02月18日 22時18分14秒 | 医科・歯科・介護

2/18(木) 15:41配信

日本テレビ系(NNN)
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言が出されている東京都内で、新たに445人の感染が確認されました。都内の感染者は、12日連続で500人を下回りました。

東京都内の新たな感染者は、10歳未満から90代までの445人で、12日連続で500人を切りましたが、11日の434人と比べ、11人増加しました。

直近7日間の感染者数の平均は、355.1人で、11日の465.4人の76.3%にとどまりましたが、東京都が感染抑制の目安とする「7割以下」を上回りました。

また、65歳以上の高齢者は91人いて、およそ20%を占め、引き続き高い割合となっています。一方、重症者は3人減って84人でした。

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新型コロナ「感染減の速度鈍化」 高齢者クラスター継続 厚労省助言組織

2021年02月18日 22時15分37秒 | 医科・歯科・介護

2/18(木) 18:42配信

時事通信

 新型コロナウイルス対策を助言する厚生労働省の専門家組織「アドバイザリーボード」の会合が18日開かれ、新規感染者数について「減少が続くが、夜間の人流の再上昇が見られる地域もある。感染減少のスピードが鈍化している可能性もある」との見解を公表した。

【グラフ】新型コロナウイルス 都道府県別感染者数・死者数

 入院者数なども減少が続くが、高齢者施設でのクラスター(感染者集団)発生も継続しているとして警戒を呼び掛けた。

 感染者1人が平均して他人にうつす人数「実効再生産数」は、感染拡大を示す「1」を下回る0.76(1日時点)で、緊急事態宣言の対象地域に限っても同水準だった。

 全国の人口10万人当たりの新規感染者は、10日までの1週間は10.71人だったが、17日までの1週間は7.46人に減少。東京は25.56人が17.78人に、大阪は12.74人が8.74人に減った。

 会合では、変異ウイルスについて、英国、南アフリカ、ブラジル由来とは異なるタイプが国内で約90例確認されたことが報告された。国立感染症研究所によると、ウイルス表面のたんぱく質に「E484K」と呼ばれる変異がある。ワクチンの効果に影響する可能性があるが、感染力が従来型より強くなることはないという。

 専門家組織は会合で、感染者の退院の新基準も議論。人工呼吸器などによる治療を受けた場合は、発症後15日間かつ軽快後72時間が経過した場合に退院できるなどとする新たな基準案が示され、了承された。 

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新型コロナ無毒化する治療薬を共同開発へ 兵庫県と神戸大学など

2021年02月18日 22時13分02秒 | 医科・歯科・介護

2020/12/1 21:52 (JST)

©株式会社神戸新聞社


兵庫県と神戸大学、創薬ベンチャーのイーベック(札幌市)は1日、新型コロナウイルスを無毒化する治療薬「中和抗体医薬品」を共同開発すると発表した。県立加古川医療センター(加古川市)を退院したコロナウイルス感染症の回復者の血液を使って研究を進める。すでに同種の研究開発が世界中で進められており後発組だが、産官学でタッグを組んで製品化を目指すという。

 中和抗体医薬品は、ウイルスの表面を覆って無毒化し、細胞への侵入を防ぐ「抗体」を体外で作ったもの。ウイルス(の一部)を無毒化したコピーを注射し、体内で抗体を作らせて感染を防ぐワクチンとは異なり、感染した後の治療に使われる。米国のトランプ大統領が感染した際、複数の中和抗体を混ぜた薬が使われたことで有名だが、まだ世界で製品化されたものはないという。

 神戸大大学院医学研究科付属感染症センターの森康子教授によると、今後、県の全面的な協力で、同医療センターを退院した回復者から血液の提供を受け、治療効果の高い抗体を探し出す。神戸医療産業都市にも拠点を持つイーベック社は、独自技術も活用して「3カ月で候補となる抗体を出したい」と意気込みを語った。

 ただ、製品化は抗体を決定し、臨床試験や薬事承認を経た後となる。抗体医薬品は、がん免疫治療薬「オプジーボ」などが知られるが、極めて高価になるケースが多く、薬価も課題だ。

 この日、会見に臨んだ井戸敏三知事は「コロナに感染した人が血液を提供して貢献する協力体制が作れた。神戸発ということで、(iPS細胞を開発した)山中先生に次ぐような成果につながってくれれば」と話した。(霍見真一郎)

 


別の変異コロナウイルスを確認 国立感染研が報告

2021年02月18日 22時10分18秒 | 医科・歯科・介護

2/18(木) 20:37配信

共同通信

国立感染症研究所の戸山庁舎=2009年撮影、東京都新宿区

 国立感染症研究所は18日、変異した新型コロナウイルスについて、英国由来などこれまでの変異株とは異なるタイプのウイルスを国内で確認したと明らかにした。どの国に由来するかは不明という。変異の仕方から、免疫の効果が弱まる可能性があるが、感染力が強くなる性質はないという。

 厚生労働省に助言する専門家組織で報告された。従来の英国由来、南アフリカ由来、ブラジル由来の三つの変異株については流行の主体にはなっていないとしたものの、民間も含めた検査強化が必要と指摘した。

 感染研によると、新たな変異を持つウイルスは2月2日までに空港検疫で2件、関東全域で91件を確認された。

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対外試合は驚異の打率・643 恐るべし阪神ドラ1佐藤輝の打棒 今春全打席を振り返る

2021年02月18日 22時08分57秒 | 野球

2/18(木) 18:29配信

スポニチアネックス

<練習試合 D・神>9回2死二塁、2点本塁打を放ち、陽川のお株を奪うゴリラポーズを披露する佐藤輝(撮影・北條 貴史)

 ◇練習試合 阪神6ー2DeNA(2021年2月18日 沖縄・宜野湾)

 阪神の“怪物”ルーキー・佐藤輝(近大)が、同一リーグと初対戦となった18日のDeNA戦で、またも猛打で主役の座を奪った。

【写真】9回2死二塁、中越え2ランの佐藤輝(左)は笑顔の木浪に迎えられる

 視察したセ・リーグのスコアラー陣は一概に、警戒を強めた。中でも巨人・横川スコアラーは「打撃練習を見て思ったけど(報道などで)フルスイング、フルスイングって言うけど、あんまりフルスイングしてないんじゃないかと見えてきた」と話し、「対応力がすごくあるし、練習での意図ができている。思ったより、ただ思い切り振って遠くに飛ばす打者ではない」と、佐藤輝の思惑を推察した。

 電光掲示板を越えたこの日の特大本塁打など、長打力に注目が集まるが、中堅や左翼方向にも打球を飛ばすなど、引っ張って遠くに飛ばすだけの打者ではない。それは結果を見ても一目瞭然。
ここまで6試合の内容を見てみると、22打数11安打で打率5割。対外試合にいたっては、14打数9安打の打率・643。2本塁打、6打点と勝負強さも発揮している。恐るべし、新人。虎党には、開幕が待ち遠しいかもしれない。

 【阪神・佐藤輝の今春実戦成績一覧】

日付 形式 打数―安打 内容

2・4 紅白戦 3-0   二ゴロ 一ゴロ 三振

2・7 紅白戦 3-1   二ゴロ 三振 右安

2・9 日ハム 5-3(3) 右安 中飛 右本 右線二塁打 三振

2・12紅白戦 2-1   右線二塁打 三振

2・16楽 天 4-2   中飛 中安 一直 左安

2・18DeNA   5-4(3) 右線二塁打 中安 左飛 右2 中本

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新型コロナの症状、経過、重症化のリスクと受診の目安(2021年1月)

2021年02月18日 22時08分34秒 | 医科・歯科・介護

 

BMJ 2020;371:m3862より筆者作成

2021年1月現在、全国で新型コロナの流行に歯止めがかからず、1月7日に二度目となる緊急事態宣言が出されました。

全国的に感染者が急増しており、発熱相談窓口への問い合わせも増えています。

どのような症状があれば新型コロナを疑い病院を受診すれば良いのでしょうか。

新型コロナの典型的な症状、経過、重症化のリスク、後遺症などについて現時点での知見をまとめました。

新型コロナウイルス感染症の典型的な症状

新型コロナでよくみられる症状(CDC「新型コロナの臨床症状」より)
新型コロナでよくみられる症状(CDC「新型コロナの臨床症状」より)

 

新型コロナの潜伏期間(感染する機会から何らかの症状を発症するまでの期間)には1〜14日と幅がありますが、多くの人がおよそ4〜5日で発症します。

新型コロナウイルス感染症の初期症状は風邪やインフルエンザと似ています。

風邪は、微熱を含む発熱、鼻水、鼻詰まり、ノドの痛み、咳などの症状がみられることが多く、またインフルエンザも風邪と似ていますが、風邪に比べると高熱が出ることが多く、頭痛や全身の関節痛・筋肉痛を伴うことがあります。

風邪はインフルエンザに比べるとゆっくりと発症し、微熱、鼻水、ノドの痛み、咳などが数日続き、インフルエンザは比較的急に発症し、高熱と咳、ノドの痛み、鼻水、頭痛、関節痛などが3〜5日続きます。

しかし、風邪やインフルエンザが新型コロナのように1週間以上続くことは比較的稀です(ただし咳や痰の症状だけが2週間程度残ることはよくあります)。

新型コロナと風邪、インフルエンザ、アレルギー性鼻炎・結膜炎の症状とを比べると、以下の図のようになります。

新型コロナとインフルエンザ、かぜ、アレルギー性鼻炎・結膜炎との症状の違い(https://www.co.carver.mn.us/の資料より)
新型コロナとインフルエンザ、かぜ、アレルギー性鼻炎・結膜炎との症状の違い(https://www.co.carver.mn.us/の資料より)

 

また、新型コロナでは典型的には、

・発熱

・咳

・だるさ

・食欲低下

・息切れ

・痰

・筋肉痛

・嗅覚障害・味覚障害

などの症状の頻度が高いとされます。

特に「息切れ」「嗅覚障害・味覚障害」の症状は、風邪やインフルエンザでは稀な症状ですので、新型コロナの可能性を疑うきっかけになります。

アメリカで新型コロナと診断された373,883人の臨床症状の報告ではそれぞれの症状の頻度は以下の図のようになっています。

アメリカ373,883人の臨床症状(MMWR Morb Mortal Wkly Rep 2020;69:759–765.)
アメリカ373,883人の臨床症状(MMWR Morb Mortal Wkly Rep 2020;69:759–765.)

 

新型コロナウイルス感染症の典型的な経過

新型コロナウイルス感染症の経過(BMJ 2020;371:m3862より イラストと頻度は筆者加筆)
新型コロナウイルス感染症の経過(BMJ 2020;371:m3862より イラストと頻度は筆者加筆)

 

新型コロナに特徴的なのは、症状の続く期間の長さです。

前述のように新型コロナウイルス感染症は風邪やインフルエンザによく似ていますが、症状が続く期間がそれらと比べて長いという特徴があります。

特に重症化する事例では、発症から1週間前後で肺炎の症状(咳・痰・呼吸困難など)が強くなってくることが分かっています。

流行早期の中国での4万人の感染者のデータによると、発症してから1週間程度は風邪のような軽微な症状が続き、約8割の方はそのまま治癒しますが、約2割弱と考えられる重症化する人はそこから徐々に肺炎の症状が悪化して入院に至ります。

2割のうち全体の約5%の症例で集中治療が必要になり、約2%の事例で致命的になりうるとされています。

嗅覚異常と味覚異常

 

新型コロナによる嗅覚異常・味覚異常(いらすとや)
新型コロナによる嗅覚異常・味覚異常(いらすとや)

 

3月以降、新型コロナ患者では嗅覚異常・味覚異常を訴える患者さんが多いことも分かってきました。

イタリアからの報告によると新型コロナ患者59人のうち、20人(33.9%)で嗅覚異常または味覚異常がみられたとのことです。

特に若年者、女性ではこれらの症状がみられる頻度が高いようです。

また新型コロナであった人とそうでなかった人が自己申告した症状のうち、嗅覚異常・味覚異常は最も新型コロナに特徴的な症状であったという報告もあります。

ただの風邪や副鼻腔炎、花粉症が原因で嗅覚異常・味覚障害が起きることもあるので必ずしも「嗅覚障害・味覚障害=新型コロナ」ではありませんが、前述のような発熱、咳などの症状に加えて嗅覚異常・味覚異常の症状があれば新型コロナの可能性は高くなるでしょう。

また、嗅覚障害・味覚障害のみの症状の方もいらっしゃいますが「2週間以内の海外渡航歴がある」「新型コロナ患者との接触歴がある」「特定のクラスターに曝露している」のいずれかを満たす方では、新型コロナの検査の対象になる可能性がありますので、かかりつけ医や発熱相談センターに相談しましょう。

新型コロナのその他の症状:吐き気、下痢、眼の充血など

 

新型コロナのその他の症状(いらすとや)
新型コロナのその他の症状(いらすとや)

 

他にも、新型コロナでは稀に

・結膜充血

・嘔気・下痢

・血痰

などの症状がみられることがあります。

この他にも、新型コロナ患者では凝固系の異常(血液が固まりやすくなる病態)が起こることが分かっており、これにより深部静脈血栓症脳梗塞などが起こることがあります。日本国内でも新型コロナと診断された方が自宅待機中に突然亡くなられる事例が報告されていますが、血栓症が関与している可能性があります。

また新型コロナウイルスは心血管系にも影響を及ぼし、急性冠症候群(ACS)、心筋炎、不整脈(心房細動など)を引き起こすことがあります。

小児では川崎病(発熱、皮疹、眼球結膜充血、いちご舌など)のような症状がみられる事例が海外で報告されています。日本国内でも新型コロナと診断され退院した3週間後に川崎病と診断された事例が報告されています。

皮膚症状についても手足の指に赤紫色の結節が現れることがあるとされますが、現時点では新型コロナとの関連は明確ではありません。

無症状の感染者はどれくらいいるのか

無症候性感染者の占める割合(DOI: 10.1056/NEJMoa2019375を元に作成)
無症候性感染者の占める割合(DOI: 10.1056/NEJMoa2019375を元に作成)

 

新型コロナには一定の割合で感染しても無症状の人がいます。

どれくらいの人が感染しても無症状のままなのかまだ十分には分かっていませんが、これまでの報告からはおよそ3〜4割の人が感染しても無症状であったと報告されています。

特に若い人では感染しても無症状のことが多いのではないかと考えられています。

例えばアメリカの原子力空母セオドア・ルーズベルトで起こったクラスターでは、乗組員4,779人のうち、1271人が新型コロナに感染しました。

この1271人のPCR検査陽性者のうち、45%は無症状、32%が検査時には無症状でのちに症状を発症、そして23%が検査時に症状がありました。

新型コロナが重症化しやすい人は?

 

年齢と新型コロナの重症化リスク(厚生労働省 「新型コロナウイルス感染症の“いま”についての10の知識」より)
年齢と新型コロナの重症化リスク(厚生労働省 「新型コロナウイルス感染症の“いま”についての10の知識」より)

 

新型コロナウイルス感染症で重症化しやすいのは高齢者と持病のある方です。

新型コロナウイルス感染症と診断された人のうち、重症化する人の割合や死亡する人の割合は年齢によって異なり、高齢者は高く、若者は低い傾向にあります。

重症化する割合や死亡する割合は以前と比べて低下しており、6月以降に診断された人の中では、

・重症化する人の割合は 約1.6%(50歳代以下で0.3%、60歳代以上で8.5%)、

・死亡する人の割合は 約1.0%(50歳代以下で0.06%、60歳代以上で5.7%)

となっています(厚生労働省 「新型コロナウイルス感染症の“いま”についての10の知識」より)。

これは、1月〜4月の頃に比べて、軽症や無症状の人にも検査が行われるようになり感染者全体の重症度が下がったこと、そしてデキサメタゾンなどの治療薬による効果が現れていること、などが要因と考えられます。

日本国内のデータからも年齢が上がれば上がるほど致死率が高くなることが改めて数字として示されています。

30代くらいまでは亡くなる人はほとんどいませんが、40代以降から徐々に致死率が高くなり、80歳以上では12%という非常に高い致死率となっています。

これによると、30代を基準の1倍としたとき、60歳以上の重症化リスクは25倍、80代以上では78倍にもなります。一方、全年齢層で最もリスクが低い10代は30代と比べて重症化リスクはそれぞれ0.2倍になっています。

高齢者では風邪やインフルエンザのような症状が続けば早めに病院を受診する方がメリットがあるでしょう。

 

また、持病の有る無しによっても重症度が変わってくることも分かってきています。

以下のような状態の人は、年齢に関係なく新型コロナに感染した際に重症化のリスクが高くなります。

がん:重症化リスク3.6倍

慢性腎臓病:入院リスク増加

COPD(慢性閉塞性肺疾患):重症化リスク5.7倍

固形臓器移植による免疫不全状態:致命率上昇

肥満(BMI30以上):入院リスクが2.1倍、死亡リスクが1.5倍

心不全、冠動脈疾患、心筋症などの重篤な心疾患:重症化リスク3.4倍

2型糖尿病:重症化リスク2.3倍

CDC. Coronavirus Disease 2019 (COVID-19). People with Certain Medical Conditionsより

また現在のところデータは限られていますが、以下の基礎疾患や習慣のある人は新型コロナに感染した際に重症化のリスクが高まる可能性があります。

これらの基礎疾患や習慣は、複数あるほど入院リスクや死亡リスクが高くなることが知られています。

 

新形コロナに感染したときに基礎疾患のない人と比べて それぞれの基礎疾患を持つ場合の入院リスク(CDC資料より データはアメリカでの新形コロナ入院データに基づく)
新形コロナに感染したときに基礎疾患のない人と比べて それぞれの基礎疾患を持つ場合の入院リスク(CDC資料より データはアメリカでの新形コロナ入院データに基づく)

 

アメリカのデータからは、肥満や糖尿病、高血圧などが3つ以上該当する人は、1つもない人と比べて入院リスクが5倍であったとのことです。

また、女性よりも男性の方が重症化リスクが高いことも分かっています。

加えて、国立感染症研究所 感染症疫学センターの解析によれば、これらの基礎疾患に加えて高尿酸血症も重症化リスクであると報告しています。

これらの重症化リスクに該当する持病をお持ちの方も、早めに受診することが望ましいでしょう。

後遺症がみられることも

日本で行われた新型コロナ後遺症の調査結果(Open Forum Infectious Diseases, ofaa507より)
日本で行われた新型コロナ後遺症の調査結果(Open Forum Infectious Diseases, ofaa507より)

 

新型コロナから回復した後も何らかの"後遺症"の症状が続く方がいることが分かっています。

海外からの報告では、特に倦怠感や呼吸苦、関節痛、胸痛などの症状が続いている方が多いようです。

その他、咳、嗅覚障害、目や口の乾燥、鼻炎、結膜充血、味覚障害、頭痛、痰、食欲不振、ノドの痛み、めまい、筋肉痛、下痢など様々な症状がみられるようです。

また、フランスからは、脱毛、記憶障害、睡眠障害、集中力低下といった急性期にはみられなかった症状も後遺症として報告されています。

日本人を主な対象とした国立国際医療研究センターによる調査でも、咳、痰、だるさ、呼吸苦、嗅覚障害、味覚障害といった症状が、発症60日後も10-20%、発症120日後も2-11%でみられました。

また脱毛も全体の24%でみられ、発症から1ヶ月後から出現し、4ヶ月後くらいまでみられることが分かりました。

今のところこれらの後遺症に対する治療法はなく、新型コロナに罹らないことが最大の予防法です。

再感染の報告も

海外では、一度新型コロナに感染した人がもう一度感染した事例が報告されています。

つまり、一度感染したからと言って生涯免疫ができるわけではなさそうです。

ただし、再感染がどれくらいの頻度で起こるのか、またどれくらいの割合で重症化しうるのかは現時点では分かっていません。

また重症化については、自己の免疫だけでなく、曝露したウイルス量に関連している可能性もありますので、重症度は免疫だけの問題ではないのかもしれません。

一度感染した人も「免疫があるから大丈夫」と油断せずに、新型コロナへの感染対策は続けるようにしましょう。

病院を受診する前に

 

東京都の新型コロナの受診・相談の流れ(東京都・新型コロナウイルス感染症にかかる相談窓口について)
東京都の新型コロナの受診・相談の流れ(東京都・新型コロナウイルス感染症にかかる相談窓口について)

 

自身が新型コロナかなと思ったら、まずはかかりつけ医か地域の医療機関に相談しましょう。

東京都では、かかりつけ医など相談する医療機関に迷う場合や、土日・夜間などかかりつけ医が休診のときには東京都発熱相談センターに相談することも可能です。

医療機関に受診が必要と判断されたら、マスクを着けて、なるべく公共の交通機関を使わずに病院を受診するようにしましょう。

各都道府県の帰国者・接触者相談センターは以下のページの「どこで受けられる?」の「各都道府県が設置している電話相談窓口(外部サイト)」をご確認ください。

 

新型コロナウイルス 検査のギモンに答えます

周囲の流行状況を把握しておきましょう

新型コロナは時期や地域によって流行状況が大きく異なります。

つまり、発熱や咳のような症状が出現したとしても新型コロナである可能性は、時期や住んでいる地域によって変わってきます。

例えば東京では第3波の流行が始まった11月上旬頃から徐々に症例が増加しはじめ、現在は1日当たりの新規感染者数は1000-2500例前後で推移しており、PCR検査の陽性率も14%台と非常に高い状況が続いています。

各地域における流行状況は、

・新規発生患者数

・新規発生患者数のうち接触歴不明の患者の割合

・PCR検査陽性率

を参考にしましょう。

新規症例報告数がほとんどなく、検査陽性率も低い地域にお住まいの方では、風邪症状が出たとしても、海外渡航歴や接触歴がなければ新型コロナの可能性は高くないでしょう。

時期や地域によって、自身が新型コロナに罹る可能性も変わってきますので、お住まいの地域の流行状況をしっかりと把握しておくことが大事です。

風邪やインフルエンザのような症状が出現した場合は、個々人が自身の感染リスクと重症化する可能性を考慮した上で、病院を受診するかどうか判断し、迷う場合にはかかりつけ医や発熱相談センターに電話で相談しましょう。

また、病院を受診しない場合も、手洗いや咳エチケットなどの予防対策は必要ですし、周囲の人(特に高齢者や持病のある人)にはうつさないような配慮が必要です。

新型コロナを広げないためには、手洗い、屋内でのマスク着用、3密回避など新型コロナに注意した生活を続けることが重要です。

 

 

羽海野チカ先生作成 手洗い啓発ポスター
羽海野チカ先生作成 手洗い啓発ポスター

 

 

感染症専門医。2004年に山口大学医学部を卒業し、2012年より国立国際医療研究センター 国際感染症センターに勤務。感染症全般を専門とするが、特に新興再興感染症、輸入感染症の診療に従事し、水際対策の最前線で診療にあたっている ※記事は個人としての発信であり、組織の意見を代表するものではありません。本ブログに関する問い合わせ先:skutsuna@hosp.ncgm.go.jp、研究プロフィール:https://researchmap.jp/kutsunasatoshi


新型コロナの症状、経過、重症化のリスクと受診の目安(2021年1月)

2021年02月18日 22時08分34秒 | 医科・歯科・介護

 

BMJ 2020;371:m3862より筆者作成

2021年1月現在、全国で新型コロナの流行に歯止めがかからず、1月7日に二度目となる緊急事態宣言が出されました。

全国的に感染者が急増しており、発熱相談窓口への問い合わせも増えています。

どのような症状があれば新型コロナを疑い病院を受診すれば良いのでしょうか。

新型コロナの典型的な症状、経過、重症化のリスク、後遺症などについて現時点での知見をまとめました。

新型コロナウイルス感染症の典型的な症状

新型コロナでよくみられる症状(CDC「新型コロナの臨床症状」より)
新型コロナでよくみられる症状(CDC「新型コロナの臨床症状」より)

 

新型コロナの潜伏期間(感染する機会から何らかの症状を発症するまでの期間)には1〜14日と幅がありますが、多くの人がおよそ4〜5日で発症します。

新型コロナウイルス感染症の初期症状は風邪やインフルエンザと似ています。

風邪は、微熱を含む発熱、鼻水、鼻詰まり、ノドの痛み、咳などの症状がみられることが多く、またインフルエンザも風邪と似ていますが、風邪に比べると高熱が出ることが多く、頭痛や全身の関節痛・筋肉痛を伴うことがあります。

風邪はインフルエンザに比べるとゆっくりと発症し、微熱、鼻水、ノドの痛み、咳などが数日続き、インフルエンザは比較的急に発症し、高熱と咳、ノドの痛み、鼻水、頭痛、関節痛などが3〜5日続きます。

しかし、風邪やインフルエンザが新型コロナのように1週間以上続くことは比較的稀です(ただし咳や痰の症状だけが2週間程度残ることはよくあります)。

新型コロナと風邪、インフルエンザ、アレルギー性鼻炎・結膜炎の症状とを比べると、以下の図のようになります。

新型コロナとインフルエンザ、かぜ、アレルギー性鼻炎・結膜炎との症状の違い(https://www.co.carver.mn.us/の資料より)
新型コロナとインフルエンザ、かぜ、アレルギー性鼻炎・結膜炎との症状の違い(https://www.co.carver.mn.us/の資料より)

 

また、新型コロナでは典型的には、

・発熱

・咳

・だるさ

・食欲低下

・息切れ

・痰

・筋肉痛

・嗅覚障害・味覚障害

などの症状の頻度が高いとされます。

特に「息切れ」「嗅覚障害・味覚障害」の症状は、風邪やインフルエンザでは稀な症状ですので、新型コロナの可能性を疑うきっかけになります。

アメリカで新型コロナと診断された373,883人の臨床症状の報告ではそれぞれの症状の頻度は以下の図のようになっています。

アメリカ373,883人の臨床症状(MMWR Morb Mortal Wkly Rep 2020;69:759–765.)
アメリカ373,883人の臨床症状(MMWR Morb Mortal Wkly Rep 2020;69:759–765.)

 

新型コロナウイルス感染症の典型的な経過

新型コロナウイルス感染症の経過(BMJ 2020;371:m3862より イラストと頻度は筆者加筆)
新型コロナウイルス感染症の経過(BMJ 2020;371:m3862より イラストと頻度は筆者加筆)

 

新型コロナに特徴的なのは、症状の続く期間の長さです。

前述のように新型コロナウイルス感染症は風邪やインフルエンザによく似ていますが、症状が続く期間がそれらと比べて長いという特徴があります。

特に重症化する事例では、発症から1週間前後で肺炎の症状(咳・痰・呼吸困難など)が強くなってくることが分かっています。

流行早期の中国での4万人の感染者のデータによると、発症してから1週間程度は風邪のような軽微な症状が続き、約8割の方はそのまま治癒しますが、約2割弱と考えられる重症化する人はそこから徐々に肺炎の症状が悪化して入院に至ります。

2割のうち全体の約5%の症例で集中治療が必要になり、約2%の事例で致命的になりうるとされています。

嗅覚異常と味覚異常

 

新型コロナによる嗅覚異常・味覚異常(いらすとや)
新型コロナによる嗅覚異常・味覚異常(いらすとや)

 

3月以降、新型コロナ患者では嗅覚異常・味覚異常を訴える患者さんが多いことも分かってきました。

イタリアからの報告によると新型コロナ患者59人のうち、20人(33.9%)で嗅覚異常または味覚異常がみられたとのことです。

特に若年者、女性ではこれらの症状がみられる頻度が高いようです。

また新型コロナであった人とそうでなかった人が自己申告した症状のうち、嗅覚異常・味覚異常は最も新型コロナに特徴的な症状であったという報告もあります。

ただの風邪や副鼻腔炎、花粉症が原因で嗅覚異常・味覚障害が起きることもあるので必ずしも「嗅覚障害・味覚障害=新型コロナ」ではありませんが、前述のような発熱、咳などの症状に加えて嗅覚異常・味覚異常の症状があれば新型コロナの可能性は高くなるでしょう。

また、嗅覚障害・味覚障害のみの症状の方もいらっしゃいますが「2週間以内の海外渡航歴がある」「新型コロナ患者との接触歴がある」「特定のクラスターに曝露している」のいずれかを満たす方では、新型コロナの検査の対象になる可能性がありますので、かかりつけ医や発熱相談センターに相談しましょう。

新型コロナのその他の症状:吐き気、下痢、眼の充血など

 

新型コロナのその他の症状(いらすとや)
新型コロナのその他の症状(いらすとや)

 

他にも、新型コロナでは稀に

・結膜充血

・嘔気・下痢

・血痰

などの症状がみられることがあります。

この他にも、新型コロナ患者では凝固系の異常(血液が固まりやすくなる病態)が起こることが分かっており、これにより深部静脈血栓症脳梗塞などが起こることがあります。日本国内でも新型コロナと診断された方が自宅待機中に突然亡くなられる事例が報告されていますが、血栓症が関与している可能性があります。

また新型コロナウイルスは心血管系にも影響を及ぼし、急性冠症候群(ACS)、心筋炎、不整脈(心房細動など)を引き起こすことがあります。

小児では川崎病(発熱、皮疹、眼球結膜充血、いちご舌など)のような症状がみられる事例が海外で報告されています。日本国内でも新型コロナと診断され退院した3週間後に川崎病と診断された事例が報告されています。

皮膚症状についても手足の指に赤紫色の結節が現れることがあるとされますが、現時点では新型コロナとの関連は明確ではありません。

無症状の感染者はどれくらいいるのか

無症候性感染者の占める割合(DOI: 10.1056/NEJMoa2019375を元に作成)
無症候性感染者の占める割合(DOI: 10.1056/NEJMoa2019375を元に作成)

 

新型コロナには一定の割合で感染しても無症状の人がいます。

どれくらいの人が感染しても無症状のままなのかまだ十分には分かっていませんが、これまでの報告からはおよそ3〜4割の人が感染しても無症状であったと報告されています。

特に若い人では感染しても無症状のことが多いのではないかと考えられています。

例えばアメリカの原子力空母セオドア・ルーズベルトで起こったクラスターでは、乗組員4,779人のうち、1271人が新型コロナに感染しました。

この1271人のPCR検査陽性者のうち、45%は無症状、32%が検査時には無症状でのちに症状を発症、そして23%が検査時に症状がありました。

新型コロナが重症化しやすい人は?

 

年齢と新型コロナの重症化リスク(厚生労働省 「新型コロナウイルス感染症の“いま”についての10の知識」より)
年齢と新型コロナの重症化リスク(厚生労働省 「新型コロナウイルス感染症の“いま”についての10の知識」より)

 

新型コロナウイルス感染症で重症化しやすいのは高齢者と持病のある方です。

新型コロナウイルス感染症と診断された人のうち、重症化する人の割合や死亡する人の割合は年齢によって異なり、高齢者は高く、若者は低い傾向にあります。

重症化する割合や死亡する割合は以前と比べて低下しており、6月以降に診断された人の中では、

・重症化する人の割合は 約1.6%(50歳代以下で0.3%、60歳代以上で8.5%)、

・死亡する人の割合は 約1.0%(50歳代以下で0.06%、60歳代以上で5.7%)

となっています(厚生労働省 「新型コロナウイルス感染症の“いま”についての10の知識」より)。

これは、1月〜4月の頃に比べて、軽症や無症状の人にも検査が行われるようになり感染者全体の重症度が下がったこと、そしてデキサメタゾンなどの治療薬による効果が現れていること、などが要因と考えられます。

日本国内のデータからも年齢が上がれば上がるほど致死率が高くなることが改めて数字として示されています。

30代くらいまでは亡くなる人はほとんどいませんが、40代以降から徐々に致死率が高くなり、80歳以上では12%という非常に高い致死率となっています。

これによると、30代を基準の1倍としたとき、60歳以上の重症化リスクは25倍、80代以上では78倍にもなります。一方、全年齢層で最もリスクが低い10代は30代と比べて重症化リスクはそれぞれ0.2倍になっています。

高齢者では風邪やインフルエンザのような症状が続けば早めに病院を受診する方がメリットがあるでしょう。

 

また、持病の有る無しによっても重症度が変わってくることも分かってきています。

以下のような状態の人は、年齢に関係なく新型コロナに感染した際に重症化のリスクが高くなります。

がん:重症化リスク3.6倍

慢性腎臓病:入院リスク増加

COPD(慢性閉塞性肺疾患):重症化リスク5.7倍

固形臓器移植による免疫不全状態:致命率上昇

肥満(BMI30以上):入院リスクが2.1倍、死亡リスクが1.5倍

心不全、冠動脈疾患、心筋症などの重篤な心疾患:重症化リスク3.4倍

2型糖尿病:重症化リスク2.3倍

CDC. Coronavirus Disease 2019 (COVID-19). People with Certain Medical Conditionsより

また現在のところデータは限られていますが、以下の基礎疾患や習慣のある人は新型コロナに感染した際に重症化のリスクが高まる可能性があります。

これらの基礎疾患や習慣は、複数あるほど入院リスクや死亡リスクが高くなることが知られています。

 

新形コロナに感染したときに基礎疾患のない人と比べて それぞれの基礎疾患を持つ場合の入院リスク(CDC資料より データはアメリカでの新形コロナ入院データに基づく)
新形コロナに感染したときに基礎疾患のない人と比べて それぞれの基礎疾患を持つ場合の入院リスク(CDC資料より データはアメリカでの新形コロナ入院データに基づく)

 

アメリカのデータからは、肥満や糖尿病、高血圧などが3つ以上該当する人は、1つもない人と比べて入院リスクが5倍であったとのことです。

また、女性よりも男性の方が重症化リスクが高いことも分かっています。

加えて、国立感染症研究所 感染症疫学センターの解析によれば、これらの基礎疾患に加えて高尿酸血症も重症化リスクであると報告しています。

これらの重症化リスクに該当する持病をお持ちの方も、早めに受診することが望ましいでしょう。

後遺症がみられることも

日本で行われた新型コロナ後遺症の調査結果(Open Forum Infectious Diseases, ofaa507より)
日本で行われた新型コロナ後遺症の調査結果(Open Forum Infectious Diseases, ofaa507より)

 

新型コロナから回復した後も何らかの"後遺症"の症状が続く方がいることが分かっています。

海外からの報告では、特に倦怠感や呼吸苦、関節痛、胸痛などの症状が続いている方が多いようです。

その他、咳、嗅覚障害、目や口の乾燥、鼻炎、結膜充血、味覚障害、頭痛、痰、食欲不振、ノドの痛み、めまい、筋肉痛、下痢など様々な症状がみられるようです。

また、フランスからは、脱毛、記憶障害、睡眠障害、集中力低下といった急性期にはみられなかった症状も後遺症として報告されています。

日本人を主な対象とした国立国際医療研究センターによる調査でも、咳、痰、だるさ、呼吸苦、嗅覚障害、味覚障害といった症状が、発症60日後も10-20%、発症120日後も2-11%でみられました。

また脱毛も全体の24%でみられ、発症から1ヶ月後から出現し、4ヶ月後くらいまでみられることが分かりました。

今のところこれらの後遺症に対する治療法はなく、新型コロナに罹らないことが最大の予防法です。

再感染の報告も

海外では、一度新型コロナに感染した人がもう一度感染した事例が報告されています。

つまり、一度感染したからと言って生涯免疫ができるわけではなさそうです。

ただし、再感染がどれくらいの頻度で起こるのか、またどれくらいの割合で重症化しうるのかは現時点では分かっていません。

また重症化については、自己の免疫だけでなく、曝露したウイルス量に関連している可能性もありますので、重症度は免疫だけの問題ではないのかもしれません。

一度感染した人も「免疫があるから大丈夫」と油断せずに、新型コロナへの感染対策は続けるようにしましょう。

病院を受診する前に

 

東京都の新型コロナの受診・相談の流れ(東京都・新型コロナウイルス感染症にかかる相談窓口について)
東京都の新型コロナの受診・相談の流れ(東京都・新型コロナウイルス感染症にかかる相談窓口について)

 

自身が新型コロナかなと思ったら、まずはかかりつけ医か地域の医療機関に相談しましょう。

東京都では、かかりつけ医など相談する医療機関に迷う場合や、土日・夜間などかかりつけ医が休診のときには東京都発熱相談センターに相談することも可能です。

医療機関に受診が必要と判断されたら、マスクを着けて、なるべく公共の交通機関を使わずに病院を受診するようにしましょう。

各都道府県の帰国者・接触者相談センターは以下のページの「どこで受けられる?」の「各都道府県が設置している電話相談窓口(外部サイト)」をご確認ください。

 

新型コロナウイルス 検査のギモンに答えます

周囲の流行状況を把握しておきましょう

新型コロナは時期や地域によって流行状況が大きく異なります。

つまり、発熱や咳のような症状が出現したとしても新型コロナである可能性は、時期や住んでいる地域によって変わってきます。

例えば東京では第3波の流行が始まった11月上旬頃から徐々に症例が増加しはじめ、現在は1日当たりの新規感染者数は1000-2500例前後で推移しており、PCR検査の陽性率も14%台と非常に高い状況が続いています。

各地域における流行状況は、

・新規発生患者数

・新規発生患者数のうち接触歴不明の患者の割合

・PCR検査陽性率

を参考にしましょう。

新規症例報告数がほとんどなく、検査陽性率も低い地域にお住まいの方では、風邪症状が出たとしても、海外渡航歴や接触歴がなければ新型コロナの可能性は高くないでしょう。

時期や地域によって、自身が新型コロナに罹る可能性も変わってきますので、お住まいの地域の流行状況をしっかりと把握しておくことが大事です。

風邪やインフルエンザのような症状が出現した場合は、個々人が自身の感染リスクと重症化する可能性を考慮した上で、病院を受診するかどうか判断し、迷う場合にはかかりつけ医や発熱相談センターに電話で相談しましょう。

また、病院を受診しない場合も、手洗いや咳エチケットなどの予防対策は必要ですし、周囲の人(特に高齢者や持病のある人)にはうつさないような配慮が必要です。

新型コロナを広げないためには、手洗い、屋内でのマスク着用、3密回避など新型コロナに注意した生活を続けることが重要です。

 

 

羽海野チカ先生作成 手洗い啓発ポスター
羽海野チカ先生作成 手洗い啓発ポスター

 

 

感染症専門医。2004年に山口大学医学部を卒業し、2012年より国立国際医療研究センター 国際感染症センターに勤務。感染症全般を専門とするが、特に新興再興感染症、輸入感染症の診療に従事し、水際対策の最前線で診療にあたっている ※記事は個人としての発信であり、組織の意見を代表するものではありません。本ブログに関する問い合わせ先:skutsuna@hosp.ncgm.go.jp、研究プロフィール:https://researchmap.jp/kutsunasatoshi


新型コロナの症状、経過、重症化のリスクと受診の目安

2021年02月18日 22時08分34秒 | 医科・歯科・介護

 

BMJ 2020;371:m3862より筆者作成

2021年1月現在、全国で新型コロナの流行に歯止めがかからず、1月7日に二度目となる緊急事態宣言が出されました。

全国的に感染者が急増しており、発熱相談窓口への問い合わせも増えています。

どのような症状があれば新型コロナを疑い病院を受診すれば良いのでしょうか。

新型コロナの典型的な症状、経過、重症化のリスク、後遺症などについて現時点での知見をまとめました。

新型コロナウイルス感染症の典型的な症状

新型コロナでよくみられる症状(CDC「新型コロナの臨床症状」より)
新型コロナでよくみられる症状(CDC「新型コロナの臨床症状」より)

 

新型コロナの潜伏期間(感染する機会から何らかの症状を発症するまでの期間)には1〜14日と幅がありますが、多くの人がおよそ4〜5日で発症します。

新型コロナウイルス感染症の初期症状は風邪やインフルエンザと似ています。

風邪は、微熱を含む発熱、鼻水、鼻詰まり、ノドの痛み、咳などの症状がみられることが多く、またインフルエンザも風邪と似ていますが、風邪に比べると高熱が出ることが多く、頭痛や全身の関節痛・筋肉痛を伴うことがあります。

風邪はインフルエンザに比べるとゆっくりと発症し、微熱、鼻水、ノドの痛み、咳などが数日続き、インフルエンザは比較的急に発症し、高熱と咳、ノドの痛み、鼻水、頭痛、関節痛などが3〜5日続きます。

しかし、風邪やインフルエンザが新型コロナのように1週間以上続くことは比較的稀です(ただし咳や痰の症状だけが2週間程度残ることはよくあります)。

新型コロナと風邪、インフルエンザ、アレルギー性鼻炎・結膜炎の症状とを比べると、以下の図のようになります。

新型コロナとインフルエンザ、かぜ、アレルギー性鼻炎・結膜炎との症状の違い(https://www.co.carver.mn.us/の資料より)
新型コロナとインフルエンザ、かぜ、アレルギー性鼻炎・結膜炎との症状の違い(https://www.co.carver.mn.us/の資料より)

 

また、新型コロナでは典型的には、

・発熱

・咳

・だるさ

・食欲低下

・息切れ

・痰

・筋肉痛

・嗅覚障害・味覚障害

などの症状の頻度が高いとされます。

特に「息切れ」「嗅覚障害・味覚障害」の症状は、風邪やインフルエンザでは稀な症状ですので、新型コロナの可能性を疑うきっかけになります。

アメリカで新型コロナと診断された373,883人の臨床症状の報告ではそれぞれの症状の頻度は以下の図のようになっています。

アメリカ373,883人の臨床症状(MMWR Morb Mortal Wkly Rep 2020;69:759–765.)
アメリカ373,883人の臨床症状(MMWR Morb Mortal Wkly Rep 2020;69:759–765.)

 

新型コロナウイルス感染症の典型的な経過

新型コロナウイルス感染症の経過(BMJ 2020;371:m3862より イラストと頻度は筆者加筆)
新型コロナウイルス感染症の経過(BMJ 2020;371:m3862より イラストと頻度は筆者加筆)

 

新型コロナに特徴的なのは、症状の続く期間の長さです。

前述のように新型コロナウイルス感染症は風邪やインフルエンザによく似ていますが、症状が続く期間がそれらと比べて長いという特徴があります。

特に重症化する事例では、発症から1週間前後で肺炎の症状(咳・痰・呼吸困難など)が強くなってくることが分かっています。

流行早期の中国での4万人の感染者のデータによると、発症してから1週間程度は風邪のような軽微な症状が続き、約8割の方はそのまま治癒しますが、約2割弱と考えられる重症化する人はそこから徐々に肺炎の症状が悪化して入院に至ります。

2割のうち全体の約5%の症例で集中治療が必要になり、約2%の事例で致命的になりうるとされています。

嗅覚異常と味覚異常

 

新型コロナによる嗅覚異常・味覚異常(いらすとや)
新型コロナによる嗅覚異常・味覚異常(いらすとや)

 

3月以降、新型コロナ患者では嗅覚異常・味覚異常を訴える患者さんが多いことも分かってきました。

イタリアからの報告によると新型コロナ患者59人のうち、20人(33.9%)で嗅覚異常または味覚異常がみられたとのことです。

特に若年者、女性ではこれらの症状がみられる頻度が高いようです。

また新型コロナであった人とそうでなかった人が自己申告した症状のうち、嗅覚異常・味覚異常は最も新型コロナに特徴的な症状であったという報告もあります。

ただの風邪や副鼻腔炎、花粉症が原因で嗅覚異常・味覚障害が起きることもあるので必ずしも「嗅覚障害・味覚障害=新型コロナ」ではありませんが、前述のような発熱、咳などの症状に加えて嗅覚異常・味覚異常の症状があれば新型コロナの可能性は高くなるでしょう。

また、嗅覚障害・味覚障害のみの症状の方もいらっしゃいますが「2週間以内の海外渡航歴がある」「新型コロナ患者との接触歴がある」「特定のクラスターに曝露している」のいずれかを満たす方では、新型コロナの検査の対象になる可能性がありますので、かかりつけ医や発熱相談センターに相談しましょう。

新型コロナのその他の症状:吐き気、下痢、眼の充血など

 

新型コロナのその他の症状(いらすとや)
新型コロナのその他の症状(いらすとや)

 

他にも、新型コロナでは稀に

・結膜充血

・嘔気・下痢

・血痰

などの症状がみられることがあります。

この他にも、新型コロナ患者では凝固系の異常(血液が固まりやすくなる病態)が起こることが分かっており、これにより深部静脈血栓症脳梗塞などが起こることがあります。日本国内でも新型コロナと診断された方が自宅待機中に突然亡くなられる事例が報告されていますが、血栓症が関与している可能性があります。

また新型コロナウイルスは心血管系にも影響を及ぼし、急性冠症候群(ACS)、心筋炎、不整脈(心房細動など)を引き起こすことがあります。

小児では川崎病(発熱、皮疹、眼球結膜充血、いちご舌など)のような症状がみられる事例が海外で報告されています。日本国内でも新型コロナと診断され退院した3週間後に川崎病と診断された事例が報告されています。

皮膚症状についても手足の指に赤紫色の結節が現れることがあるとされますが、現時点では新型コロナとの関連は明確ではありません。

無症状の感染者はどれくらいいるのか

無症候性感染者の占める割合(DOI: 10.1056/NEJMoa2019375を元に作成)
無症候性感染者の占める割合(DOI: 10.1056/NEJMoa2019375を元に作成)

 

新型コロナには一定の割合で感染しても無症状の人がいます。

どれくらいの人が感染しても無症状のままなのかまだ十分には分かっていませんが、これまでの報告からはおよそ3〜4割の人が感染しても無症状であったと報告されています。

特に若い人では感染しても無症状のことが多いのではないかと考えられています。

例えばアメリカの原子力空母セオドア・ルーズベルトで起こったクラスターでは、乗組員4,779人のうち、1271人が新型コロナに感染しました。

この1271人のPCR検査陽性者のうち、45%は無症状、32%が検査時には無症状でのちに症状を発症、そして23%が検査時に症状がありました。

新型コロナが重症化しやすい人は?

 

年齢と新型コロナの重症化リスク(厚生労働省 「新型コロナウイルス感染症の“いま”についての10の知識」より)
年齢と新型コロナの重症化リスク(厚生労働省 「新型コロナウイルス感染症の“いま”についての10の知識」より)

 

新型コロナウイルス感染症で重症化しやすいのは高齢者と持病のある方です。

新型コロナウイルス感染症と診断された人のうち、重症化する人の割合や死亡する人の割合は年齢によって異なり、高齢者は高く、若者は低い傾向にあります。

重症化する割合や死亡する割合は以前と比べて低下しており、6月以降に診断された人の中では、

・重症化する人の割合は 約1.6%(50歳代以下で0.3%、60歳代以上で8.5%)、

・死亡する人の割合は 約1.0%(50歳代以下で0.06%、60歳代以上で5.7%)

となっています(厚生労働省 「新型コロナウイルス感染症の“いま”についての10の知識」より)。

これは、1月〜4月の頃に比べて、軽症や無症状の人にも検査が行われるようになり感染者全体の重症度が下がったこと、そしてデキサメタゾンなどの治療薬による効果が現れていること、などが要因と考えられます。

日本国内のデータからも年齢が上がれば上がるほど致死率が高くなることが改めて数字として示されています。

30代くらいまでは亡くなる人はほとんどいませんが、40代以降から徐々に致死率が高くなり、80歳以上では12%という非常に高い致死率となっています。

これによると、30代を基準の1倍としたとき、60歳以上の重症化リスクは25倍、80代以上では78倍にもなります。一方、全年齢層で最もリスクが低い10代は30代と比べて重症化リスクはそれぞれ0.2倍になっています。

高齢者では風邪やインフルエンザのような症状が続けば早めに病院を受診する方がメリットがあるでしょう。

 

また、持病の有る無しによっても重症度が変わってくることも分かってきています。

以下のような状態の人は、年齢に関係なく新型コロナに感染した際に重症化のリスクが高くなります。

がん:重症化リスク3.6倍

慢性腎臓病:入院リスク増加

COPD(慢性閉塞性肺疾患):重症化リスク5.7倍

固形臓器移植による免疫不全状態:致命率上昇

肥満(BMI30以上):入院リスクが2.1倍、死亡リスクが1.5倍

心不全、冠動脈疾患、心筋症などの重篤な心疾患:重症化リスク3.4倍

2型糖尿病:重症化リスク2.3倍

CDC. Coronavirus Disease 2019 (COVID-19). People with Certain Medical Conditionsより

また現在のところデータは限られていますが、以下の基礎疾患や習慣のある人は新型コロナに感染した際に重症化のリスクが高まる可能性があります。

これらの基礎疾患や習慣は、複数あるほど入院リスクや死亡リスクが高くなることが知られています。

 

新形コロナに感染したときに基礎疾患のない人と比べて それぞれの基礎疾患を持つ場合の入院リスク(CDC資料より データはアメリカでの新形コロナ入院データに基づく)
新形コロナに感染したときに基礎疾患のない人と比べて それぞれの基礎疾患を持つ場合の入院リスク(CDC資料より データはアメリカでの新形コロナ入院データに基づく)

 

アメリカのデータからは、肥満や糖尿病、高血圧などが3つ以上該当する人は、1つもない人と比べて入院リスクが5倍であったとのことです。

また、女性よりも男性の方が重症化リスクが高いことも分かっています。

加えて、国立感染症研究所 感染症疫学センターの解析によれば、これらの基礎疾患に加えて高尿酸血症も重症化リスクであると報告しています。

これらの重症化リスクに該当する持病をお持ちの方も、早めに受診することが望ましいでしょう。

後遺症がみられることも

日本で行われた新型コロナ後遺症の調査結果(Open Forum Infectious Diseases, ofaa507より)
日本で行われた新型コロナ後遺症の調査結果(Open Forum Infectious Diseases, ofaa507より)

 

新型コロナから回復した後も何らかの"後遺症"の症状が続く方がいることが分かっています。

海外からの報告では、特に倦怠感や呼吸苦、関節痛、胸痛などの症状が続いている方が多いようです。

その他、咳、嗅覚障害、目や口の乾燥、鼻炎、結膜充血、味覚障害、頭痛、痰、食欲不振、ノドの痛み、めまい、筋肉痛、下痢など様々な症状がみられるようです。

また、フランスからは、脱毛、記憶障害、睡眠障害、集中力低下といった急性期にはみられなかった症状も後遺症として報告されています。

日本人を主な対象とした国立国際医療研究センターによる調査でも、咳、痰、だるさ、呼吸苦、嗅覚障害、味覚障害といった症状が、発症60日後も10-20%、発症120日後も2-11%でみられました。

また脱毛も全体の24%でみられ、発症から1ヶ月後から出現し、4ヶ月後くらいまでみられることが分かりました。

今のところこれらの後遺症に対する治療法はなく、新型コロナに罹らないことが最大の予防法です。

再感染の報告も

海外では、一度新型コロナに感染した人がもう一度感染した事例が報告されています。

つまり、一度感染したからと言って生涯免疫ができるわけではなさそうです。

ただし、再感染がどれくらいの頻度で起こるのか、またどれくらいの割合で重症化しうるのかは現時点では分かっていません。

また重症化については、自己の免疫だけでなく、曝露したウイルス量に関連している可能性もありますので、重症度は免疫だけの問題ではないのかもしれません。

一度感染した人も「免疫があるから大丈夫」と油断せずに、新型コロナへの感染対策は続けるようにしましょう。

病院を受診する前に

 

東京都の新型コロナの受診・相談の流れ(東京都・新型コロナウイルス感染症にかかる相談窓口について)
東京都の新型コロナの受診・相談の流れ(東京都・新型コロナウイルス感染症にかかる相談窓口について)

 

自身が新型コロナかなと思ったら、まずはかかりつけ医か地域の医療機関に相談しましょう。

東京都では、かかりつけ医など相談する医療機関に迷う場合や、土日・夜間などかかりつけ医が休診のときには東京都発熱相談センターに相談することも可能です。

医療機関に受診が必要と判断されたら、マスクを着けて、なるべく公共の交通機関を使わずに病院を受診するようにしましょう。

各都道府県の帰国者・接触者相談センターは以下のページの「どこで受けられる?」の「各都道府県が設置している電話相談窓口(外部サイト)」をご確認ください。

 

新型コロナウイルス 検査のギモンに答えます

周囲の流行状況を把握しておきましょう

新型コロナは時期や地域によって流行状況が大きく異なります。

つまり、発熱や咳のような症状が出現したとしても新型コロナである可能性は、時期や住んでいる地域によって変わってきます。

例えば東京では第3波の流行が始まった11月上旬頃から徐々に症例が増加しはじめ、現在は1日当たりの新規感染者数は1000-2500例前後で推移しており、PCR検査の陽性率も14%台と非常に高い状況が続いています。

各地域における流行状況は、

・新規発生患者数

・新規発生患者数のうち接触歴不明の患者の割合

・PCR検査陽性率

を参考にしましょう。

新規症例報告数がほとんどなく、検査陽性率も低い地域にお住まいの方では、風邪症状が出たとしても、海外渡航歴や接触歴がなければ新型コロナの可能性は高くないでしょう。

時期や地域によって、自身が新型コロナに罹る可能性も変わってきますので、お住まいの地域の流行状況をしっかりと把握しておくことが大事です。

風邪やインフルエンザのような症状が出現した場合は、個々人が自身の感染リスクと重症化する可能性を考慮した上で、病院を受診するかどうか判断し、迷う場合にはかかりつけ医や発熱相談センターに電話で相談しましょう。

また、病院を受診しない場合も、手洗いや咳エチケットなどの予防対策は必要ですし、周囲の人(特に高齢者や持病のある人)にはうつさないような配慮が必要です。

新型コロナを広げないためには、手洗い、屋内でのマスク着用、3密回避など新型コロナに注意した生活を続けることが重要です。

 

 

羽海野チカ先生作成 手洗い啓発ポスター
羽海野チカ先生作成 手洗い啓発ポスター

 

 

感染症専門医。2004年に山口大学医学部を卒業し、2012年より国立国際医療研究センター 国際感染症センターに勤務。感染症全般を専門とするが、特に新興再興感染症、輸入感染症の診療に従事し、水際対策の最前線で診療にあたっている ※記事は個人としての発信であり、組織の意見を代表するものではありません。本ブログに関する問い合わせ先:skutsuna@hosp.ncgm.go.jp、研究プロフィール:https://researchmap.jp/kutsunasatoshi


10代の孫娘2人にわいせつ行為、70代男に懲役8年判決

2021年02月18日 12時25分51秒 | 事件・事故

2/18(木) 6:01配信

徳島新聞

 自宅で同居していた10代の孫娘2人にわいせつな行為をしたとして、強姦と強制性交未遂の両罪に問われた県内の70代大工の男の判決公判が17日、徳島地裁であり、藤原美弥子裁判長は求刑通り懲役8年を言い渡した。

判決理由で藤原裁判長は「孫娘を性的欲求のはけ口としており、卑劣かつ悪質。1人は中学生のころから数年にわたって性的被害に遭っていた」と指摘し、「精神的打撃は大きく、被害は甚大」と非難した。

 判決によると男は2015年8~11月ごろ、孫娘に対して自宅の廊下に押し倒すなどの暴行を加え、わいせつな行為をした。18年5~7月ごろにももう一人の孫娘に性的暴行をしようとしたとしている。

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10代女性3人にみだらな行為 元二戸市議会議長に有罪判決/盛岡地裁

2021年02月18日 12時23分29秒 | 事件・事故

2/18(木) 10:05配信

デーリー東北新聞社
 18歳未満と知りながら10代女性3人にみだらな行為をしたとして、青森県青少年健全育成条例違反などの罪に問われた、元二戸市議会議長の行政書士小笠原清晃被告(76)の判決公判が17日、盛岡地裁で開かれ、片岡理知裁判官は懲役1年6月、執行猶予4年(求刑懲役1年6月)の有罪判決を言い渡した。

 量刑理由で片岡裁判官は「犯行当時は市議で、法令順守や青少年の健全な成長を率先して図る立場でありながら各犯行に及んでおり、責任の程度は大きい」と指摘。一方、犯行をおおむね認めていることや公職を辞したことなどを考慮し、執行猶予とした。

 判決によると、小笠原被告は昨年3月23日に八戸市内のホテル、6月27日に二戸市内の自身の行政書士事務所、7月22日に一戸町内の駐車場の車内で、それぞれ別の計3人の10代女性に対し、18歳未満と知りながらみだらな行為をした。

 

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藤井聡太二冠・高校を自主退学 谷川浩司九段が見た“スーツに黒スニーカー”18歳の素顔

2021年02月18日 12時20分02秒 | 社会・文化・政治・経済

2/18(木) 11:12配信

文春オンライン

藤井聡太二冠(18)が、名古屋大学教育学部附属高校を1月末で退学していたことを日本将棋連盟が明らかにし、大きな反響を呼んでいる。藤井二冠は連盟を通して「タイトルを獲得できたことで将棋に専念したい気持ちが強くなりました。秋に意思を固め、数回学校と話し合いをした上、退学届を提出いたしました」とコメントした。

【画像】藤井二冠はスーツに黒い「パトリック」のスニーカーを…「革靴はまだ履かない」

 史上最年少の14歳2ヶ月でプロ入りするやいなや、数々の新記録を打ち立て、2020年は最年少での二冠(棋聖、王位)を達成。その快進撃は止まらない。 

 同じく中学生でデビューし、21歳2ヶ月にして最年少名人の座を手に入れた谷川浩司九段もまた、若いうちからその絶対的な強さで一時代を築き上げてきた。「神の子」とも称される藤井二冠の躍進を、「光速の寄せ」谷川九段はどう見てきたのか。「文藝春秋」2021年1月号掲載の谷川氏の手記の一部を特別に公開する。

◆ ◆ ◆

盤に覆いかぶさって泣きじゃくっている姿
 私が初めて藤井君に会ったとき、印象的だったのは、盤に覆いかぶさって泣きじゃくっている姿です。2010年、彼が小学2年生の時に名古屋で行われた将棋イベントでの指導対局中のこと。私の玉が藤井陣に入り込み、彼が劣勢になったところで引き分けを提案すると、まだ8歳の少年が悔しさに号泣したのです。大泣きし、手に負えなくなったのをよく覚えています。

 棋士というのは誰でも負けず嫌いなものですが、彼はとりわけ、誰にも負けたくない、そのためにとにかく強くなりたいという気持ちが非常に強い。インタビューでもタイトルを獲りたいというような具体的な話はあまりしません。将棋が奥深く難しいことをあの若さでわかった上で、将棋を極めるというところに近づこうとしているのだと思います。

 特に棋聖戦での一手には驚かされました。渡辺明棋聖に2勝1敗で迎えた第4局。優勢になって勝ち方がいくつかありそうな局面で、一見一番危なそうな、読みに間違いがあれば自分の玉が詰むかもしれないという手で勝ったのです。あと1勝で棋聖というところでもう少し安全な一手を選ぶかと思ったのですが、あの局面からは、彼にとってはタイトルよりも、純粋に強くなることの方が大切なのだということがひしひしと伝わってきました。

5時間、6時間……デビュー当初から長い持ち時間に対応
 藤井二冠はまだ18歳ですが、あの若さにして、すでに棋士として完璧に近いと思います。負けん気の強さに集中力、絶妙な時間の使い方と、何より将棋への飽くなき探求心がある。

 彼にとって初めての2日制、持ち時間8時間の王位戦。私は第1局で立会人を務め、2日間とも対局を見守ったのですが、持ち時間の使い方には目を見張るものがありました。急所の局面ではたっぷり時間を使って考える。そこでひとたび方針を決めてしまえば、その次はあまり時間を使わず、また岐路に差し掛かったところで時間をかける。

 実は、棋士が奨励会からプロ入りして一番戸惑うのが持ち時間なんです。それまで90分だったのが、急に5時間、6時間となる。最初はなかなか時間を使い切らずに負けてしまうことが多くて、1、2年かけてだんだん慣れていくものなのですが、彼はなぜだかデビュー当初から長い持ち時間に対応できていた。これが不思議で仕方ないのです。

 私は彼と、去年、今年と2度公式戦で戦い完敗しました。そのときの集中力は、並のものではありませんでした。順位戦では最も長い、持ち時間6時間の対局。中盤で互いに1時間半くらいの長考があったのですが、その間も藤井二冠は一切集中が途切れない。いくらプロ棋士でも、1時間も考えていると少し休みたくなるものですが、彼は長考の応酬のような局面が続いてもずっと盤の前に座って前傾姿勢で読み続けるんです。

羽生に重なる正統派将棋
 そうやって、じっと考え抜く力が素晴らしい。昭和の時代は、とにかく盤の前に座ってからが勝負というところがありました。けれど一世代下の羽生善治九段ら平成の時代になると、事前の準備を念入りに行うようになり、序盤の体系化が進みました。ただその流れにおいても、羽生さんや佐藤康光九段、郷田真隆九段などは、考えても結論の出ない序盤から1時間、2時間考えるということをしていたんです。時間の長いタイトル戦のときは特にそう。そうして考えた一手が、たとえその対局では意味をなさなかったとしても、若いうちからの考える時間の積み重ねが、彼らが50歳を迎える今なお活躍を続けている理由だと思います。

 藤井二冠の将棋は正統派で、羽生さんに重なるところがあります。序盤から考え、相手が得意で自分があまり経験のない形に飛び込む。そうやって、相手の豊富な知識を自分のものにしようとする貪欲さ。長く活躍する棋士はみなこれを持っています。羽生さんの場合は根底に好奇心がありますが、藤井二冠の原動力も同じではないでしょうか。事前の準備をいくらしても、実際の対局で自力で考えて出す結論にはかないませんから。

藤井将棋は、負けた対局でも光ります。彼は形勢が態度に出るタイプで、苦しくなるとうなだれます。けれど決してあきらめてはいない。勝負手を考えているんです。どうすれば逆転できるか、複雑な局面に持っていけるかということを、うなだれながら必死に考えます。大差で負けることはないし、負け将棋でも見せ場を数多く作る。決して相手を楽には勝たせません。

スーツに黒いスニーカー姿「革靴はまだ履かない」
 つい先日、大阪でB級二組の順位戦があり、藤井二冠と将棋会館で会いました。大人びた和服姿も印象的ですが、その日はスーツに黒いスニーカー姿。まだ革靴を履いていないんです。それを見てハッとしました。完璧な将棋を指すので普段は忘れていますが、高校生なんですよね。

すでに10年選手と言ってもいい
 今年4月、5月。対局ができなくなり、学校も休みになって家で自分の将棋を見つめ直した2ヶ月間で、彼はまた一段と強くなったと思います。読みがさらに鋭くなったのはもちろん、ギアチェンジがうまくなりました。指し回しに緩急をつけ、自分でペースを作る。これも羽生さんが得意とするところです。

 たった4年でここまで強くなることも信じられませんが、その間ずっと世間に注目され続けるというのもなかなかない。他の棋士が時間をかけてもなかなか経験しないことを、この4年間で凝縮して味わっているんです。ある意味、すでに10年選手と言ってもいいくらいなんですよね。

 二冠達成の快進撃が続いたことで、これからはトップ棋士たちとの対局も増えてきます。ライバル棋士たちは藤井包囲網を巡らせるでしょう。低段のときには予選も含めた勝率が8割を超えていましたが、今後トップ棋士ぞろいの対局で8割勝たれてしまうと、先輩棋士はたまらないでしょうからね。彼らは、藤井二冠がこれまであまり経験したことのない戦法で勝負を仕掛けてくると思います。さらに、やはり藤井二冠の終盤力には一目置いているので、序盤を飛ばし、終盤戦で少しでも持ち時間を多くすることで互角に持っていこうとするでしょう。その中でどう戦っていくかが見どころです。

 谷川九段が明かした藤井二冠「最大のライバル」、そして2021年も棋界で中心を担うであろう「4人の棋士」とは。この記事の全文は「 文藝春秋digital 」で公開中です。

谷川 浩司/文藝春秋 2021年1月号

 

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藤井聡太二冠・高校を自主退学 谷川浩司九段が見た“スーツに黒スニーカー”18歳の素顔

2021年02月18日 12時20分02秒 | 事件・事故

2/18(木) 11:12配信

文春オンライン

藤井聡太二冠(18)が、名古屋大学教育学部附属高校を1月末で退学していたことを日本将棋連盟が明らかにし、大きな反響を呼んでいる。藤井二冠は連盟を通して「タイトルを獲得できたことで将棋に専念したい気持ちが強くなりました。秋に意思を固め、数回学校と話し合いをした上、退学届を提出いたしました」とコメントした。

【画像】藤井二冠はスーツに黒い「パトリック」のスニーカーを…「革靴はまだ履かない」

 史上最年少の14歳2ヶ月でプロ入りするやいなや、数々の新記録を打ち立て、2020年は最年少での二冠(棋聖、王位)を達成。その快進撃は止まらない。 

 同じく中学生でデビューし、21歳2ヶ月にして最年少名人の座を手に入れた谷川浩司九段もまた、若いうちからその絶対的な強さで一時代を築き上げてきた。「神の子」とも称される藤井二冠の躍進を、「光速の寄せ」谷川九段はどう見てきたのか。「文藝春秋」2021年1月号掲載の谷川氏の手記の一部を特別に公開する。

◆ ◆ ◆

盤に覆いかぶさって泣きじゃくっている姿
 私が初めて藤井君に会ったとき、印象的だったのは、盤に覆いかぶさって泣きじゃくっている姿です。2010年、彼が小学2年生の時に名古屋で行われた将棋イベントでの指導対局中のこと。私の玉が藤井陣に入り込み、彼が劣勢になったところで引き分けを提案すると、まだ8歳の少年が悔しさに号泣したのです。大泣きし、手に負えなくなったのをよく覚えています。

 棋士というのは誰でも負けず嫌いなものですが、彼はとりわけ、誰にも負けたくない、そのためにとにかく強くなりたいという気持ちが非常に強い。インタビューでもタイトルを獲りたいというような具体的な話はあまりしません。将棋が奥深く難しいことをあの若さでわかった上で、将棋を極めるというところに近づこうとしているのだと思います。

 特に棋聖戦での一手には驚かされました。渡辺明棋聖に2勝1敗で迎えた第4局。優勢になって勝ち方がいくつかありそうな局面で、一見一番危なそうな、読みに間違いがあれば自分の玉が詰むかもしれないという手で勝ったのです。あと1勝で棋聖というところでもう少し安全な一手を選ぶかと思ったのですが、あの局面からは、彼にとってはタイトルよりも、純粋に強くなることの方が大切なのだということがひしひしと伝わってきました。

5時間、6時間……デビュー当初から長い持ち時間に対応
 藤井二冠はまだ18歳ですが、あの若さにして、すでに棋士として完璧に近いと思います。負けん気の強さに集中力、絶妙な時間の使い方と、何より将棋への飽くなき探求心がある。

 彼にとって初めての2日制、持ち時間8時間の王位戦。私は第1局で立会人を務め、2日間とも対局を見守ったのですが、持ち時間の使い方には目を見張るものがありました。急所の局面ではたっぷり時間を使って考える。そこでひとたび方針を決めてしまえば、その次はあまり時間を使わず、また岐路に差し掛かったところで時間をかける。

 実は、棋士が奨励会からプロ入りして一番戸惑うのが持ち時間なんです。それまで90分だったのが、急に5時間、6時間となる。最初はなかなか時間を使い切らずに負けてしまうことが多くて、1、2年かけてだんだん慣れていくものなのですが、彼はなぜだかデビュー当初から長い持ち時間に対応できていた。これが不思議で仕方ないのです。

 私は彼と、去年、今年と2度公式戦で戦い完敗しました。そのときの集中力は、並のものではありませんでした。順位戦では最も長い、持ち時間6時間の対局。中盤で互いに1時間半くらいの長考があったのですが、その間も藤井二冠は一切集中が途切れない。いくらプロ棋士でも、1時間も考えていると少し休みたくなるものですが、彼は長考の応酬のような局面が続いてもずっと盤の前に座って前傾姿勢で読み続けるんです。

羽生に重なる正統派将棋
 そうやって、じっと考え抜く力が素晴らしい。昭和の時代は、とにかく盤の前に座ってからが勝負というところがありました。けれど一世代下の羽生善治九段ら平成の時代になると、事前の準備を念入りに行うようになり、序盤の体系化が進みました。ただその流れにおいても、羽生さんや佐藤康光九段、郷田真隆九段などは、考えても結論の出ない序盤から1時間、2時間考えるということをしていたんです。時間の長いタイトル戦のときは特にそう。そうして考えた一手が、たとえその対局では意味をなさなかったとしても、若いうちからの考える時間の積み重ねが、彼らが50歳を迎える今なお活躍を続けている理由だと思います。

 藤井二冠の将棋は正統派で、羽生さんに重なるところがあります。序盤から考え、相手が得意で自分があまり経験のない形に飛び込む。そうやって、相手の豊富な知識を自分のものにしようとする貪欲さ。長く活躍する棋士はみなこれを持っています。羽生さんの場合は根底に好奇心がありますが、藤井二冠の原動力も同じではないでしょうか。事前の準備をいくらしても、実際の対局で自力で考えて出す結論にはかないませんから。

藤井将棋は、負けた対局でも光ります。彼は形勢が態度に出るタイプで、苦しくなるとうなだれます。けれど決してあきらめてはいない。勝負手を考えているんです。どうすれば逆転できるか、複雑な局面に持っていけるかということを、うなだれながら必死に考えます。大差で負けることはないし、負け将棋でも見せ場を数多く作る。決して相手を楽には勝たせません。

スーツに黒いスニーカー姿「革靴はまだ履かない」
 つい先日、大阪でB級二組の順位戦があり、藤井二冠と将棋会館で会いました。大人びた和服姿も印象的ですが、その日はスーツに黒いスニーカー姿。まだ革靴を履いていないんです。それを見てハッとしました。完璧な将棋を指すので普段は忘れていますが、高校生なんですよね。

すでに10年選手と言ってもいい
 今年4月、5月。対局ができなくなり、学校も休みになって家で自分の将棋を見つめ直した2ヶ月間で、彼はまた一段と強くなったと思います。読みがさらに鋭くなったのはもちろん、ギアチェンジがうまくなりました。指し回しに緩急をつけ、自分でペースを作る。これも羽生さんが得意とするところです。

 たった4年でここまで強くなることも信じられませんが、その間ずっと世間に注目され続けるというのもなかなかない。他の棋士が時間をかけてもなかなか経験しないことを、この4年間で凝縮して味わっているんです。ある意味、すでに10年選手と言ってもいいくらいなんですよね。

 二冠達成の快進撃が続いたことで、これからはトップ棋士たちとの対局も増えてきます。ライバル棋士たちは藤井包囲網を巡らせるでしょう。低段のときには予選も含めた勝率が8割を超えていましたが、今後トップ棋士ぞろいの対局で8割勝たれてしまうと、先輩棋士はたまらないでしょうからね。彼らは、藤井二冠がこれまであまり経験したことのない戦法で勝負を仕掛けてくると思います。さらに、やはり藤井二冠の終盤力には一目置いているので、序盤を飛ばし、終盤戦で少しでも持ち時間を多くすることで互角に持っていこうとするでしょう。その中でどう戦っていくかが見どころです。

 谷川九段が明かした藤井二冠「最大のライバル」、そして2021年も棋界で中心を担うであろう「4人の棋士」とは。この記事の全文は「 文藝春秋digital 」で公開中です。

谷川 浩司/文藝春秋 2021年1月号

 

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