▽人類の生存に対する現代の脅威は、人間一人一人の心の中の革命的な変革によってのみ、取り除くことができる-トインビーの言葉
▽現在のような男女差別意識が生まれたのは、明治維新後のことだ。
明治政府は、天皇制を家父長制度と結びつけ、朱子学で理論武装した。
それ以来、家父長制度と朱子学の男尊女卑の思想が人々に刷り込まれ、社会に浸透していった。
▽日本は女性の活用をすすめない限り、未来がない。
アメリカの力の根源は、世界中から多様な人材を集めていることだ。
コロナ禍がきっかけとなり、日本のこれまでの働き方や暮らし方が見直され、在宅勤務やデジタル化も急速に進んでいる。
これを契機に、日本も性別や国籍、人種や年齢などにかかわらず、誰もが自分らしく、活躍できる社会を目指すべきた。
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aria.nikkei.
出口治明 事実に基づくジェンダー教育を管理者層に
APU学長・出口治明のジェンダー教室
明治維新と戦後の高度成長で女性の地位が低くなった
出口 女性の地位が劇的に低く変わったのは明治時代からです。明治維新によってNation State(国民国家)がつくられたとき、政府はNation Stateのコアとして天皇制と家父長制をセットに朱子学で理論武装しました。このとき、朱子学の男尊女卑と「家」の思想が刷り込まれたのです。夫婦同姓もこのときから始まりました。このあたりの経緯は小島毅先生の『天皇と儒教思想』(光文社新書)に詳しく説かれています。
さらに戦後、製造業の工場モデルで復興を果たそうと考えたときは、肉体的に強く、長時間労働ができる人材が求められました。それには男性のほうが向いていたため、政府は配偶者控除や第3号被保険者というゆがんだ制度を作り、3歳児神話などを吹聴して男は仕事、女は家庭という性別役割分業を促進してきたのです。
今の社会常識と思われている概念は、明治国家によってつくられたものであり、日本古来の考え方ではないのです。こうした歴史的事実を、リーダーや管理者層にはきちんと教えるべきです。
―― この歴史は男性だけでなく、女性にとっても学ぶ必要がある内容ですね。
出口 いまだに、男性だけではなく女性の中にも、子どもを保育園に預けるのはかわいそうだと思っている人がいます。この誤解を解くには、ホモサピエンスの歴史をひもとかなくてはいけません。