「都会における存在のあいまいさを描いた作品」
とどこかに書いてありました。
ざっくり言うとそうなのかな。
現実と空想の境い目がはっきりしない不思議なお話。
パンフを見ながらじゃなく舞台の記憶のままに書いてるから
違ってるところもあると思いますが あらすじはこんな感じ。
NYの私立探偵が1人の男をずっと観察しレポートすることを依頼される。
ただその男の周りには何も事件も起こらないし、
その男を観察、時には尾行する以外には あまりにも何もすることがないので
だんだん私立探偵も不安になって依頼主に問い合わせようとしたけれど
そのまま続けよと言うばかり。
依頼主を張りこむとデスマスクを被った異様な姿になっていて逃げられてしまう。
終わりの見えない仕事に不安が募る私立探偵は
そのままにして来た恋人のことも気になるし元の生活に戻るわけにもいかず
焦ったあげくに変装をして近づいたり、セールスマンを装い部屋に入ってみたり。
意外にあっさり男(ブラックと呼ばれている。ちなみに探偵はブルー)と接触できるが
実は見張られていることを気づいているのではないか、
それどころかホントに見張られているには自分の方なのではないかと
と疑心暗鬼になった探偵ブルーはとうとう男(ブラック)のもとへ
自分の身分を明かし乗り込んでいく。
実はブラックという人間に好感を持ちはじめてもいたので
立場を明かし全部話してしまおうとまで思っていた探偵ブルーだったが
部屋に行くとブラックはブルーに拳銃を向けて待っていた。
というお話なんだけど、ここからがまた分からなくて。
辻褄があってないと気が済まない性分で説明があればあるだけ嬉しい
という人間なので 言葉の裏側を読むのがとても苦手です。
このお話を本当に理解するのは難しいと思うので
今日実際に観劇して思ったことだけ。
良かったなと思ったことは
時々その場で台詞のない役者・登場人物が黒子を兼ねていて
無表情に歩きながら椅子や机を運び出したり、持ってきたりしていたのですが
その動きがとても滑らかでスタイリッシュでかっこいい。
目線を下げずに頭を動かさずに動く姿がお能のようでもあり社交ダンスのようでもあり。
主役のブルー以外は 最初に出てきた依頼主がホワイトだったので白だったのと
記憶の中にいる元の上司ブラウンと彼女がオレンジだったのを除くと
皆がブラックのスーツにブラックの帽子。
照明も暗めなので動いていると誰が誰やら分からなかった。
シルエットでしか判断出来なくて その場では黒子の役目に徹してたということか。
それも狙ってのことだったと思うのだけど。
台詞はほとんどがブルーを中心に回っていて
そのほかの人は キャラクターを出す時以外の見せ場はお能のような動き。
お能と言っても動きはとても速く
例えば帽子を次から次に被って奪って被って・・と
無駄の無い踊りのような動きで綺麗でした。
演技の上手さなのか身体能力の高さなのか
板の上の人(舞台人)独特の達者ぶりに見惚れました。
動きながら背景にもなり、画面に映る都会の映像の絵にも溶け込んで
見るのも忙しい。凄くかっこいい「絵」のようでもあるから見逃したくない気持ちもあって
誰か目当てで行ったのなら 目で追うのはかなり忙しかっただろうと思います。
出演者の印象は
佐々木さんはとにかく達者。何やらせても上手い。上手過ぎる。
ずっと喋ってるんですが絶対噛みません。
頭の回転も超速そう。
やっぱハンチョウは凄いなーと感心するばかり。
奥田さんは雰囲気からして役者。
座ってる姿だけでもすでに演技。
奥田さんがブラックだと黙っていても凄みも重みもあるから、
ボリュームが出ますよね。
市川さんは 以前も他の女優さん見て思ったことだけど
メディアに出てる綺麗な女優さんの可愛さっていうのはちょっと違う。
ホントに可愛いし綺麗なの。
ここがプロフィールの写真だけじゃ分からないことなんですよね。
こう言っちゃ何だけどメディアに常に出てる人とそうじゃない人との違い。
遠くから見た時でも顔がよく見える。濃いというわけじゃなく顔がよく分かる。
それが女優。「華」があるだけじゃなく「見える」ひと。
そこが違うんだろうな。
あとは 気になってた細見さん。
この人の声は凄いです。声優さんもやってらっしゃるそう。
そうだろうなーって思いました。
響き方が独特だったんです。
どこから声出てるの?高音なの?低音なの?って分からなくなります。
よく見ると二枚目さんだし台詞も演技も達者な方だけど印象強いのは声ですね。
この人だけは(だけはということは無いけど)また是非舞台を観に行きたい。
それと初めてみたけど若手のイケメンがいるーと思った斉藤さん。
二世俳優さんでした。お父様に似てるかな、声は少し似てました。
またすぐ声、声・・って(笑)。声フェチですか。
ただやっぱ声って言ったら細見さんだよねー。
感想書いてるつもりだったけど、なんか分からなくなったのでこのへんで。
この舞台は私が観たのはマチネだったけどソワレも見たくなりました。
チケも無いし時間も無かったので残念でしたが諦めました。
「また見たかったな」と思う舞台。
そう思うということは良い舞台だったから。
見て楽しかったから、なんですよね。
見て良かったです。
本も分からなかったけど、読後感は悪くなくて。
この作者の別の本、分からないかもしれないけど読んでみようかなと思います。