数時間後に新幹線で大阪から東京へ行く予定があった。何か忘れ物をしたような気がして、大阪駅から乗り込んだ列車(これも新幹線だった)の中で探し物を始めたら、あっと言う間に扉が閉まり列車が京都へ向かって走り始めた。しまった。次の京都で降りて引き返して、荷物を取りに西宮へ帰って、後で乗る予定の新幹線に乗ろうとしても、このタイミングでは絶対に間に合わない。何とか京都へ着く前に、少しでも早く飛び降りるより仕方がない。と思って飛び降りる隙を狙っていると、運良く列車が徐行を始めた。何度か飛び降りを試みたが、線路の外側のガードが固くて、外の世界へは飛び出せそうになかった。いらいらしながら、走る列車の中でなおも機会を窺っていると、突然視界が開け、列車は最徐行を始めた。今だ。自分は目を瞑って命を掛けて飛び降りた。大阪と京都の途中、茨木か高槻か、高い土手の上だった。いつかどこかで見た場所だ。しかも、一度ではないように思えた。そうだ、昔も、何かのことで、ここで走る列車から飛び降りたのだ。命だけは助かった。また、これから大阪へ戻って、ひょっとすれば予定の東京行きの新幹線に間に合うのではないかと思っていた。












