昨夜見た夢は恐ろしい夢であった。
ゆっくりと走る列車の前に立ちはだかる一人の男。列車は、一瞬、線路上の人に気付いたが、そのまま乗り越えて進む。急ブレーキの音。スローモーションの映画を見るように、一人の男がゆっくりと車輪の下に巻き込まれていく。急停止した列車から、運転士が慌てて降りてくる。列車の下を覗きこみ、巻き込まれた人体を引きずり出そうとする。奇跡的というか、車輪の下の人体はかすかに動いている。生きている! 一瞬、安堵感がよぎる。運転士はさらに人体を引き寄せると、その身体は、胴の上の部分が真っ赤になっていて首がない。何処かの医学書の解剖図で見たように、気管がポッカリと開いている。さらに、よく見ると、右腕も肩の付け根から切断されていて、真っ赤な血に汚れた切断面が生々しい。死体は、それでも生きているが如く、なおも残りの手足をゆっくり伸縮させている。断末魔のあがきだ。
あまりの恐ろしさに自分は身体が硬直して目が覚めた。夢であった。まるで、自分自身が列車に轢かれたような戦慄と悪寒を覚えた。
このような夢を見ると、夢を見ることの意味が益々分らなくなる。何かの警告であろうか? 起きている昼間には極めて正常な生活を送っている。そのような人間に対して、世の中には、このような不幸や危険もあるのだ、ということを警告的に知らしめているのであろうか?
大半の人間は、眠り込んでいる真夜中にしか狂気になれない。そして目覚める前にすべてを忘れて目が覚める。少しくらいの狂気は、人間が正常に生きていくための不可欠の解毒剤なのかもしれない。しかし、昨夜の夢は実に生々しい。真夜中の狂気を引きずったまま目が覚めたような気がしている。二度と見たくない夢であった。






ゆっくりと走る列車の前に立ちはだかる一人の男。列車は、一瞬、線路上の人に気付いたが、そのまま乗り越えて進む。急ブレーキの音。スローモーションの映画を見るように、一人の男がゆっくりと車輪の下に巻き込まれていく。急停止した列車から、運転士が慌てて降りてくる。列車の下を覗きこみ、巻き込まれた人体を引きずり出そうとする。奇跡的というか、車輪の下の人体はかすかに動いている。生きている! 一瞬、安堵感がよぎる。運転士はさらに人体を引き寄せると、その身体は、胴の上の部分が真っ赤になっていて首がない。何処かの医学書の解剖図で見たように、気管がポッカリと開いている。さらに、よく見ると、右腕も肩の付け根から切断されていて、真っ赤な血に汚れた切断面が生々しい。死体は、それでも生きているが如く、なおも残りの手足をゆっくり伸縮させている。断末魔のあがきだ。
あまりの恐ろしさに自分は身体が硬直して目が覚めた。夢であった。まるで、自分自身が列車に轢かれたような戦慄と悪寒を覚えた。
このような夢を見ると、夢を見ることの意味が益々分らなくなる。何かの警告であろうか? 起きている昼間には極めて正常な生活を送っている。そのような人間に対して、世の中には、このような不幸や危険もあるのだ、ということを警告的に知らしめているのであろうか?
大半の人間は、眠り込んでいる真夜中にしか狂気になれない。そして目覚める前にすべてを忘れて目が覚める。少しくらいの狂気は、人間が正常に生きていくための不可欠の解毒剤なのかもしれない。しかし、昨夜の夢は実に生々しい。真夜中の狂気を引きずったまま目が覚めたような気がしている。二度と見たくない夢であった。






