東京リサーチ日記

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発送電分離・・・

2011-11-18 00:00:00 | 情報・日記
 2011年11月18日、東京電力福島第1原発事故を受け、仙谷由人官房副長官ら政権中枢が「地域独占の電力供給のゆがみ是正と東電の体制見直しを本格検討する」と事実上の「東電解体」を目指す内部文書を作成していたことが分かった。原発事故の損害賠償で政府は2011年6月、東京電力を支援する原子力損害賠償支援機構法案を閣議決定したが、文書は「あくまで応急措置」と明記。文書作成に携わった政権幹部は「東電の体制見直しは発電・送電事業の分離と原発国有化が焦点となる」と断言したようだ。この背景には政府が東電の賠償支援策を検討していた2011年4月から5月上旬にかけ、東京電力の勝俣恒久会長は、首相官邸で賠償問題を引き受けてきた仙谷氏とひそかに会談した。勝俣氏は「東日本大震災は原子力損害賠償法が『電力会社は免責』と定める巨大な天災地変」との文書を手に免責を訴えたが、仙谷氏は一蹴し、「東電を徹底的に『仕分け』する」と迫ったというのだ。関係者によると、仙谷氏の構想は、東電の送電事業(送電・変電・配電)を売却し、原発は国有化して、東電は火力、水力などの発電事業だけにする。東電の総額7兆円超の電気事業資産のうち、1・6兆円程度しか残らない計算で「原発事故の背景となった官僚的体質の温床」と指摘される地域独占は崩壊し、また、送電事業の売却益を賠償費用に充てることを考えている。これは民主党のマニフェストのような構想だ。発送電分離は約10年前、当時の世界的な電力自由化の流れの中で議論されたことがある。東電と蜜月関係にあった経産省で一部の「反東電派」が中心となったが、電力業界が与党だった自民党を抱き込んで強く抵抗し、議論は頓挫した事があった。民主党は自民党との政策の違いを明確にしようとしているのか・・・仙谷氏の頭の中には、「自民党政権下で確立された電力会社を頂点とする幕藩体制を壊す」と産業構造の大転換を狙っているようだ。しかし、東京電力にOBを役員として天下りさせてきた経産省の幹部は「東電を攻めているという政治的アピールだけ。この政権はしょせん何をやっても実現しない」と冷ややかである・・・発送電分離とは、電力会社が一括して管理してきた電力事業を「発電」と「送電」の機能別に分離し、それぞれ別の事業者に行わせることで、「配電」(発電所から送電された電力を家庭や企業に送り届ける機能)も分離の対象になることが多い。発電事業への新規参入組も送電網を公平な条件で使えるようになるため、電力市場の競争が活発化し、電気料金の値下げや太陽光発電など再生可能エネルギーの普及促進につながるとされるようだ・・・(佐々木和夫)