自民公約、新任教諭に研修1年
自民党は参院選公約に、公立小中学校教諭の能力向上策を柱とする新たな「人材確保法」制定を明記する方針を固めた。党幹部が1日明らかにした。新任教諭を本採用する前に1年間の研修を義務付けるとともに、校長や教頭への登用に新たな条件を課すなど「資格」の厳格化を盛り込む。
教員給与を一般公務員より優遇するため1974年に制定された人材確保法を抜本的に改める。
人材確保法
教員の給与を一般の公務員より優遇することを規定した法律。1974年に制定され、義務教育の水準を維持するために優れた人材を確保するのが狙いとされる。政府の歳出削減策の一環としても見直し論がたびたび浮上している。自民党が抜本的見直しに着手するのは、民主党の有力支持団体である日教組をけん制する狙いもあるとみられる。
公約はまた、教科書検定をめぐって日中戦争中の南京大虐殺の犠牲者数が「誇大に独り歩きしている」との保守派研究者らの指摘を念頭に、確定した事実以外は本文に記述しない原則を打ち出す。保守層に訴える狙いだが、教育への政治介入が強まるとして野党を中心に反発が出そうだ。
自民党は既に公約の詳細版となる政策集「Jファイル」原案をまとめているが、教育分野に追加する。公約全体は今月中旬に最終決定する方針。
新任教諭に対しては、現行の教育実習制度より長期で仕組みを整えた「インターン(実習生)制度」を導入。教員免許を付与する前の適性を判断する。校長らの登用に関し、各地の教育系大学などに専門大学院として設置されている教職大学院の修了を要件とする案が出ている。
法制化に際し(1)教育長や指導主事、校長らの役割と責務の明示(2)教諭の人事評価を処遇に反映させるための給与体系の見直し-も掲げる。