何気無く大切な一日が、かけがえ無く今日も過ぎてゆく 高橋忠史・多系統萎縮症と生きる・唄い屋。

難病の多系統萎縮症に侵されても音楽を諦めない男のライヴ報告や日々の思い・命のメッセージ

母・愛

2022年01月14日 05時39分56秒 | Weblog
唄を唄い続けられるように、唄の練習を続けている。
薬は無いので、とにかく声を出してる。
治療法の無い進行性の病気なので、日々筋肉が弱って行く。
延命と言うより、僕の場合延声だ。
いつも練習の最後に「しゃぼん玉」を唄う。
少ない言葉で、多くを表現している素晴らしい歌だ。
毎日下手になってゆく。
声が震えだした、コロナウイルス感染も急激に増えているようだ、ライブはできるのだろうか。

母親の事をあまり唄った事がない。
というより、母親の事を良く知らない。
父親と同じように尊敬してるのだが、存在がでかすぎて唄にならないのだ。

僕は大阪から三重県の松阪の山に住む爺婆に預けられて育った。
当時死の病結核になった父親が隔離されたのが貝塚市の国立寮要所、死を覚悟して入院していた父だったが、ラッキーな事に薬が見つかって治った。
僕は両親の元に戻され育った。
その間、母は死に行く亭主と、育てられない息子の事を思いながら、知らない土地で暮らしていたのだろう。
父親が戦争の話をまったくしなかったように、母もまた
過去のことを語らなかった。
次の唄は、もう亡くなったが、僕の中にある、母親ぞうだ。



  母・愛

悲しいね
悔しいね
嬉しいね
そしてありがとう

何も言わずに
黙ったまま
見つめ続けて
くれたんだね

たしなめたくなる
事もある
許せぬ事も
あったろう

悲しいね
悔しいね
嬉しいね
そしてありがとう

何も言わずに
黙ったまま
見つめ続けて
くれたんだね