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徳永写真美術研究所 Column


徳永写真美術研究所(TIPA)の日常コラムです。

中山岩太展・知らなかった事実

2010-06-04 | 写真に関するお話


先月、兵庫県立美術館で開催していた
「写真家・中山岩太」展に行きました。

(報告が遅くなりました。本展は終了しています。)



中山岩太氏といえば
東京美術学校(現・東京藝術大学)に存在した
幻の写真科(大正4年~大正15年に存在)の一期生。
卒業後、海外で活動。
帰国してからは芦屋を拠点として
“芦屋カメラクラブ”を創設した人物
などなど
時おり写真史レクチャーをおこなう私は
氏に関する情報は一応知っているつもり。

しかし
今回の展示では
新たな発見が幾つかありました。

神戸の街並みを写したコーナーでは
アメリカ軍による爆撃中の写真があり
驚きました。

写真の内容について驚いたわけではなく
爆撃現場にカメラを向けた行動に驚いたのです。

写真の芸術性を追求した氏が
戦争写真を撮影していたという事実。

時代性を考えると
あたりまえのことかもしれませんが
私にとっては新たな発見でした。



それから、もうひとつ。

第二次世界大戦中
ポーランドから逃れてきたユダヤ人を救うために
リトアニアにてビザを発給した外交官・杉原千畝のテレビドラマを
以前に見たことがありました。
私はこのドラマにとても感動。

このビザにより救い出された人々は
その後、敦賀港経由で神戸を訪れ、滞在。
安井仲治を中心とする丹平写真倶楽部のメンバーが
彼らを撮影したとの事。

展覧会の最後の部屋にその時の写真が
シリーズ「流氓ユダヤ」として展示されていました。
これらの写真、たいへん興味深かったです。
テレビドラマの続編を見た気分になりました。

話がそれますが
阪神・淡路大震災の時
この流氓ユダヤの人から
お礼の意味で
巨額の復興支援金が
送金されたという事実も知りました。



いろいろな事を考えた美術鑑賞でした。



Yoshie


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徳永写真美術研究所
大阪・鶴橋にて、写真・写真表現・シルクスクリーンの研究活動をおこなっています。
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