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井上氏 経済秘密保護法案を追及
参院審議入り
経済秘密保護法案(重要経済安保情報法案)が17日の参院本会議で審議入りしました。日本共産党の井上哲士議員は、米国などの同盟国・同志国と兵器の共同開発を進めるためにセキュリティー・クリアランス(適性評価)制度を導入する法案だと批判。「米国と一体の軍事力増強と軍需産業の利益拡大のために、憲法の国民主権と平和主義を壊すことは断じて認められない。徹底審議で廃案を求める」と表明しました。(質問要旨)
井上氏は、米国が武器等の技術情報・軍の運用情報を迅速に交換するために、日本にも同レベルの情報管理体制を要求していると指摘。日米共同声明では、日米間の「相互運用性の強化」が明記されたことを示し、指揮・統制機能の連携強化や共通する装備の保有と連携した運用の一層の強化が米側から求められたと強調しました。
さらに、共同声明ではミサイルの共同開発・共同生産を強めることや、米英豪の軍事的枠組み「AUKUS(オーカス)」と日本が先端軍事技術での協力を検討することも宣言したとして、「経済分野を含めて幅広く情報を秘密指定し、その情報を扱う者に適性評価を義務付けるのは、諸外国との先端軍事技術での協力に対応するためではないか」と追及。岸田文雄首相は「防衛装備に係る諸外国との技術協力への対応を想定したものではない」と強弁しました。
井上氏は、昨年8月に開かれた国家安全保障戦略に基づく防衛力強化に関する関係閣僚会議では、各省の民生利用目的の研究を軍事に動員するため「特定重要技術」が指定されたと指摘。高市早苗経済安全保障担当相が「情報セキュリティーの強化」の必要性について発言したことも示し、「民間の研究者等に適性評価が必要になるということか」とただしました。高市担当相は「一定の要件を満たす従業者であれば受けてもらう」として否定しませんでした。
志位議長が講演
各界各分野・多くの在日大使館から参加
日本共産党の志位和夫議長は17日、衆院第1議員会館で講演し「東アジアの平和構築への提言――ASEANと協力して」と題する外交提言を発表しました。(講演全文)
(写真)「東アジアの平和構築への提言?ASEANと協力して」をテーマに講演する志位和夫議長=17日、衆院第1議員会館
講演会には国内の各界・各分野の参加者とともに、20カ国を超える駐日大使・外交官が出席。海江田万里衆院副議長と玉城デニー沖縄県知事からメッセージが寄せられ、林陽子(元国連女性差別撤廃委員会委員長、弁護士)、小林節(慶応大名誉教授)、小畑雅子(全労連議長)、小薬岳(東京学生平和ゼミナール)―4氏がスピーチしました。日本共産党からは、田村智子委員長をはじめ国会議員が参加。小池晃書記局長が司会を務めました。
志位氏は、冒頭、「どうやって戦争の心配のない東アジアをつくるか」と問いかけ、「軍事に軍事で対抗するならば不信と恐怖の悪循環に陥り、誰ものぞまない戦争への危険をつくりだします。外交の可能性をとことん追求し、外交による平和構築に徹する必要があります」と述べ、外交提言の提唱に進みました。
第1の提言
ASEANと協力して東アジア規模での平和の地域協力の枠組みを発展させる
志位氏は、半世紀前には「分断と敵対」が支配していた地域を「平和と協力」の地域へと劇的に変化させてきたASEANの「成功の秘訣(ひけつ)」について、昨年末の党代表団の東南アジア諸国歴訪から学びとった点として―(1)“対話の習慣”(2)「ASEANの中心性」の堅持(3)平和構築と経済協力、社会・文化協力の一体のとりくみ(4)平和の地域協力の流れをASEAN域外に拡大してきたこと―を紹介。さらに、ASEANが核兵器廃絶にむけても先駆的な役割を果たしてきたことを強調しました。
志位氏は、その最新の到達点が「ASEANインド太平洋構想」(AOIP)だと指摘。AOIP提唱という新しい進展をふまえて、日本共産党が2022年1月に東アジアに平和をつくる「外交ビジョン」を提唱し、「その実現にむけ内外で力を尽くしてきました」と語りました。
「外交ビジョン」の特徴について(1)日本の外交・安全保障に平和的対案を示すものになっている(2)日本のすすむべき道の提唱にとどまらず、AOIPの実現を目標にすえた日本の政党による国際的よびかけになっている(3)日本国憲法の恒久平和主義、憲法9条の精神に立脚した提案―と説明しました。
「外交ビジョン」の実現をめざす共産党の内外での行動について語った志位氏は、自身の国会質問で岸田文雄首相が、「AOIPを強く支持する」と答弁したことをあげました。志位氏は、日本政府がASEANと経済協力など4分野での協力を進めていることを「肯定的に評価しています」と述べたうえで、「AOIPを強く支持する」というならば、「経済協力など4分野での協力にとどまらず、憲法9条をもつ国の政府として『紛争の平和的解決を定めたTAC(東南アジア友好協力条約)を平和の指針とし、東アジア全体で推進する』というAOIPの精神を、本腰を入れて実践すべきです。平和構築と経済協力など4分野の『両翼』でASEANとの協力を発展させることを強く求めます」と主張しました。
第2の提言
北東アジアの諸問題の外交的解決をはかり、 東アジア平和共同体をめざす
志位氏は、北東アジアには東南アジアと比較しての困難があると指摘。「外交の真髄は、共通点を見いだし、ともに解決すること」と強調し、いくつかの重要な問題についての提案を語りました。
志位氏は、23年3月に発表した提言―「日中両国関係の前向きの打開のために」をふまえ、▽「互いに脅威とならない」との合意を尊重するなら双方が緊張と対立を悪化させるような行動を自制すべき▽尖閣諸島問題では紛争を激化させ、平和と安定に影響を与えるような行動を互いに自制するルールを取り決める▽東アジアの平和の枠組みでは排他的でなく包摂的な枠組みを追求する―などの具体的な対応を提案しました。
台湾問題では、「平和的解決を強く求めます」と述べ、中国の台湾に対する武力行使や武力による威嚇とともに、日米両国が軍事的に関与・介入することにも反対を表明しました。
朝鮮半島問題で志位氏は、(1)緊張のエスカレートを止めるため関係国が対話のルートを開くあらゆる努力をつくす(2)朝鮮半島の非核化と北東アジア地域の平和体制構築を一体的・包括的にすすめ、合意できる措置を話し合って一つずつ段階的に実施して目標に近づく(3)日朝平壌宣言にもとづいて、核・ミサイル・拉致・過去の清算など諸懸案を包括的に解決する(4)関係6カ国による解決の枠組みをつくる努力をはかる―ことを提案しました。
歴史問題について志位氏は、「戦後80年の節目で日本が取るべき基本姿勢」として、▽90年代の“三つの重要文書”(「村山談話」「河野談話」「日韓共同宣言」)の核心的内容を継承し、ふさわしい行動をとることなど四つの提案をしました。
そのうえで志位氏は、「北東アジア平和協力構想」を大きな目標として追求するという立場を表明しました。
第3の提言
ガザ危機とウクライナ侵略――国連憲章・国際法にもとづく解決を
志位氏は、「ハマスによる無差別攻撃と人質拘束は許されませんが、それを口実にしたイスラエルによるパレスチナ自治区ガザの市民へのジェノサイド(集団殺害)は決して許してはなりません」と強調。ロシアによるウクライナ侵略については、「『国連憲章を守れ』の一点で世界の圧倒的多数の国ぐにが結束することが戦争を終わらせる道です」と主張するとともに、欧州安全保障協力機構(OSCE)の再活性化の重要性に言及しました。
志位氏は最後に、東アジアの平和構築のための国民的・市民的運動を呼びかけました。そして、「そのさいジェンダー平等と平和を一体的に追求することをとくに強調したいと思います」と語りました。
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