てっきりてっくり

あっという間に1日が終わっちゃう

グラン・ヴァカンス 廃園の天使

2008年10月29日 | 読書
飛 浩隆のグラン・ヴァカンス 廃園の天使<1>を読みました。
3部作だそうで、2部まで出ています。
この作者の初めての長編です。
あと2年か3年ぐらいしたら、3部が出るんじゃないかと期待してるんですが、
どうでしょう、5年ぐらい待たないと駄目かな~。
ファンとしては、ポニョ観るより、新作書けよ~と言いたいところですが、
この遅筆があってこそ、あの品質かもしれないしなぁ。

グラン・ヴァカンスで、舞台となっているのは、仮想世界。
ゲーム世界みたいなもので、そこではいつも夏休み。
しかし、あるときを境に、突然訪問者(ユーザー?)がこなくなり
AIたちだけで、永遠の夏休みを過ごしている、という世界です。

とにかく、綺麗です。
青い空、どこまでも透き通った海。
リゾートというと思う浮かぶ、あの情景が、この本の中にあります。
内容は、非常に残酷で、描かれているものも暗く、
普通なら、ちょっと下品なゴシックホラー風になりそうなのに、
あくまでも透明感があるのは、この作者の筆力でしょうね。すごいです。

作者のあとがき(ノート)に
「ここにあるのはもしかしたら古いSFである。ただ、清新であること、残酷であること、美しくあることだけは心がけたつもりだ。」
とありますが、まさに、そのとおりの作品です。

SFなので、読者を選ぶところが残念です。
2007年に買ったこの本(単行本)も2002年の初版本。
もっと売れてもいいと思うのに。
私の中では、日本人作家では、中島敦と並ぶぐらいなんですけど。

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