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弊社開発手法やXupper(クロスアッパー)の活用法等について、ご説明させていただきます。

ツールを使った規模算出

2007年03月27日 | 見積り

規模を計測するだけでは、生産性を向上させたり品質を向上させたりすることはできません。従って、どうしても規模の計測という作業は後回しにされがちです。

そこで、より簡単に規模を算出する方法として規模計測用(見積)のツールを使用するようにします。

見積ツールについては、いろいろありますが・・・
全てについて、紹介できるといいのですが、ページの制約と能力(知識)上の制約で、弊社で販売していますXradian(クロスラディアン)という見積ツールについてのみ紹介させていただきます。

<<開発の経緯>>

まず、Xradianを開発するに至った経緯から説明させてもらいますと・・・

実は、もともとXupperという上流CASEツールを使って、FP算出用の情報をCSV出力するということを試みとしては行っていました。
そのツールの概要としては以下のとおりです。

【概要】
<データファンクション>
Xupperのアプリケーションエリアとしていくつかのエリアを定義しておきます。
その中から
内部論理ファイル用のエリアと外部インタフェースファイル用のエリアを指定し、指定されたアプリケーションエリアに定義されているエンティティをデータファンクションとして識別し、属性をDETとしてサブタイプをRETとして識別するというものです。
(複雑度の判定や未調整ファンクションポイントの算出は行っていませんでした。)

<トランザクションファンクション>
事前にサブシステム(プロセス階層)を定義しておきます。
トランザクションを識別する対象となるサブシステムを指定し、当該サブシステムに定義されているプロセスのデバイスやGUIフォームをトランザクションファンクションとして識別します。
また、デバイスやGUIフォームのレイアウトに定義されているデータ項目をDETとして、CRUDが定義されているエンティティ数をFTRとして識別するというものです。
(複雑度の判定や未調整ファンクションポイントの算出は行っていませんでした。)


【FP連携ツールの画面】

しかし、あくまでFP算出を行うための基礎情報としてXupperに登録されている入出力情報やテーブル情報を出力するとうもので、規模の算出を行うというところまでは行っていませんでした。

その話をJFPUG(日本ファンクションポイントユーザ会)で発表したところ、某電力会社の情報システム子会社の方から、「FPを計測するツールを作成したい」という連絡があり、当時、FP算出用の情報出力を私が担当していたため(だいたい、毛色の変わったものは、私が担当するんですが・・・)、FP算出ツールの担当になりました。

そこで、CPMをまじめに読み込み、ツールの検討が始まったという経緯があります。

<<Xradianの位置付け>>

また、Xradianの位置付けですが・・・

自動的にFPを算出するといっても、無から計算を行うことはできません。
当然、ベースとなる設計情報が必要となるわけです。幸いというか、弊社のXupperはもともと上流工程の設計を対象としていましたので、入出力情報の作成やエンティティ関連図の作成を行う機能を持っており、それらの設計情報をリポジトリ(DB)に登録し一元管理できるようになっていましたので、Xupperの設計情報(リポジトリ)からFPを算出するということにしました。
Xradianの位置付けとしては以下のような位置付けになります。


【Xradianの位置付け】

また、Xradian自体は、規模見積のみを対象としているため、工数や金額を算出する機能は持っていません。
工数(工期)や金額を算出するためには、Xradianで算出した規模(FP)をもとに、他のツールを使用して算出するということを想定しています。
規模と工数の関係(工数の算出)でも述べましたが、規模をもとにいろいろな方法で工数や金額を算出することはできます。(COCOMモデルでもいいですし、Knowleage PLANやSMARTといったツールを使用して実施することも可能でしょう。)
これはこれでいいのですが、これまで問題だったのは、工数や金額を算出するための規模を いかに簡単に いかに正確に 顧客への説明が可能な内容で 見積もるか ということだったと思います。
Xradianというツールはその部分をターゲットにしたツールと理解してもらればと思います。

<<Xradianのメリット>>

Xradianのメリットですが、以下のメリットがあると考えています。

● FP値の自動算出(FP法を知らなくてもいい)
Xupperを使用して設計情報さえ定義すれば、ファンクションポイント法についての知識がなくともFPの算出が可能となると考えています。
実際にCPMを勉強して設計書をもとに、手作業でFPを集計しようとすると、それはそれで結構大変な作業となります。(そもそもCPMを理解するといことからして時間を要します。)
FPを計測したからといって、生産性が向上するわけでも、(それだけでは)品質が向上するわけではありませんので、できるだけ工数をかけずに見積もりたいと考えるのは当然のことです。
だからといって、いい加減な見積を行っていると、ユーザから「なぜこのような値になるのか説明して欲しい」といわれ答えに窮してしまうことになります。
しかし、CMPを考慮したツールとなっており、そのツールを使って見積を行えば、CPMのことを勉強する必要もありませんし、ユーザからの説明要求に対しても、「CPMの方法に従って見積を実施するとこうなります。複雑度の根拠はこうです。」ということを簡単に提示することができるようになります。

● 見積における属人性を排除
ある設計情報を複数の担当者に渡して見積りを行うと、普通は異なる数値となります。しかし、ツールを使用して見積を実施しますので、当然ですが、だれが行おうと同じ設計内容であれば同じ結果となります。
ただし、問題は同じユーザ要求(要件)に対して同じ設計結果となるかということです。その部分はSEの腕の見せ所で、同じ結果にはならないでしょう。
そういう意味では設計の属人性は残ってしまいます。これは、ツールを使用するか否かには関係ないですが、ある見積り手順で見積りを実施し、ブレを無くそうとするならば、さらに上流に立ち戻って、設計手順自身を標準化する必要があります。
同じユーザ要求(要件)に対しては、同じような設計になるようにしていなければ、どんなに見積り手順を標準化したところでブレが出てしまうのは仕方のないことです。
例えば、機能の数で見積りを実施していたとしましょう。しかし、機能の単位が人によって細かい場合と粗い場合があれば、同じユーザ要求(要件)であったとしても、規模見積の結果として異なる結果になるわけです。(この場合は、機能の粒度に関する基準を明確にするとともに、担当者への教育やレビューでの確認を行う必要があります。)

● 担当者は設計に専念
Xupper を使って上流設計を行う各担当者は、FP法を特に意識することなく設計作業に専念すればいいというメリットがあります。
設計さえキチンと実施しXupperのリポジトリに登録さえしていれば、ツールで自動的にFPを算出してくれるわけですから、設計さえ行えばいいということです。
もちろん、設計の標準化は必要ですが、Xupperを使用することにより最低限定義しなければならない情報というものも明確になります。(必須項目を入力しなければ、エラーとなります。)

● 同一リポジトリによる繰り返し見積
同一リポジトリから複数回見積を行うことが可能となります。
これまでの記事で紹介してきましたが、見積りは1回行えばそれで終りということではありません。また、システムカットオーバー後にも実績評価を行う必要があります。
見積りを複数回実施するとか、システム開発終了後に実績を再度集計すると、言葉でいうのは簡単ですが、実際に行うとなると大変です。
しかし、ツールを利用して見積りを実施するという方法であれば、極端な話、ボタンをクリックするだけで見積りを行うことが可能となります。
最終的に開発(設計)が終了した時点で見積を行い、その内容により見積のベースライン(基礎数値)を見なおし、見積り精度の向上を図ることが可能となります。

<<Xradianの特徴>>

Xradianの特徴ですが、Xupperの設計情報からFPを自動算出するということに加えて、設計の進行状況に応じた見積りができるという特徴があります。


【7段階の算出方法】

次回から、各算出方法についての紹介を行っていきます。

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