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年金分割:「離婚手続」が変わるかも?

2006-07-28 | オボエガキ
本日届いた労働法令通信に、「離婚時の年金分割制度」についての解説が掲載されていました。

この記事を読むまですっかり忘れていたのですが、2004年の法改正にて、2007年4月より離婚時における厚生年金の分割制度が導入されることになっています。現在、この離婚時年金分割制度の詳細部分である「厚生年金保険法施行規則」の原案が公表されており、パブリックコメントが行われています。

さて、上記でリンクしたパブリックコメントの募集ページでは、規則原案などに加えて離婚時年金分割制度の概要資料が公表されています。こちらを見てみると、来年の制度施行時には離婚手続の際に若干注意しなければならないポイントが増えそうな印象を受けました。一部を抜粋してご紹介します。

【基本的な仕組み】
○離婚時の厚生年金の分割制度により、婚姻期間中(※)の厚生年金の保険料納付記録(夫婦の合計)を、離婚した場合に当事者間で分割することが認められます。(※)事実上の婚姻関係にある方も対象になりますが、その場合、分割の対象になるのは、当事者の一方が被扶養配偶者として国民年金法上の第3号被保険者と認定されていた期間に限られます。

○分割ができるのは、施行日以降に成立した離婚ですが、施行日前の婚姻期間に係る厚生年金の保険料納付記録も分割の対象とすることができます。

○離婚当事者は協議により按分割合について合意した上で、社会保険事務所に厚生年金の分割請求を行います(添付書類として合意に関する公正証書等が必要です。)。

○当事者間での合意がまとまらない場合、離婚当事者の一方の求めにより、裁判手続により按分割合を定めることができます。

○按分割合(婚姻期間中の厚生年金の保険料納付記録の夫婦の合計のうち、分割を受ける側の分割後の持ち分となる割合をいいます。)の上限は50%とし、下限は分割を受ける側の分割前の持ち分にあたる割合とします。


特に気になるのは「自動的に分割されるわけではない」という点。上記にも下線を引いていますが、「合意の場合には、合意結果を示す公正証書等」が必要となるとされています。そうすると、両者のハンコがなければ分割してもらえない(裁判で争わなければならなくなる)という状況が発生し、実務上「交渉のカード」とされてしまうケースが出てきそうです。

いずれにせよ、この件についてはさらに詳しく読み込んでいきたいと思います。


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