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会社と車:飲酒運転対策と企業対応(1)

2006-10-03 | 飲酒運転特集
さて本日は、以前のエントリでご紹介した「飲酒運転対策の実務対応」について書き始めていきたいと思います。が、その前に一つご案内を。

上のご案内にも掲載いたしましたが、10月より『イブ・ゼミ』シーズンⅡ ~ 経営直結!ホンネの実務ゼミナールを3回シリーズにて開催いたします。初回のテーマは~「飲酒運転は即クビ」だけでは済まされない~『会社と車』のリスク対策実務 。これまでブログに書いてきた話題に加えて、「経営のホンネ」部分に鋭く迫るゼミナールとする予定です。10月25日(水) 午後7時より開講いたしますので、名古屋近郊の皆様は、ぜひこちらからお申し込みください!

さて、話しがそれましたが、本題に入ってまいります。「会社と車の実務」でまず考えなければならないのが仕事として車を使わせるか、否か?ということです。このとき「仕事」も「車」も実は多くのパターンを考えなければならないということに注意が必要です。

まず仕事については大きく
○通常業務時
○出張時
○通勤・帰宅時
という3つに分類できます。会社によって若干定義は異なりますが、出張とは「本来の勤務地より一定以上の遠方に出向いて業務に従事すること」であり、さらに区分すると「日帰り出張」と「宿泊を伴う出張」に分けられます。出張の場合には、通常の範囲を超えて遠方に出向くことから、自動車の使用について通常とは区分した考え方が必要となる場合があります。

また、「通勤・帰宅時」の取り扱いについても注意が必要です。なぜなら、どこからどこまでの範囲を「通勤・帰宅時」として取り扱うかについての“法律上の定め”をそのまま用いることとが望ましくないためです。

「通勤・帰宅の範囲」に関する法律上の定義としては、労災保険法の定義を用いることが多いです。しかし、労災保険法の定義を用いた場合には自宅(又は他の帰宅場所)に帰らなくても、途中に何処かに立ち寄ったり、合理的な経路をたどらなかった場合には、原則としてその時点からは通勤・帰宅として扱わないとしています。したがって、「通勤・帰宅の範囲」として労災保険法の定義をそのまま用いてしまうと「一般的な通勤・帰宅のイメージ」より狭く捉えられてしまう可能性があります

「世間の目」より狭い範囲で通勤を定義したとしても、世間は結局「一般的なイメージ」で考えますので、「対応がモレている!」としか捉えてもらえません。したがって、風評をリスク管理としては、労災保険の運用の都合で作られた「労災保険法上の定義」よりも広い定義とすることが求められます。

とはいっても、「仕事」と「プライベート」を切り分ける観点からも、どこかで「通勤・帰宅の範囲」の「線引き」は必要でしょう。「通勤・帰宅の範囲」を出来るだけ幅広く捉え、かつ、分かりやすく線引きする方法としては、例えば、次のような定義が考えられます。
○通勤とは「住居等を出発してから就業場所に到着するまでの間における移動時間」を指す。
○帰宅とは「就業場所を出発してから住居等に到着するまでの間の移動時間」を指す。
○通勤・帰宅時の途上において、就業場所及び住居等のいずれでもない場所に立ち寄った際には、当該場所に到着した時点から再び出発する時点までの間は通勤・帰宅時に含めず、再出発の時点から通勤・帰宅が再開されたものとする。

このように定義すれば、「自宅から会社までの間で、別の場所に立ち寄った場合以外の部分」を全て含めることが可能です。なお、上記の定義で「住居等」としているのは、出張時の宿泊場所なども住居と同様に含めることを意図しているためです。(実際に規定化する際には「コトバの定義」が必要でしょう。)

また、車についても区分を必要とします。一般的な会社であれば
○会社の車(社有車)
○個人の車(私有車)
○レンタカー
という区分が可能です。なお、会社の業務内容や規模によっては、社有車「配送車・営業車・役員車」等に細分化することが求められるケースもあります。

このとき注意すべきなのは「名義人ではなく、実際にだれが使っているかで判断する」ということです。会社の車がリースで購入されている場合には、法律上の所有権は「リース会社」ということが一般的ですが、実際には当然「会社の車」として取り扱うべきでしょう。また、個人所有の車についても、名義人が家族などだったとしてももちろん「個人の車」として取り扱うこととなります。

また、レンタカーについては「会社の指示で借りる」場合には、概ね社有車に準じた取り扱いが求められます。逆に、たまたま何かの都合で「個人で借りたレンタカー」を通勤等で使うような場合には「個人の車」扱いと考えるのが自然でしょう。しかしながら、レンタカーの場合には「短期的に借りて使用する」ものであることから、「だれがどの車を使うのか?を特定する」という観点からは、別の取り扱いを必要とする場合があるので注意が必要となります。

仕事として車を使わせるか、否か?を考える際には、ここまで話してきた「仕事」と「車の種類」を組み合わせたパターンを漏れなく考えていく必要があります。例えば、先に述べた区分で「仕事」と「車」を縦横に配置した表を作成し、これに○×をつけていくけば、漏れなく考えていくことが出来るようになります。

それでは本日はここまで。次回は「車通勤への対応」について考えたいと思います。


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