コンサルタントのネタモト帳+(プラス)

ビジネスにも料理にも役立つ“ネタ”が満載!社労士・診断士のコンサルタント立石智工による経営&料理ヒント集

「カンバン商品」を考える切り口

2005-10-14 | マーケティング
先日、朝の身支度をしながらTVを見ていると「スープカレーラーメン特集」をやっていました。そこで出てきたのが「元祖のカレーラーメン店」と言われているお店。戦後間もない頃、お店をオープンさせる際に、店主が「ココでしか食べれないメニューをカンバンにしよう!」と思い立ったのがこのカレーラーメンだったのことです。それから、ン十年立った今でも、カレーラーメンはこの店の「カンバン」として輝いています。

さて、自分の会社やお店を覚えてもらうために、このような「カンバン」となる商品を設定することは良く行われます。しかし、単に「これがカンバン商品です!」といったところで、「カンバン」にはなりえません。会社・お店の認知度を高め、利益に繋がる「カンバン商品」をつくるには、それなりのカンドコロが必要になります。

カンバン商品を考える上では、それはお客様の購買行動を理解することが大切です。特に、長期間にわたって「会社・お店のイメージ=ブランド」を形作ることを狙ったカンバン商品では、「AITULモデル」を意識することが求められます。

AITULモデルとは、お客様の長期的な購買行動≒リピート購買行動をモデル化したものです。お客様が、同じ会社・お店から何かの商品を購入するとき、そのココロの動きは次のように表されます。

会社・お店を認知する(Awareness)
 ↓
そこへ関心を持つ(Interest)
 ↓
まず試してみる(Trial)
 ↓
本格的に使ってみる(Usage)
 ↓
その会社・お店を信頼する(Loyality)


このココロの動きに当てはめて考えれば、カンバン商品に求められる要素が分かってきます。すなわち、カンバン商品には次の5つの要素が必要になります。
(1)知ってもらうための工夫(For Awareness)
  ⇒例:珍しさ、変わったパッケージ、ドハデなアピール etc
(2)覚えやすくするための工夫(For Interest)
  ⇒例:ネーミング、商品形状、シンプル設定 etc
(3)手に入りやすい工夫(For Trial/Usage)
  ⇒例:お値打ち(お試し)価格、少量化 etc
(4)他の人へ語りやすい工夫(For Loyality)
  ⇒例:持ち帰り出来る説明書き、一般品との比較提供 etc


私の行きつけである中華&カクテルのお店では、オープン当初のカンバン商品として「北京ダック」を挙げていました。普通北京ダックというと高いお金を出して、しかも予約しないと食べられないモノですが、このお店では、「1枚売り○○○円」という非常にわかりやすく、かつ手に入りやすいメニューに仕立てることにより、永く愛される「カンバン」となっています。いまでは、この北京ダックに加えて「フカヒレメニュー(例:フカヒレ姿煮ご飯)」なんかも「カンバン」になっています。

また、手元の書籍には、おいしい名古屋コーチンの刺身で評判としているお店の例が載っています。このコーチンは確かにおいしいのですが、「カンバン」になりきれていなかったそうです。そこで、コーチンの刺身に「普通の鶏の刺身」を添えて出したところ、とたんにクチコミで伝わっていき、立派な「カンバン」となったそうです。これは、今までうまく周りへ話せなかった「おいしさ」が、一般品と比較させることで「話しやすさ」を加え、その結果「カンバン」として成長させることができたのです。(なお、このお話は「キキダス・マーケティング」に詳しく紹介されています。詳しくは「コンサルタントの読書机」をチェックしてください。)

皆さんも「カンバン商品」をつくるときには、上の(1)~(4)をチェックリスト化し、どういった工夫ができるかをぜひ考えてみてください。