遺す言葉

つぶやき日記

遺す言葉(478) 小説 希望(2) 他 政治家 戦争 

2023-12-17 11:38:14 | 小説
            政治家 戦争(23.10.5日作)


 
 政治家
 虚名と権力の囚われ人
 凡俗の存在
 真にある事 一つの事を
 成し遂げようとする者は
 それぞれが それぞれに適合
 似合う形で型を組み 何が
 最良 最善かを計りながら 事を
 進めてゆく
 権力 虚名 思惑の外
 関わっている暇など無い
 下らぬ事 虚飾に煩わす労力など
 持ち合わせてはいない それに比し
 政治家 ただ 権力と虚名 その獲得のみに           
 明け暮れる 口先だけの存在
 
            

        戦争


 
 平和とは 人々が
 幸福であるという事
 戦争は
 どのような形であっても
 平和とは言えない しかし
 平和を守り 取り返す為の戦争は
 否定出来ない
 あり得る事




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              希望(2)
 

 

 ラーメンと丼物の品書きが正面の高い壁いっぱいに並んでいた。
 十三、四席のカウンターの向こうには中肉中背の男が蛍光灯の明かりの下に立っていた。
 四十歳過ぎかと思われた。
 店の名前の入った白い仕事着に前掛け姿だった。
 一見、何処にでも居る飯屋の親父風に見えた。
 だが、五分刈りの頭と共に鋭い目つきが明らかに修二の心に何かを訴えて来た。
 修二は男の存在感に委縮した。
 修二を案内した男はこの店には馴れているらしかった。目つきの鋭い店主に小さく会釈してから、
「今晩わ」
 と言った。
 店主の男は腕を組んだまま、指先で短くなっていた煙草を口元に運んで小さく頷いた。
 言葉はなかった。
「おい、坐れよ」
 修二を案内した男は、入口で立ち竦んだように動けなくなっている修二に言った。
 自分も一つの椅子に掛けた。
 店主の後ろ側、左手の隅では調理台に向かって二人の女性が背中を見せていた。三十代後半と二十歳前後かと思われた。修二達の気配にも振り向かなかった。
「おい、坐れよ」
 修二を案内した男は振り向いてまた言ってから、店主に向かって、
「マスター、こい奴に何か食わせてやって下さいよ。家出をして来て駅前通りの<金正>でナイフをかっぱらったんですよ」
 と言った。
「おい、ナイフを見せてみな」
 店先で硬直したまま立っている修二に向かって言ってから男は、なお動かない修二に向かって、
「大丈夫だ、取りやしねえよ」
 と薄笑いを交えて言った。
「坊や、大丈夫だよ、坐んな」
 マスターと呼ばれた男が初めて口を開いた。
 鋭い目つきに似合わず穏やかな口調だった。
 修二はその言葉で堅さがほぐれて眼の前のカウンターに近付いた。
「ここに座れよ」
 修二を案内した男は自分の左隣りの椅子を修二に勧めた。
 修二は鞄を抱えたまま椅子に腰を下ろした。
「ナイフを出してみな」
 修二を案内した男が言った。
 修二は薄いジャンパーのポケットからナイフを取り出した。
「おお、良いナイフだ」
 マスターが腕組みをしたまま、修二が取り出したナイフを見て笑顔と共に言った。
 ナイフは蛍光灯の明かりを受けて象牙色に輝いた。
 二匹の蛇が牙をむき出して絡み合う見事な浮き彫りが柄の両側を飾っていた。
 全長十五センチ程だった。
 柄と刃の接点にナイフを握った手を包み込むように、滑り止めのガードが上下に張り出していた。
 金色のその輝きが精密な柄の浮き彫りと相まって、ひと際高い気品をナイフに与えていた。
 柄を握る手の親指辺りには絡み合う蛇の眼を思わせて、冷たく光る黒い石のボタンが象嵌されていた。
 ナイフは飛び出しナイフだった。
 ズシリとした重みが改めて修二の心に沁みた
「飛び出しナイフじゃねえかよお」
 修二を案内した男が脇から手を延ばしてナイフを取りながら言った。
 男は自分の身体の前でナイフのボタンを押した。
 鋭く空気を引き裂く音を立てて刃が飛び出した。
 刃渡り十二、三センチかと思われた。
 幽かな青味を滲ませた白銀が鮮やかだった。
 波型模様を描いた鋼(はがね)の部分が一段と濃い蒼色で、不気味な感覚をナイフに添えていた。
 刃先に向かって微かに膨らむ刃(やいば)の形態は柄に浮き彫りされた毒蛇の頭の形を思わせた。
「いいナイフだなあ」
 ナイフを手にした男は感嘆の声を上げた。
「こいつは、二匹の蛇が牙を剝きだして威嚇し合っているところだなあ」
  柄の浮き彫りを仔細に見詰めていた男は独り言を呟いた。
「坊や、そんなもの、何すんだ ?」
 マスターが口元に笑みを湛えて穏やかに聞いた。
 修二には答えられなかった。
 昨日、街を歩いていて偶然、眼にしたナイフだった。
 母親の下を逃げ出し、ディーゼルカーに乗って終点駅で降りたのが県庁所在地の享栄市だった。
 街の何も分からないままに歩いているうちに、思いがけず眼に留まったのがこのナイフだった。
 ナイフはショーウインドーの中でひと際鮮やかにその存在感を誇示しながら、まるで修二を誘うかの様に見事な輝きを見せていた。
 その見事さと共に修二は息を呑む思いでナイフに吸い寄せられていった。
 暫くは息を呑んだまま見詰めていたが、ふと、眼に留まった値段を見て仰天した。三万円の値札が付いていた。
 えっ、三万円 ? 
 それでも暫くは魅入られたように見詰めていた。
 ようやく気分が収まると、チェッ、てんで手が出ねえや、と呟いてショーウインドーを離れた。
 街は既に夜の華やぎの中にあった。行く当てもないままに夜の街を歩き続けた。
 ハンバーガ店が眼に入ると途端に空腹を覚えて三つのハンバーガーを買った。
 それを口にしながら駅の方へ戻った。
 近くに公園があるのを知って中へ入ると、今夜はここで過ごそうと考えた。
 ハンバーガを食べ終わって鞄を枕に木の長椅子に横たわると再び、ナイフの見事な輝きと共に、堅固で優美なその形態が眼に浮かんで来て心を酔わせた。
 どうしても、あのナイフが欲しい、と思った。
 明日、もう一度、行ってみよう。値切れば幾らか安くしてくれるかも知れない・・・・。
「強盗やんだよなあ」
 修二がマスターの問い掛けに答えられないでいると、脇から男が言った。
「北川じゃあ、あるめえし」
 マスターが鼻先で笑うように言った。
 修二自身、ナイフを何に使うのかは分かっていなかった。
 公園で眼を醒ました修二は昨日のハンバーガ店へ行ってハンバーガーとポテトチップスを買って、食べながらナイフのあった店へ向かった。





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              takeziisan様     


               もう一年の終わり 早いものです
              足腰 大丈夫 一年を無事に越す事が一大行事になってしまいます
              九十代 百歳近くを元気で生きる方々の姿を拝見すると
              まだまだ老け込んではいられないと思いながらも
              年毎に増す身体の劣化 つい先々への不安が頭を過ぎります
              年老いる 人に限らず生あるものの宿命 静かに受け止めるより仕方がないのでしょうかね
               川柳 今年の総決算 でも流石にサラリーマン川柳
              トップ作品の選出だけに一番楽しく拝見しました
              好いですね 川柳の声高ではなく 何気ない皮肉
              大いに皮肉って貰いたいものです 特にこの国の
              愚かな政治家達へ向けての辛口の皮肉を期待したいものです
               レーモン・ルフェーブル 懐かしい響きです 心が洗われます
               暖冬 ?  でも 今日あたり 北国では大雪だとか・・・
              儘ならないのは人の心とお天気ですかね
              そう言えば昨日のニュースでかって子供時代を過ごした地区が
              26度の最高気温を記録したと報じていました
              高齢の身体自体には暖冬も楽でいいのですがどのようなものでしょう
               シャコバサボテン 今年は余り良くありません
              何しろ手入れ不足なものですから
              ブログ上で美しい花を拝見させて戴いております
                いろいろ有難う御座いました























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