原題:『Beauty and the Beast』
監督:ビル・コンドン
脚本:エヴァン・スピリオトポウロス/スティーヴン・チョボスキー
撮影:トビアス・シュリッスラー
出演:エマ・ワトソン/ダン・スティーヴンス/ルーク・エヴァンズ/エマ・トンプソン
2017年/アメリカ
「愛の魔法」を巡って
ウォルト・ディズニー・ピクチャーズが製作を担っているのだが、登場人物のル・フウ(フランス語で狂人、道化という意味)を同性愛者として描いたり、マダム・ド・ガルドローブやプリュメットに黒人女優をあてがうなど意外と大胆なアプローチを試みている。
それにしても気になるのは、そもそも王子たちに呪いをかけたアガーテと呼ばれる魔女の存在である。呪いをかけた後も、アガーテは村に残り、ベルの父親のモーリスの窮地を救ったりしており、最後に王子たちの呪いが解けた後も彼らの中に混じっているのである。まるで最初からアガーテのシナリオ通りに物事が運んでいるように見えるのであるが、これはアガーテの目線というよりも、リメイク版として撮られた本作に対する観客の目線なのかもしれない。
そしてこれは漫画家の久保ミツロウが語っていたのであるが、何故最後に王子が野獣から美しい王子に戻ってしまうのか納得できないようで、確かにベルは野獣としての王子を愛したはずであり、王子が美しくなってしまうことが蛇足のように見えなくはないのだが、大人はともかく子供には「愛の魔法」を見せてあげてもいいとも思う。