MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

「ろくでなし子」の慧眼

2014-07-16 00:20:56 | 美術

女性器3Dデータ公開、逮捕の自称芸術家の女「自分にとっては手足と一緒」(産経新聞) - goo ニュース
<女性器3Dデータ事件>「ろくでなし子」の肩書きが「自称芸術家」だった理由とは?(弁護士ドットコム) - goo ニュース
「ろくでなし子」は「無罪」の可能性がある――わいせつ事件にくわしい弁護士が指摘(弁護士ドットコム) - goo ニュース
世界的な現代美術家、河原温さんが死去 81歳(産経新聞) - goo ニュース

 「ろくでなし子」のペンネームで活動している五十嵐恵が芸術家ではなく「自称芸術家」と

されているところに警視庁保安課の作意が感じられる。「ろくでなし子」はインターネット上に

自身の女性器の3Dデータを掲載し、ダウンロードさせたとして、わいせつ電磁的記録頒布

容疑で逮捕されたのであるが、「自称」と添える事であたかも「猥褻行為をするような奴感」

を出そうと必死なのである。しかしこの作品がユニークなのは彼女が作成したデータを

3Dプリンターで再現することではなく、数字や文字が並んでいるだけのデータが人間が

生まれてくる生々しい場所につながるという意外性であり、その慧眼を評価するべき

なのであるが、警察はともかくマスコミが表現の可能性をギリギリまで模索している

人物を貶める書き方をするのは、ある種のジェラシーなのだろうか 

河原温が日本に住んでいなかった原因が多少理解できたような気がする。


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『渇き。』

2014-07-16 00:01:08 | goo映画レビュー

原題:『渇き。』
監督:中島哲也
脚本:中島哲也/門間宣裕/唯野未歩子
撮影:阿藤正一
出演:役所広司/小松菜奈/清水尋也/妻夫木聡/オダギリジョー/中谷美紀
2014年/日本

父親vs.娘「ラウンド2」 

 本作を観終わって思い出したことは、同監督によって撮られた『嫌われ松子の一生』(2006年)だった。主人公の川尻松子は父親の川尻恒造に自分を認めてもらえなかったことで人生を迷走してしまうのであるが、本作は逆に父親で元刑事の藤島昭和が娘の加奈子の言動に翻弄されるという対照的な描かれ方をしているからである。
 ポップな作風としては変わらないものの、『嫌われ松子の一生』がポップ過ぎて現実からの逃避に終わってしまったような印象で、本作はポップにでも描かなければとても正視出来るような物語でないことが違いとして挙げられるであろうが、本作も結局、中途半端な結末に終わってしまった印象は払拭できない。しかしそれがまさにタイトル通りに観客に強いる「渇き」であるならば、それは肯うしかないであろう。


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