MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『少年は残酷な弓を射る』 90点

2012-08-08 23:43:48 | goo映画レビュー

少年は残酷な弓を射る

2011年/イギリス

ネタバレ

強烈な赤、無力な白

総合★★★★☆ 90

ストーリー ☆☆☆☆☆0点

キャスト ☆☆☆☆☆0点

演出 ☆☆☆☆☆0点

ビジュアル ☆☆☆☆☆0点

音楽 ☆☆☆☆☆0点

 作品冒頭で、外から流れてくる風で室内にたゆたう白いカーテン。しかし場面は突然、真っ赤に染まっている群集の頭部に切り替わる。おそらくトマト祭りに興じる人々に混じって夫のフランクリンと共に参加している主人公のエヴァ・カチャドリアンは完全に気持ちが舞い上がっており、避妊もせずにフランクリンとセックスをし、望まない妊娠をしてしまうのであるが、産婦人科において幸せそうな妊婦たちの大きなお腹を見て気分が悪くなってしまうエヴァの子供に対する嫌悪感が、やがてケヴィンと名づけられる息子によって報復されるとは想像もしていなかったであろう。
 しかし私たちの目に強烈に焼き付けられるものはケヴィンの言動以上に、‘赤’である。トマト祭りの赤は言うまでもなく、何者かの嫌がらせによりエヴァの家と車は赤いペンキがかけられ、「EXIT」の文字も赤く光り、トマトスープの赤色の缶詰に埋め尽くされた棚に、娘のセリアが遊んでいるクマのぬいぐるみも何故か真っ赤である。
 赤と同じ位に‘白’も、例えばエヴァが勤める旅行会社の壁など本作ではしばしば見かけるのであるが、それならばその不吉な赤に対抗する色として白が活躍するのかと期待でもしようものなら見事に裏切られてしまう。何故ならば白はケヴィンが身に着けるシャツのイメージであり、冒頭にたゆたっていた白いカーテンの向こうで起こっていた惨状を私たちは最後に目撃することになり、要するに白はただ赤く染まることを待っているだけの無力な存在なのである。
 原題「WE NEED TO TALK ABOUT KEVIN(私たちはケヴィンについて話す必要がある)」通りに、最後までエヴァだけは殺さずに、実の母親に‘生き地獄’を味わわせるケヴィン本人も犯行動機がよく分かっておらず、ストーリーの内容に関しては観客に委ねられている。リン・ラムジー監督は色にしか興味が無いようであるが、例えば、赤と青と黄色の弓矢の的をケヴィンの瞳に映し出すことで、ケヴィンの狂気と同時にその後の弓矢による惨劇を暗示させるなど、その作画は類まれなるものである。


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教師の学力低下について

2012-08-08 00:04:13 | Weblog

いじめ火傷痕多数、学校はその子に自主退学要求(読売新聞) - goo ニュース

 同級生からたばこの火を腕に押しつけられるなどのいじめを受けた仙台市の私立高校2年

の男子生徒は33人の生徒たちに対してたばこの火を押しつけられてできた“根性焼き”を

見せたことで「傷痕が尋常ではなく、ほかの生徒に動揺を与える」などとして生徒部長を

務める教諭から口頭で自主退学を求められたらしいのであるが、理屈が通っていない。

例えば、生徒たちに見せた“根性焼き”が男子生徒自らが腕につけたのであるならば、

それは“脅し”と見做せるが、いじめによって他の生徒からつけられた“根性焼き”が原因で

何故被害者の方が退学しなければならないのか全く意味が不明であり、この高校の

国語の授業が正常に行なわれているのかどうかが気になってくる。


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