【ぼちぼちクライミング&読書】

-クライミング&読書覚書rapunzel別館-

「毒親 毒親育ちのあなたと毒親になりたくないあなたへ」中野信子

2021年01月13日 14時49分54秒 | 読書(家族)

「毒親 毒親育ちのあなたと毒親になりたくないあなたへ」中野信子

最初、薄味かな、と思っていたが、読み進むにしたがい、だんだん面白く感じてきた。特に第4章が良い。

東大生の特徴
P80
少なくとも私の周りは「勉強しろ」と言われて素直にコツコツとやってきたタイプはすくなかったのです。(それは、中野信子さんがそうだから、類は友を呼ぶ、では?)

P114
なぜ、私たちは絆を美しいと感じるのでしょうか。そして美しいと感じる一方で、絆というのは(言いにくいことですが)息苦しいものでもあります。

P121
本来なら、理想的な形として子どもを守って育てあげるための仕組みである家というユニットが、機能不全に陥り、却って凶器になってしまう。その理由が、家というものの価値が高すぎ、絆が強すぎるため、というのは、皮肉です。(「家族」を、日本はもちろん、たいていの国が社会基盤にしている。税も法律もそのように制定されている。でも、米国や英国のように、3組に2組が離婚しているのに、こんなものを基盤にしていいの?、って思ってしまう。それに、血縁重視の制度でもある。今後、もっと良い制度に変わっていくのだろうか?・・・近年、そんな事を考えている)

P136

『阿闍世コンプレックス』という概念があります。
・・・阿闍世コンプレックス - Wikipedia

P153
人間の脳は、大きさとしては10歳頃までに大人の脳とほぼ同じくらいにまで成長します。しかし、神経回路という階層で見ると、20代後半頃までじっくりと時間をかけて成熟していくのです。

P158
研究によれば、子どもの前で夫婦ゲンカすることそのものよりも、夫婦が仲直りをするシーンを見せないでいることの方が、子どもに大きいダメージを与えることが分かりました。

P164
母が危険な目に遭ったりする度合いが低いと、知能を高く育てられるというのです。これは生物学的理由というより、むしろ心理学的余裕が要因であると考えられています。

P169
どんなときも、24時間365日、自分を見つめて、愛して、可愛がってほしい――この要求は、恋人やパートナーするものでなく、本来は親に対して向けられる要求だったはずのものです。しかしながら、それは満たされることがなかったために、恋人やパートナーをその代理として、自分自身を育てなおそうとする。これが、「重い女」や、「束縛する男」の一側面なのだろうと思います。

P171
運命の人、というのは、結婚する相手、ということではなくて、あなたの人生を変えてくれる人、という意味です。

P175-177
パンドラという女性は、神々によって地上に送り込まれた「人類の災い」でした。ギリシャの神々にプロメテウスが抗い、天上の火を盗んで人類のものとしたその報いとして、人々に災厄をもたらすために創造され、遣わされた「世界最初の女性」だったのです。
(中略)
プロメテウスの弟であるエピメテウスは、パンドラの美しさに迷い、プロメテウスの制止も聞かず、彼女を妻にしてしまいます。それ以後、「人類は、すべての不幸の原因となる女たちとともに暮らさなければならなくなった」とギリシャ神話では語られています。
(中略)
この「災いの箱」というのは、人間の、生そのものなのでしょうか。「災いの箱」としての生を開ける役割を、この物語の中で世界最初の女性が担わされているのは、人間に生を与えることが女性の役割だという無意識の了解事項が、神話の形成に影響を与えていたからではないのでしょうか。
(中略)
パンドラの箱を開けたあと、最後にエルピスが残ります。このエルピスとは、「希望」とも訳されますが、前兆、予兆、期待など、複数のニュアンスの違った訳語があてられています。
あらゆる災厄に遭って、私たちになお残るエルピスとは、それでも目の前に続いている生の道筋のことなのではないか。そんな風に思います。

【ネット上の紹介】
親を憎んでしまうのは、自分のせい?なぜ、子どもを束縛したくなる?なぜ、愛しているのに、憎くなる?気鋭の脳科学者が「毒親」の正体とその向き合い方を分かりやすく説く。
第1章 子を妬む母(毒親
親の価値観から抜け出せない ほか)
第2章 愛し方がわからない父(父の子殺し―アブラハムのパラドックス
父子関係のモデルが消失した時代 ほか)
第3章 愛が毒に変わるとき―束縛する脳(“ママン”
愛着の傷 ほか)
第4章 親には解決できない「毒親」問題(毒親育ちは毒親になってしまうのか
ハリー・ハーロウのモンスターマザー ほか)
この記事についてブログを書く
« 「冬の蕾 ベアテ・シロタと... | トップ | 半藤一利さん死去 »

読書(家族)」カテゴリの最新記事