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「故事成句でたどる楽しい中国史」井波律子

2023年11月22日 07時09分37秒 | 読書(台湾/中国)


「故事成句でたどる楽しい中国史」井波律子

P198
フビライすなわち元の世祖は中国を支配するにあたり、すべての官僚機構のトップにモンゴル人を配置するなど、モンゴル優先の原則を堅持し、行政や財政の機構や制度についても、あくまでモンゴル固有の方式をつらぬきました。こうしたやりかたは、すんなり漢民族の中国方式に同化した、元に先行する異民族の征服王朝、契丹族の遼や女真族の金とはまったく異なるものです。

P207
清王朝を立てた満洲族は、かつて中国に金王朝を樹立し、モンゴル族の元に追われた女真族と同じ民族です。(中略)ホンタイジは1636年に国号を清と改め、また女真という民族名を満洲族と改めます。

P210
清の行政機構は基本的に明の機構を踏襲したものですが、各機関の長官に満洲族と漢民族からそれぞれ1人ずつ任命して複数制をとったところに特徴があります。こうした巧妙な二重行政システムは、先行する征服王朝の元がモンゴル優先方式を強行して失敗したことを参考にして、編み出されたものだと思われます。

【参考図書】
「教養としての「中国史」の読み方」岡本隆司P288より
少数派の清が北京を占領してすぐに、一つだけ漢人に強要したことがあります。
服従の証として「辮髪」にすることでした(中略)
しかも十日以内に実行するようにと、期限まで切っているのです。(中略)
高圧的に見えますが、裏を返せば、当時の清にはこれぐらいのとこしか漢人に命じられなかった、ということができます。
そしてもう一つ、辮髪を強要したのには、人工の1パーセントにも満たない自分たちの存在を目立たせなくするという目的もありました。
外見は辮髪にさせ、服装も満洲人のものに変えさせているのですが、その一方で、満洲人たちは懸命に朱子学や漢学を勉強しているのです。
つまり、人々の外見は満洲人になったのですが、その中身は漢人のままで、むしろ満洲人たちのほうが漢人に近づいていったといえるのです。


【ネット上の紹介】
中国四千年の歴史のなかに生起する数々の名場面。そこには名君、暴君、英雄、詩人、はたまた美女たちが入り乱れ、多くの含蓄ある言葉が生まれました。覆水盆に返らず、背水の陣、井のなかの蛙、登龍門…。それら珠玉の言葉は古びることなく、今もわたしたちの生活のなかに息づいています。故事成句をキーワードにたどる、ものがたり中国史。
第1章 「覆水盆に返らず」―名君と暴君の時代
第2章 「呉越同舟」―乱世の生きざま
第3章 「水清ければ魚棲まず」―統一王朝の出現
第4章 「破竹の勢い」―英雄・豪傑の時代
第5章 「春眠暁を覚えず」―大詩人のえがく世
第6章 「山中の賊を破るは易く、心中の賊を破るは難し」―故事成句をあやつる人びと

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